見出し画像

BL(主に小説)が楽しくて仕方がないから話をしたい!!⑥凪良ゆう・一穂ミチ

【凪良ゆう】と【一穂ミチ】
「BL小説のオススメ教えて」と聞かれたときにまず名前が挙げられるのがこのお二人です。舞台が現代日本で暴力シーンが少ない、軽やかな文章で登場人物たちの心の変化がしっかり描かれていて所々に笑いも入っている。そしてハッピーエンド。
読みやすい! オススメしやすい!!

 敬称略で続けますが、凪良ゆうさんといえばドラマにもなった「美しい彼」です。
 スクールカースト(好きじゃない言葉ですよねー)の頂点と最底辺の二人が近づいてく話です。最底辺の平良が頂点の清居に惹かれながら、いつの間にか頂点にいる清居もまた最底辺の平良に惹かれていく話です。
 前半の、どれだけ平良がイケてなかったか、パシらされていたかバカにされていたかというくだりは正直読んでいてツラくなりますが、そのとき平良は何を考えていたのか、どう感じていたのという部分が話のキモになります。そして平良はキモい。ヤバい。大好き。

 そして一穂ミチさんの「イエスかノーか半分か」
 ルックスも人当たりも仕事もパーフェクトな局アナ、国江田計が実は腹の中では周りの人間を口汚く罵っている腹黒人間で、その本性を知っているのは両親だけという裏・表のネコかぶり物です。表のイメージを崩さないように、焼き鳥や牛丼を買いに行くときにはダサ変装をする徹底っぷりです。
 そのダサ変装をしている時に都築という男と知り合いますが、後に表の顔であるアナウンサー国江田計としても仕事で会うようになります。この都築さんがいい男なんです、どっちの計のことも認めてくれる。仕事をしているアナウンサー計のことは職業人として尊敬してくれますし、わがままで口の悪い計のことも笑って受け入れてくれる。でもそれが同一人物であることを都築さんは知りませんから、計としてはどんどんにっちもさっちも行かない状態になっていきます。
 アナウンサーをしているときの場面では口に出している「セリフ」と、そのセリフとは全く逆の「心の声」、主に罵倒が書かれています。その「心の声」がだんだんと困っている声になっていきます。口が悪いダサ計の声も狼狽していきます。
 表と裏を使い分けている国江田計の心の変化が丁寧に、読むのが止まらない文章で描かれていきます。

 この2冊ともBLなのでそれぞれの恋愛のストーリーなんですが、それだけじゃないところがこの2つの人気です。たぶん。絶対。そうだと思う。
 恋愛だけではない「勇気」の物語です。「登場人物が勇気をもって成長して変化する」。この「成長ストーリー」が全面に出ているのが特徴です。

「美しい彼」の平良は、日々いじめられてパシらされていましたから自分への自信なんかありません。ゼロです。ただ日々をこなすように生きているだけの毎日を送っていました。
 ところがカメラ・写真という「武器」を得ます。その武器で、その武器を強化することで清居の近くにいれる自分になろうと努力します。

「イエスかノーか半分か」の国江田計は、自分にしか興味がありませんでした。でも都築さんとの出会いによって他者に興味を持ち始めます。そして他人である都築さんを受け入れ、表の自分のことも裏の自分のことも受け入れてもらいたいと思うようになります。

 2人とも閉じこもっていた世界から外へ踏み出します。ただの変化ではない、大きな勇気をもった変化であり成長です。

 ボーイズがラブする話だと思ってたら成長物語を読まされていました。読後感の気持ちよさがハンパないです。元気になれます!

 当然として文章が上手っていう大前提があるんですけどね。ちょっと「どんなんだっけ?」と確認しようと2・3行読み始めただけで止まらなくなるの、何なんですかね。魔法かな??

 他に凪良ゆうさん「きみが好きだった」は、高校生の頃に好きだった従兄弟の恋人に10年ぶりに偶然に再会するっていうだけのシンプルなストーリーです。が、こんなにシンプルなのに読んでるときの引き込まれ感がすごいです。どうやっても無理だなっていう高校生のやるせなさや、好きな人が恋人と仲睦まじくしている様子を目にしてしまった絶望感。10年ぶりに再会した浮足立った気持ちとかがビシビシ刺さってきます。最後はハッピーエンドですから心配せずに読んでみて!

 同じく凪良ゆうさん「初恋の嵐」は、チェーン店社長の息子と貧乏育ちの弁護士志望が8年間ずっと両片思いをしているお話です。両片思いってお好きでしょ?みんな大好きでしょ??

 爽やかな初恋の風が嵐のように吹きつけてきます。爽やかな風が吹いてます。読んでて「ここに欲しいな」っていう絶妙のタイミングで、来てほしい言葉がスコーンと入ってきます。読んでてずっと気持ちいい。細かい心理描写が書かれていて、「マンガと小説の違い」の「小説の優位性」がいかんなく発揮されてます。
 読んでるときにずっと青い空が見えます。大丈夫、ハッピーエンドです!

 一穂ミチさん「ふったらどしゃぶり」
 雨音で雨に閉じ込められているような部屋にいる男と、雨音も届かない孤独な部屋にいる男の話です。二人とも恋人がいるのにまったくもって満たされていません。黙っていれば誰にも言わなけれなきっと幸せに見える。だからこそその状態を変えることが怖い、身動きが取れないんです。読んでる間ずーっと私の中に雨が降ってました。しとしとしとしと。息苦しくて目が離せない話です。二人が笑ってくれる晴れの日がくるのを祈りながら読んでました。軽やかな話ではないはずなのに、スルスル読めちゃうこれが文章力ってやつですか。安心してください、晴れの日は来ますから!

「イエスかノーか半分か」は、1年ほど前の2021年のクリスマス頃に映画にもなっていたんですが、上映が終わった頃に読んだので見れませんでした。「1週間早く読んでたら観れたのでは?」というギリギリどうにもならないタイミングで泣きそうになりました。いやまじで。
 でもなんか本当よくないんですけどたまーに細切れ動画があったりするんですよね。すぐに消えちゃいましたけど。

取りとめもなくなってきたので、この辺で!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?