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無口な歌詞

1,609
あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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#スキしてみて

3Bと2H

芯の硬さは線の濃さ
同じ絵を描いたつもり
ちゃんと二つ
出来上がったオリジナル
.
たとえばこんな空の下
きっと出逢えるということ
.
限りなく寄り添って
でも一つにはならなくて
見よう見まねでは
決して近づけないライン
堪らなくなりそうで
でも二つなら描けそうで
見よう見まねから
どうにか近づきたいライン
.
.
たとえばこんな歌の中
そっと息衝くということ
.
限りなく見せ合って
でもほとんど

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ウーロン茶

飲み干したウーロン茶
氷が鼻に当たって
いきなり冷たい
.
優しい人は最後まで
優しくないと駄目ですか
.
心の中で同棲をしている
あの子もあの子もあの子も
ここには居ないのに
また独り芝居
小さな氷をがりりと噛んだ
.
.
薄まったウーロン茶
グラスの底に溜まって
しばらく転がす
.
優しい人は最後まで
優しくないと変ですか
.
頭の中で馴れ合いをしている
あの子もあの子もあの子も
これから判る

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singer

まだ誰も知らない名曲を
この街のどこかで歌っている
誰かがそのいつかを
今か今かと待っている
.
.
こうして無口なのは
言いたいことがないのではなくて
多分あり過ぎて迷っているから
.
大切なほどに恐ろしくなる
.
まだ誰も知らない名曲を
この街のどこかで歌っている
誰かがそのいつかを
今か今かと待っている
こうして歌にして
こうして歌にして
.
.
こうして独りなのは
行きたい場所がないのでは

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昼行灯

ペンの試し書きコーナー
その小さな紙のよう
所狭しと知らない人の筆跡
埋もれてゆくだけ
.
最初がいいのか
最後がいいのか
だから何を待っている
.
さようならを言えるのは
いつだってドラマの中だけ
昨日も今日も多分明日も
静かに小さく手を振るくらいで
ままならない一日を
どうにか通り過ごしている
.
.
最初でいいのか
最後でいいのか
なのに何を待っている
.
さようならを言えるのは
いつだって

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帰ろう

涙に触れた夕陽が
あたたかくてさ
あたたかくてさ
止められなくなる
.
午後はTHINKING TIME
誰の口許にも独り言
.
つま先に転がった
影がただどこまでも
遠く遠く遠くへ延びて
もう見えない表情
あなたも多分泣いている
それだけで判る
今夜の夢の質
珍しくお酒を買って帰ろう
.
.
夕立ちはSOMETHING ELSE
誰の口許にも子守唄
.
溜め息に重なった
声がただいつまでも
遠く

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まだ夜

左肩が濡れている
無口な帰り道のことを
思い返すだけで
また一つ針は進む
.
回復に努めた休日の終わり
思いつきで入ったファミレス
こんな時間にパフェまで
.
頬張った幸せは
言うほど甘くはなくて
それでもやはり嬉しくて
ガラス窓に映る君が
にやけているだけ
もう消えてなくなった
チョコレートのような口溶けが
柄にもなく似合っている
.
.
長い夜が泣いている
さっきの曲がり角のことが
気になって

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紺春

気がつけばチョコレート
見つからなかった
言い訳の代わりなのか
.
いつものように
長いだけならばもう
.
最愛を最後に
最初から最短で
最悪さえも最近は
最新で最高と
最大に最前線な最先端
最たる最中も最盛
.
.
そう言えばストレート
確かめたかった
約束のつもりなのか
.
いつかのように
弱いだけならばまた
.
最愛を最後に
最初から最短で
最悪さえも最近は
最新で最高と
最大に最前線な最先

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写真

あの頃の笑顔が
こうして残っているのは
あなたのことを
ずっと見つめていた人が
確かに居たという証
.
もう一人の被写体は
もしかするとあなたの
一番に大切な人
.
その笑顔も癖のあるポーズも
たまの泣きべそも仕草も
鏡の前よりも素直に見えた
あれは多分きっと魔法
.
.
あの夜の痛みも
こうして残っているのは
あなたのことを
ずっと愛していた人が
確かに居たという証
.
向かい側のその人も
もし

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カルーセル・エルドラド

生まれ落ちた星が
たまたま今日のこの場所
それだけだったというお話
.
流れ着いた岸が
たまたま今日のこの場所
それだけだったというお話
.
きっと明日も
同じ布団で眠るだろう
.
始まりと終わりだけ
ただそれだけが選べないだけ
それでも誰もが一つの
大きな回転の中で
まるでいつかの夢のような今日を
特別にしてゆくのでしょう
.
.
振り返った窓が
たまたま今日もそのまま
それだけだったというお話

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綺麗だった夕焼けの燃え殻

風にしろ
優しいのは今だけ
鳥にしろ
優しいのは今だけ
.
透明な色の虹を見て
子どもが指をさして笑う
もう忘れないでね
.
.
花にしろ
優しいのは今だけ
月にしろ
優しいのは今だけ
.
ぞんざいな柄の服を着て
案山子が指をさして揺れる
もう捜さないでね
.
退屈な夜の底を打ち
不安が指をさして誘う
もう離さないでね
.
.
今にしろ
優しいのはそれだけ
後にしろ
優しいのはこれだけ
. #20

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産声

突飛なメロディーが
誰かの足を止める
そんな風に
僕の足を止めた
懐かしいパロディー
.
独り言ちるラブソング
宛名は白紙のまま
.
まだ誰の目にも触れていない
僕にさえも見つけられない
小さな世界が確かにある
モザイクで守られた
読み間違えがちなルビ
鮮明になるほどに
つれなくなるの
.
.
陽気なセオリーが
誰かの部屋を染める
そんな風に
僕の窓を染めた
騒がしいメモリー
.
滑り落ちるサムシ

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テレキャスターにきけ

知りたいことは
何も教えてくれない
ロックンロール
.
つまらなかった日の帰り道
ふとあの歌が耳に残った
.
理由を捜しているようならば
そんな野暮はよして
考えたりせず
テレキャスターにきけ
.
提げているだけ
掲げているだけ
言いたいことの総てが
ここにある気がした
セブンスコードを握る手
.
.
知りたいことは
何も教えてくれない
ロックンロール
.
眠れなかった日の暇つぶし
またあの歌が胸

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ブラフ

ブラフ

一本の映画を見る体力もなく
ただ携帯を握りながら
親指だけが別人のように
動いているのは何
.
口癖はだんまり
珍しい午後
時計よ立ち止まれ
.
どうにも変わらないのは
誰のせいでもないから
ひとまず欠伸を見せびらかす
つまらないなんて
呟いていればきっと
やり過ごせそうだったのに
.
.
夕焼けはこんがり
懐かしい音
言葉よ回れ右
.
どうにも判らないのは
他人のせいでもないから
ひとまず余裕を

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秋桜

その花を見て
君を思い出すくらいには
大人になりました
.
あの月を見て
独り語り出すくらいには
優しくなりました
.
ここが夢だったと
あと何回思うのだろう
それは嘘だったと
あと何回傷つくのだろう
その笑顔のままで
.
.
その花を見て
君を思い出すくらいには
大人になりました
.
あの雲を見て
独り走り出すくらいには
優しくなりました
.
ここが夢だったと
あと何回願うのだろう
それは嘘だっ

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