マガジンのカバー画像

無口な歌詞

1,594
あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
運営しているクリエイター

記事一覧

好きなだけ

好きなだけ

悲しい人だね
遠く延びる影に
そう言って
笑った
つもりではいるんだ
.
背中に添えた手
赤く残る痕を
また知って
なぞった
代わりなどないんだ
.
滲む世界
好きなだけ
かき混ぜて遊ぶ
.
平穏に潰されるなんて
思ってもみなかった
美しさのまま
踏み止まることが
何かの引き金になっている
そんな恐ろしさばかりに
泣いてもいられない
感じれば
信じてもいい
.
.
優しい街だね
いつも曲がる角で

もっとみる
潜水

潜水

夢であれば
せめて
目覚めの悪さくらいで
諦めもついたのか
.
遠ざかる光まで
追いかけようとは
思えない
.
いつになく
深く潜る
もうこのまま
止まった息の中で
叫ぶ声
響くこともなく
泡になって飛んでゆく
割れる頃には
もうきっと
そこに居なくたって
.
.
夢があれば
たぶん
見た目の悪さくらいで
淋しさも尽きたのか
.
暮れなずむ涙まで
掴まえようとは
思わない
.
それとなく
長く黙る

もっとみる
破裂

破裂

口約束のまま
忘れてしまっても
叱られることなんて
きっとない
.
それに似ていて
終わらなかったとしても
何も変わらないたぶん
.
それでも
祈ることは
やめられないのが
自分らしくて
そこは好き
運命よりも鋭い
尖った先端で貫けば
しっかり
ちゃんと痛くて
涙も落ちる
.
.
ひと安心のまま
眠ってしまっても
嫌われることなんて
きっとない
.
いつも黙って
守らなかったとしても
誰も笑わない

もっとみる
チキン

チキン

奇跡を笑う
誰かの隣りで
黙って
見つめていたい
.
輝きの粒
一つだって
零れ落とさないように
.
駆けるのは
そこに何かしら
間に合わせたいものが
きっとあったから
いつもよりも
少しだけ
涙脆くなったように
ふとした時には
敵わないと知ることだ
.
.
悲劇を望む
誰かのつもりで
混ざって
信じてみたい
.
閃きの雨
一度だって
わざと濡らさないように
.
決めるのは
ここで何かしら
待ち合

もっとみる
果てしなく

果てしなく

背に羽はなく
まだ空は
果てしなく遠い
私には
.
叶えられる
夢の一つでも
あればよかったのに
.
声になるのは
いつだって
湿っぽいだけの寝言と
冷たい溜め息ばかり
聞き耳を立てる
無口な月
自分の肩を抱いて
明かされるのを待っている
ずっとここで
.
.
路に色はなく
まだ春は
果てしなく遠い
私には
.
信じられる
嘘の一つでも
あればよかったのに
.
思い出すのは
いつだって
熱っぽいだ

もっとみる
缶

もう二度と
今日は来ない
遠い先で
振り返ったところで
目が合うことはきっとない
.
できるだけ
愛を詰め込む
隙間という隙間に
.
旅立ちに
捨て台詞なんて
似合わない
黙ったままで
過ぎ去ってゆく背中にこそ
哀愁が一つあればいい
忘れてくれ
こんな未来だって
誰かが捨てた
憧れの端くれだから
.
.
いつまでも
そこを出ない
隣り同士
待ち焦がれたつもりで
裏切るはずはもっとない
.
好きなだ

もっとみる
ウェルカム

ウェルカム

結びたかった
あの片方の手に
今は違う花
嬉しそうに咲いている
.
追いかけても
間に合わなかった
季節通り
.
号泣の空に
透明な傘
また目が合った
その時
ただ頷くだけでも
判ってくれる
そんな人だったから
笑ってみた
.
.
信じたかった
もう片方の手に
ずっと好きなまま
愉しそうに揺れている
.
確かめても
まだ知らなかった
ひとりぽっち
.
蒼穹の中に
運命の糸
また引き寄せた
その時

もっとみる
仕様がない

仕様がない

薄い水面に
花びらが落ちて
ひび割れても
戻ってしまうのに
何度もこの手でかき混ぜる
.
酒にも酔えず
好きな唄
洩れ聴こえてくれば
.
そうなのか
大人はいつも
泣き損ねたままで
仕様がない
机上のスペクタクル巨編
誰にも止められないし
変えられたりしない
空想一つ
希望であれ
高らかに散れ
.
.
古い手紙が
溜め息で濡れて
読みたくても
滲んでしまうから
小さくこの手で折り曲げる
.
夢すら

もっとみる
sayonara

sayonara

欠けた記憶ほど
よく語る
埋められない
大きさを知るから
.
願うばかり
無地の夜
離れ離れでも
.
静かに脈を打つ
その途中で
逆を見る
不思議を一つでも
減らしておきたくて
潤んだ世界に
さよならを言う
独りなら
何処へでも行ける
.
.
惚れた昨日ほど
また光る
超えられない
正しさを知るから
.
黙るばかり
無事な夜
隣り同士でも
.
幽かに花は散る
その普遍で
底を見る
不思議と最後まで

もっとみる
花束と炭酸

花束と炭酸

涙には
溶けきらない
愛しさの成分が
浮かんでは弾けて
潔く割れながら消える
.
数えられるくらいならば
暇潰しにでも
するつもりだったのに
.
抑えられなくて
呑み込んだ
もう勢いに任せて
忘れてしまおうとした
その痛みには
慣れている筈なのに
同じだけ
また涙に変わった
温かいまま
落ちてゆくのを
黙って信じた
.
.
時間には
超えられない
淋しさの一端が
曲がっては離れて
美しく朽ちながら

もっとみる
木蓮と泡沫

木蓮と泡沫

唐突に
語り出せば
終わりに向かう
列は途切れる
.
立ち止まる交差点
緩やかな熱
草臥れた足音
.
その手を掴んだ
きっと選んだ
あの幾つかの中から
誰にだって
信じたいものの一つや二つ
あるということが
もう証明する必要のない
そのままの声で
愛で嘘で夢で
罪で運で
僕だ
.
.
健全に
思い出せば
栞を挟む
今も生まれる
.
振り返るカレンダー
滑らかな円
間違えた感動
.
また手を伸ばした

もっとみる
呼吸

呼吸

簡単に眠れるなんて
いつぶりだろう
と考えながら
布団の奥へと沈んでゆく
.
もう二度と
醒めない夢の中でも
呼吸は止まない
.
不自然に
心ゆくまでは
黙っている
届かないくらいが
ちょうどよかったのに
それでも
これはどうしてか
浮き輪も持たないで
堕ちてゆく底
.
.
永遠に眠れるなんて
今さらだろう
と間違えながら
瞳の奥へと潜ってゆく
.
もう一度
逢いたい夢の中こそ
呼吸は尽きない
.

もっとみる
どっちもどっち

どっちもどっち

命らしく
そのままで
輝こうものならば
ここでお別れ
.
優しさの代名詞
愛と勇気
もうそろそろグッバイ
.
信じられないんだ
それもそうか
他人事だからね
いつまでも
涙ながらに語った言い分
傍から見れば
どっちもどっちのイーブン
あとは多分
難易度の違いくらいで
見分けもつかない
その上でどっちになりたいのか
.
.
心強く
あるために
羨もうものならば
すぐに品切れ
.
愉しさの寒暖差
夢と

もっとみる
奇跡に狙われている

奇跡に狙われている

そして
背を向けた
あっちも
輝いていたから
.
まだまだ遠い空の色
忘れられず
.
心許ないからかな
泣いてばかりの
この頃は
理由だけを捜しながら
わざとらしく迷った
いつもの道
逢いたかったんだ
多分きっとさ
.
.
やがて
手を振った
そっちが
賑わっていたから
.
いよいよ長い風の中
見つけられず
.
取るに足りないとはいえ
逃げてばかりの
あの頃は
自由だけを叫びながら
わざとらしく笑

もっとみる