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生成AIが進化しても残るクリエイティブの仕事とは

生成AIの進歩はすさまじく、最低でも少なくない数の既存の絵をはじめとするクリエイティブの仕事は無くなることは確実です。

そのような中でも、クリエイティブをすでに仕事にしている人や、もはや進路修正不可能でクリエイティブに進むしか道がない、という人も多いはず。
では、どのような仕事が残るのか、過去の事実から可能な限り予想してみましょう。

関連で以前の記事で以下のようなものもございますので、よろしければ併せてご覧ください。
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絵の仕事は100%無くならない

絶対にすべてのクリエイティブの仕事がAIに置き換わることはありません。
上の記事でも述べたように、芸術としての絵等は残るでしょうし、商業的な面でも、クリエイティブの仕事は部分的に残った上で、現代人が今では想像できないような絵等の仕事の活躍の場が生まれる可能性もあります。

ただ、100%は無くならないかもしれませんが、99%無くなる可能性というのは十分にあります。

そして今の絵の仕事がどこまで無くなるのか、というのはまだ誰も予想ができません。それほど生成AIは日々、クリエイティブの仕事を食べ始めています。

これは絵の仕事が残ったとして、今目指していたり、今職業にしている人には十分すぎるほどの脅威です。

地球の歴史から考えて「絶対なくならない」と思われる今のクリエイティブの仕事

写真というものが現れて、それまでの絵の仕事はほとんど消えました。
記録画像としても、お見合い絵画にしても、記念の肖像画にしても今はほとんど写真に取って代わられています。

しかし、写真家というクリエイティブ分野は残っています。

そんな写真ですら、最新のカメラ機器はそれこそスマホなどで誰でも高度な映像や画像を、まったく知識が無くても撮影できます。

スマホのカメラの実力は100年前のカメラ技師が束になっても勝てないほどの内容を1000分の1以下の時間で実現するほどです。

であるにも関わらず、今でも撮影の仕事はあるし、スタジオもあるし、写真家もいます。

副業ではなく、本業でも足りるくらいの収入を得ることができています。

これは、たとえ生成AIが今後進化して、仮に脳内の創造物をすべて具現化して動画やアニメを自動で作れてストーリーも調整してくれるようなものが出来たとしても、クリエイティブの仕事が残ることを意味しています。

それは今のイメージでの絵を描く行為とはかけ離れた仕事かもしれませんが、絵に関する実力や技術は、必ず生かせるものです。

どんな仕事が残るのか

ディレクターやオペレーター

AIプロンプターやオペレーター、エンジニアは当然残るとして、それ以外のよりクリエイティブ寄りの職で残るのは何か、というとディレクションです。

いかにカメラが進化しても監督やプロデューサー、ディレクター等の進行管理や指揮、企画職は残っているようにクリエイティブに関しても同じことが言えます。

生成AIは0から1を作る創作が可能です。そしてそれは誰でも可能になり、マシンスペック制限も無くなって差別化は不可能になるかもしれません。

しかしそれはスマホが進化してカメラマンじゃなくてもプロ並みの写真が撮れるようになるのと同じ進化です。

スマホは構図を指示してくれるし、そのノウハウはTiktokなどでタダで手に入ります。
それでも依然としてカメラマンは仕事があります。

なぜかというと、いつの世でも「コストを掛けても99%ではなく100%の仕事が必要だ」「指一本でも動かすことが惜しい」「1+1の計算すら億劫」という人がいるからです。

それは金持ち相手の商売に限りません。何なら金持ちほど時間に余裕があって拘ってくる場合すらあるほどです。

誰でも使える機械は、別に誰でも使える機会を与えてくれるわけではありません。

AIに疎い人、完璧にしないとならない事情がある人、考えるのが面倒ですべて任せたい人、やり方は調べればわかるけど別に調べない人。沢山います。

現状では少なくとも生成AIのうち高度なものは誰でも触れることはできるものの、マシンスペックや知識の収集がある程度必要で、それなりに強い動機がないと触れることすらない人がほとんどです。

多くの人は毎日絵を描いたり生産したりしません。
あまり多くの絵を創り出す必要がないが、絵が必要になる仕事の場合、絵の生産部分は大量生産しているところに外注したほうが安上がりになることがあります。

個人事業主が忘れがちですが、自分にも人件費はあるのです。

自分が動くことで起こる機会損失を防ぐため、誰でもできるとしても外注したほうが良いことは多数あります。

例え無料で生み出せるマシンがあったとして、それを使う人にはお金が掛かるわけです。

芸術や形式のため

スマホが普及している現代でも写真スタジオが存在している理由は、式典などの特別な機会にはプロの技術が求められ、その意義が評価されているからです。結婚式などの重要なイベントで「安く済ますために自分でスマホで撮影する」という選択をする人は少ないです。

プロの写真には完璧さが求められることもありますが、単にお金をかけること自体に価値を見出す人も少なくありません。重要な人生のイベントでは「最も安い写真館を探す」という選択肢がしばしば見られます。しかし、コストを優先するなら自分でスマホで撮影するのが最も安上がりですし、内容を重視するなら高いサービスを選ぶのが合理的です。

この矛盾した行動は「ちゃんとしたところで撮影したい」と「お金をあまりかけたくない」という2つの基準が影響しているからです。これは写真だけでなく、絵や他のクリエイティブな分野にも当てはまります。

例えば、観光地での似顔絵描きがその典型です。最もリアルな記録を求めるならスマホで撮影すれば十分ですが、特別感やフォトジェニックな要素を求めるなら、もっと高価なサービスを選ぶのが合理的です。それでも似顔絵描きが存続しているのは、記録を残す以上の需要があるからです。

同様に、スマホで手軽に盛れる時代にプリクラがまだ存在している理由も、見えない需要があるからです。プリクラの商売は、証明写真には使えず、コストもかかり、スマホ以下の機能しかないにもかかわらず成り立っています。

似顔絵やプリクラの価格設定は絶妙で、しっかりとした需要調査に基づいています。生成AIや絵画では不可能な、手書きの絵には独自の需要があるのです。たとえ生成AIで手書きと同じクオリティの似顔絵が安く提供されたとしても、手書きの似顔絵とは異なるものであると直感で感じられるはずです。

コーチング

上記の例と同じように機械は機会をすべて提供するわけではありません。
幾ら簡単と言っても、芸術的観点や技術的な観点から教えを乞う人は沢山出てきます。

機械が進化するほど、対応するための知識や技術も増えていきます。パソコンの性能が向上すると、それを使いこなすためのパソコン教室の需要が増え、エンジニアが扱う仕事やプログラミング言語も増えて一層複雑になります。

絵の分野でも同じことが言えます。アナログ画材と比べて、デジタル時代の絵は3Dや動画などの新しい技術が加わり、必要な知識が格段に増えました。生成AIも進化すればするほど、可能なことが増えて技術的な複雑さも増していくでしょう。

グーテンベルクが聖書を印刷し始めたことで、手書きの写本は過去のものとなり、印刷技術は時代を変えました。現代の印刷技術は中世と比べると多くのことが可能になり、DTPの仕事も複雑化しています。

しかし、中世の写本づくりでは「文字の美しさ」や「色彩感覚」といった個人的な技量が重要だったのに対し、現代では「色の組み合わせ」や「視覚効果」といった知識が技量の基準になっています。写本からタイプライター、ワープロ、そして現代のPCやタブレットに至るまで、感覚や身体的な技術は求められなくなった一方で、知識や技術の幅は広がっています。

生成AIの登場により、将来は絵画スキルがあまり問われない時代が来るかもしれません。今、字が汚くても文字に関わる仕事ができるように、絵が下手でも絵の仕事に就ける時代が来るかもしれません。

技術が進むことで、絵の分野は属人的な要素が減り、経験や学習による知識が重要になります。現在のように属人的で教えにくい絵ではなく、知識さえあれば誰でもできる未来の絵の技術が広まるでしょう。それに伴い、「絵」を教える仕事もますます増えていくはずです。

自分のプロデュースをしっかり練る時代

クリエイティブ業界は、今までがおかしかったのです。
世の中のほとんどは需要を遥かに上回る供給があって当たり前で、アメリカなどは100年以上前からマーケティング(売れないものを売る技術)が熱を帯びていました。

クリエイティブの仕事は独占でした。魔法使いが魔法を使えない一般人相手に殿様商売していたのです。

世の中は売れなくて当たり前な世界で、クリエイティブだけが上から目線で描けば売れる(他の人ができないから)時代は昭和時代まで確かにありました。

今、クリエイティブはようやく他の業界と同じになったのです。
これからクリエイティブは「自分の好きなものを描いて売れる時代」ではなくなります。

他の業界と同じように「売れる場所を特定して自ら戦略を立て、マーケティングをして需要を創り出す」時代になります。

上手ければ売れる時代は終わりました。これからは誰もが上手い絵を創れる時代です。

スマホが普及した今、カメラマンをやりたいからと言って「人を撮影するのでお金ください」と言ってもそんなもの途上国の強盗が写真を観光客に売りつける行為以外、商売は成り立ちません。

どうしたら、どこで、売れるのかという戦略を立てて撮影は成り立っています。

これからは絵の上手さを鍛えるだけでは不十分になります。
例え技術が世界一だとしても、それが世の需要に合ってなければ一切売れない時代が来ます。

AIに負けないAIっぽい絵を描いても絶対負けるでしょう。少なくとも価格競争で勝ち目はありません。

それよりは、AIで生成できない絵や内容、需要がどこに残るかを考えるほうが建設的でしょう。

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