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イラスト・漫画専門学校に行く価値はあるのか

「夢」のある仕事には必ずと言っていいほど、専門学校や教室があります。
最近ではYoutuberやプロゲーマー専門の教育機関というものもあり、巷ではこれらは「行くべきではない」「情報弱者からカネを取るだけの仕事」などと言われることも少なくありません。

そしてイラストや漫画といったものも、依然として「夢」の仕事であり「カネ」になるのは間違いなく、多くの教育機関があります。

ではイラストや漫画の専門学校は、果たして「情報弱者産業」なのか、行く意味はあるのか。解説します。

学校はカネ稼ぎのために存在するのは確か

まず大前提として、学校教育機関というのはボランティアや公立や大学校でもない限り「カネ稼ぎが最優先の企業」であることは確かです。

これは専門に限らず、カルチャースクールから大学校までそうであり、決して生徒を最優先にして体を張るものではない。ということです。

もちろん学校は営業のために生徒第一などを掲げるのは当然ですが、あくまで顧客であるからそうしているというのはあります。

何が言いたいかというと、どんな学校でも入学した人の面倒を親のように見てくれることは決してない。

つまり自分でその学習環境を生かし、努力し、自ら戦略を立てて過ごさないとどんな学校でも無駄。ということです。

成績だけ取っていれば自動的に得られるものは卒業資格だけで、認可された「専門学校」でないならそれすら手に入りません。

専門の価値は入学後にすべて決まる

専門学校は大学よりも学歴としては下になります。
大学のように「とりあえず卒業さえすれば就職先が広がる」ということはほぼありません。

入学後の活動の内容ですべて決まります。ようは入学後から即就職に向けた活動が始まるようなものです。

一般的に専門卒者が優遇される場面は「専門技術」「専門資格」を有しているかであって、専門卒の資格自体はそこまで大きいものではありません。

そしてイラストや漫画というものには資格という概念がないので、技術一辺倒。つまり努力せず過ごす=技術が無い=カネも時間もすべて無駄。となります。

美大であれば、大卒資格と美大ブランドがあり、それ自体が資格となったり、それだけでも大きな価値を持つことはあります。

しかし専門は技術が備わらなければ独学と同じ。一応専門卒者(※認可されている学校に限り)という資格はありますが、それは微々たる力で、ほぼ時間の無駄という結構シビアな世界になります。

イラスト専門学校はどういったところなのか

イラスト・漫画の専門学校には3つの側面があります。

  1. 生徒を逃がさないための集金組織

  2. 職業斡旋、コネづくり

  3. 専門技術の習得

集金組織として

表向きにはこれは出していません。

専門学校の収益源のほとんどは、生徒からの学費です。
中には、専門学校がプロダクションなどと組んでプロジェクト参加している例もありますが、シロウトの延長の生徒が参加するので、ほとんど金銭的無益、あるいはカネすら出していてマイナスもあります。
これは実績作りのための経費です。

なので経営を成り立たせるためには生徒を沢山集め、生徒を逃がさず在籍してもらう必要があります。

ちょっと脱線しますがイラスト・漫画の受講生の結構な数が課題をやってこないか遅れて出す、出しては来るが適当。なんて状況はあります。

それでも先生は彼らを褒めたりして繋ぎ留めることをしないと、収益が逃げるのでとにかく繋ぎ留めることもします。

なので、これはイラストに限らずですが「サボろうと思えばいくらでもサボれる」のが実情です。

別記事で述べる予定ですが、就職実績などはいくらでも弄れるので、学校としては「何もしなくてもいいからカネさえ黙って払ってくれればいい」という側面もあります。

優秀な上位1割以下を重視して就職させ、その他は金づる。というのが実態です。金づる枠に入らないためには、かなりの努力が必要でしょう。

職業斡旋として

専門学校と独学の最大の違いであり、ある意味では専門学校を選択する際のメインコンテンツと言えます。

機会としてはほとんど無く、年数回あるか無いかの「特別講師」の授業、就活時に編集者を直接呼んでの活動、その専門学校卒者用の専用枠(いわば推薦枠)があったりと、常日頃から恩恵を受けられるわけではないですが、接触するチャンスがあるのは確かです。

ところでこの記事で意図的に「アニメ専門学校」の名を出していないことにすでにお気づきな方もいるかもしれません。
実はアニメ科とイラスト・漫画科は本当に「別もの」です。

アニメ側は独学ではなかなか難しい技術やチームコミュニケーション、工程、アナログでの制作経験など比較的専門・実践的なカリキュラムがあります。

そして就職先としても、アニメ制作会社の多くは美大卒(大卒)から採るほどの給料が出せないので、専門学校に人材募集を委ねることも少なくありません。

つまり結構太いパイプがある(※無い専門学校もある)ので、恩恵が受けやすいです。

一方で、例えば漫画というのはほとんどが専門卒者ではありません。
アニメはチーム戦なので一定の技術水準があればできますが、漫画は個人の才能なので絵の上手さとあまりリンクしません。

なので専門で世界最強の漫画の技術を得られたとしても、それで就職できるとも限らないというわけです。

となると漫画やイラストの職業斡旋はアニメ科より遥かに弱い場合があります(特に漫画)
漫画はアシスタントとして就職するクチもありますが、漫画家の個人的人づてや直接持ち込みを行った人から採るので、専門出の意味は薄いです。

本来メインコンテンツとなる職業斡旋がアニメ等よりは弱いので、そこの点は注意しましょう。
一方で無くはないので、後は個人的な判断で決めるべきところです。

技術の習得

学校としては、本来のメインコンテンツはこちらです。
カリキュラムについては長くなるので別の記事で紹介します。

漫画・イラストについては最初期はアニメ科とさほど変わらず、絵の基礎講習を受けます。
ちなみにこの時点で何割か脱落(学校に通うも惰性で向上心を失うことも含む)します。

漫画についてはストーリー構成という面があるので、1年目から結構分かれる学校もあります。
基本的にどちらもアナログから最初入ります。

漫画についてはほぼ全学年でアナログ重視なところもあります。
そして、漫画・イラストは究極言えば独学ですべてできます。専門機材も安く個人で買える範囲(少なくとも学費よりは安い)、アナログ漫画家なら数千円でも極論デビューできてしまうわけです。

ただ、その独学というものが意外にも難しく、効率的に学ぶなら専門学校は良いところです
その学費に見合うかは、個人によるでしょう。

講師の質としては、元漫画家や元イラストレーター、美大出身者、あるいは現役を標榜して「常に第一線の情報を仕入れている」という宣伝をするところがあります。

少なくとも何等かの実績があるわけですが、有名な人はあまりいません。同人漫画が主軸で商業漫画に何度か載った程度。という人も採用されていたりします。

ただ講師というのは、個人の実績より教えるのが上手いか下手かなので、どちらかというと天才よりも努力と計算で漫画やイラストで花咲かせた人のほうが、講師としては向いているかもしれません。

専門学校を選ぶかどうか。

それは「他に行くところがないから」「大学より楽そうだから」「入れば就職できそうだから」という理由では失敗する可能性が高いことが分かるでしょう。

どうしても専門学校である必要がある。という目的意識と人生戦略を持って、よく考えていくべきです。

このブログでは、どういう視点で行くべきか、どういったところを見るべきか、イラストレーターになるために何をすべきか、などを記事にしていく予定です。

専門学校やイラストをやっていない人も、興味本位でも見て頂けたら幸いです。

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