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自分自身の言葉を持たない政治家というのは、ブルースコードが弾けないエリック・クラプトンみたいなもんだ。

「村上RADIO 年越しスペシャル〜牛坂21〜」で、
あの村上春樹さんが、
メモを見なければ話せない菅首相を暗に批判し、
そして多少の怒りを込めて言った言葉だ。

政治についての、特に政権批判をnoteユーザーが
好まないことはいくつかの経験で知っている。
しかし、それでも私は、この村上さんの言葉を聴いて、
この首相について、
そしてマスメディアの悪しき姿勢について、
持論を書かずにはいられなかった。
※したがって、以降は菅 義偉および日本のマスメディアについての
 批判になりますので、興味がない方は読むのをおやめください。

言葉を持たず、説明する意欲がない男

この首相は官房長官時代、
定例会見で質問を受けて答えた際、
メモを読むことで記者が引き下がる場合はよいが
(こうした記者は自分の存在価値をどう捉えていたのだろう)、
たたみかけて質問されると
「該当の省庁に訊いてほしい」などと言うか
メモを多少、アレンジして繰り返すのみだった。
「仮定の質問には答えられない」もあったが、
想像力もないのか、と疑う。
そうした姿勢は、
内閣に都合が悪い質問の場合、
「それはあたらない」という決まり文句を
全てに理由を示さず言い続けるか、
同時に理由を示さない断定(『それは発言の通りです』など)のみを
頻繁に重ねる対応に終始させた。

つまり、基本はメモの内容を出ず、
不都合な質問には説明なしの断定で打ち切っていたのだ。
官房長官時代のこれらの会見を見ていれば、
この首相が、自分の言葉で話せず、
また、丁寧な対応に価値を見出さず、
マスメディアと正面から向き合わず
遠ざけていたことは明らかだった。

新首相への期待だけを煽った報道

翻って菅首相誕生時、マスメディアは、
自身を蔑ろにしたこの首相を、手放しで持ち上げた。

この首相の地元商店街の騒ぎや、苦学生だったという過去、
あるいは好物などを一斉に伝え、
好イメージをこれでもか、これでもかと流し続けた。
疑惑山積だった安倍政権をストレートに継承していること、
そして、自分の言葉を殆ど持たず、質問をはぐらかす体質について
指摘することは、
「全く」とは言えないが、殆どなかったと言えると思う。
就任時の7割前後の高支持率の主因は、他ならぬ
マスメディアのこうした“提灯報道(情報提供者に都合のいい面のみを
強調した報道)”の嵩上げにあったのだ。

有効な選択肢を提示できないマスメディア

別に、あることないこと調べずに批判しろとは言っていない。
しかし、背後に日本国民が控えるマスメディアに対し、
あれだけの皮相的な対応を見せたこの政治家を、
なぜ客観的な事実をもって批判しなかったのか。
そして、
国民に正しい選択肢をなぜ提示できなかったのか、
それは報道を行う機関として、罪であると思う。

いま頃になって「支持率急降下」などと
盛んに言い始めたマスメディアには、
政権発足当時の高支持率が、ほかならぬ
マスメディア自身の無責任な誘導がもたらしたのだという
反省は皆無だ。

昨日行われた宣言でもメモを頼りにした
この菅 義偉という政治家は、
自分の言葉で語れないために
メッセージに心を通わせることができず、
結果、国民をより適正な方向へ導く力を
現在のところで示せておらず、
危機を収束できないリーダーとして、
メモを読み続ける。

誰がやっても100%の政治などできないいまだからこそ、
悩みや躊躇も含めて自分の言葉で語ってほしい。

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