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超短編小説 恋人がサンタクロース

この超短編小説は私とみたかの小さなプリン屋さんとのコラボ企画「プリン屋さんとフランスかぶれ」用に書いた作品です。今回もふたり同じ「クリスマス」というテーマで書きました。


 ていうか、私の恋人がサンタクロースだからってなんで驚くのよ!

 若く見えたから?……そりゃそうよ、彼まだ25だもん。えっ?サンタクロースはおじいさんだと思ってたって?

 いやいやいや。よく考えてもみてよ、めっちゃ重労働だよ、サンタの仕事。お年寄りなんて実際はほとんどいないよ、あの業界。今40くらいの人が最年長なんじゃないかな。

 えっ?やっぱ聞かれるよね、出会いでしょ?友達の紹介よ。

 クリスマス全く興味ないし、むしろ嫌いって話をしたらさ、それなら会ってみてほしい人がいるんだよねって言われて。何してる人か聞いたら、サンタクロースだよ、って答えてきてさ。しぶしぶ会ってみたらめちゃくちゃいい人だったってわけ。きゃあー!恥ずかしいー。

 サンタってさ、12月1日に召集かかって正月三が日あたりまでは残務整理するから、ホリデーシーズンってやつ?全部不在なのね。世の人たちはその季節に一人ぼっちになりたくないから恋人を作りたがるんでしょ?そういう人達からしたらどうかしてるって思われるんだろうな、私って。

 で、なんで大森さんにこの話してるかっていうとさ。大森さんこの前の飲み会の時に言ってたじゃん。昔彼氏にデートの約束すっぽかされて以来クリスマス大っ嫌いって。この先恋人が出来てもクリスマスは一人で過ごす、みたいなこと。それを聞いてピンときたのよ。これはいけるって。

 大森さん、こんなこと聞くのは失礼かもしれないけど、今付き合ってる人いるの?あっ、いないんだ(よっしゃ)。

 あのね、紹介したい人がいるのよ。そう、サンタクロース。彼氏の後輩でさ。まだなりたてなんだけど、これからもずっと続けていくって決めたんだって。

 もうね、サンタ仲間全員から絶賛されるくらいのいい男でさ。背が高くてスキーうまくて。雪の街出身でご実家も名家らしいよ。そういうの全く鼻にかけない人だけどね。

 究極の季節労働だからね、不労所得があるとかけっこう生活に余裕がある人じゃないとできないのよ、あの仕事は。

 子供たちの笑顔のために厳しいトレーニングしてさ。志が高い人ばかりだよ。彼はその中でも才能がずば抜けているんだってさ。

 みんなサンタの仕事に誇りを持ってるんだけど、恋人ができないってことだけがネックみたい。クリスマスに一緒にいられないってわかると振られることが多いらしいんだわ。

 その点は大森さんだったら全く問題ないでしょ?一人で過ごしたい派だもんね、クリスマス。

 恋人がサンタクロースっていいじゃん、なんとなく。ユーミンも昔歌ってたみたいだし。

 どう?会ってみる?



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