(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
レナード・ムロディナウ氏の著作は、以前「たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する」という統計学や確率論を扱った本を読んだとことがあるので、本書で2冊目になります。
こちらは「科学史」です。
解説は、第一部「直立した思索者たち」、人類の誕生から始まりますが、全編を通して、私の興味を惹いたところをいくつか書き留めておきます。
まずは、人類が「科学」を意識的に活用し始めた契機を指摘しているくだりです。
この法則への目覚めをより高めたのが、新石器時代の定住地の拡大だったと論は続きます。人々が力を合わせて知恵を出し合うようになったのです。
この自然の規則性や法則を学ぶ段階から、人びとは、法則に則って自然を理解するという段階に進んでいきます。
しかし、次に登場する巨人アリストテレスはこういった定量的思考を否定しました。
アリストテレス哲学は、長年にわたって物理学・化学・生物学等々幅広い分野を支配していました。
その物理学の世界でのアリストテレスの種々の説を壊したのが、ガリレオとニュートンであり、さらに、ニュートンの考え方を壊すのがアインシュタイン・・・と連なっていきます。同じように、化学の世界での破壊者はラヴォアジェであり、生物学の世界ではレーウェンフックでした。
そして、著者は「エピローグ」で、とても興味深い「頭の体操の問題」を提示して、本書にて伝えたい “科学の進歩の営み” について述べています。
その答えは「Yes」です。
そして、さらに大切な指摘です。
こういった数限りない科学者たちによる膨大な “知的格闘” によって、今の人類の知識の到達点があり、そして、まさに今もこういった “格闘” が繰り広げられているのです。