見出し画像

プシュカルという聖地〜欲〜【インド#15】

聖地プシュカルでの俗っぽい話の続きとして、物欲と食欲の話を。


まず、プシュカルに着いた日は絶賛生理前で、またもやホルモンのせいでメンタルが不安定であった。
プシュカルに来てすぐに生理が来て落ち着いたものの、生理痛がひどくてあまりあちこち観光する気にもなれず、宿の近くの通りをうろうろ歩いては、カフェに入って休憩するという時間が多かった。
プシュカルは、買い物天国とも呼ばれており、歩いてみていると、なるほど欧米人が好きそうな洋服やアクセサリーなどの店がズラズラっと並んでいる。
そして他の都市よりも安い気がするし、バリエーションが豊富な印象がする。
買い物天国の証として、荷物を発送する代理店も多い。イスラエル行き、イギリス行きのダンボール箱が店先に山積みされている。中には日本や韓国にも発送しますよ、という注意書きもある。
プシュカルに来たツーリストが山ほど服や雑貨、アクセサリーを買って、荷物になるから祖国に発送したり、またはインド雑貨や服を売るお店の人たちが買い付けに来ていたりするようだ。
買い物好きの私としては、どう抑えたってウキウキしてきてしまう。
スイッチが入りそう。何だかソワソワしてきた。

まずは、買い物欲とはあまり関係のない生理用品を買う。

生理用品は、小さな売店の戸棚に入っていて、ナイト用とか、XLをくれと売店のおじさんに指を差して言って、他のインド人客も「XL!XL!」と連呼してくれて取ってもらうのがすごく嫌だった。
女は生理があるので、長旅は大変である。
私は、長距離移動日を生理の予定と被らないように必ずずらしているので、そこに頭を使わないといけないのも面倒である。
XL、45Rs(72円)
日本と比べると安いが、インドの感覚でいくと高級品。
ちなみに、割とよく、日本の女友達に「海外の生理用品はどんな感じ?」と聞かれる。
まあ、日本と質はほぼ変わらないけど、日本の夜用の鉄壁にガッチリガードされる高性能のやつはあまりないかも。
そしてつたい漏れ防止とかさらっとした感じとかも、日本のものが優れている。
羽根も何となく心許ない気がする。
あと、一番違うのはめくる紙。
日本のはめくりやすいし、外側の包み紙をめくれば、一気に全部の紙も剥がすことができるが、タイやインドのものは、外側の包み紙をめくってから、内側の二箇所くらいの紙をそれぞれ剥がさないといけない。そして最初の外側の包み紙がとてもめくりにくい。
この地味に余計なひと手間がすごく面倒くさい。
こういう細部の工夫が日本プロダクトだなと感心する。
(女性向けの情報でした)


インドの生理用品事情は、実話を元にした映画「パットマン 5億人の女性を救った男」をぜひご覧にいただければと思う。

プシュカルの目抜き通りは、他のインドの聖地と同じく神様関連の物がたくさん売られていたりするのだが、ここの独特な点の一つが、刀が売られていること。
武器商人が多いのかなんなのか、理由が分からないままだが、どういう経緯なんだろう。誰かに聞けばよかったと後悔している。

巨大唐辛子みたいな刀
ホーリー用?色の粉屋さん。
あちこちに服屋。
ラジャスタン州でよく見たターバンとサングラスとヒゲのモチーフのTシャツ。
全く欲しいとは思ってなかったのに、ラジャスタンを離れてから見かけなくなり、買えば良かったなぁと後悔し始めている。
こういう洋服屋さんが多くて、つい立ち止まって見てしまう。
フックや取っ手屋さん。
アクセサリーのパーツ屋さん。
私のファッションセンスがどんどん迷子になっている。
牛は神様の使いだとか言うが、
牛も買い物する町、プシュカル。



私は宿を移るたびに何かを忘れたりなくしたりしているのだが、前の町、ウダイプルでは、昔パリでカスタムメイドで「carpe diem」と自分の名前を刻印してもらったゴールドのバングルをなくした。
これは衝撃的にショックだった。
シャワーの前にリュックのサイドポケットに突っ込んでしまい、突っ込みながらもああ、こんなとこに入れると絶対落とす!ってその時に頭をよぎったのに、自分の想像通りどこかで落としたらしく、どこを探しても見つからなくて泣いた。
コンセントプラグのパーツ、携帯のショルダーストラップの紐、ブレスレット、白のワンピース、S字フック、カラビナ、靴下…。
いろんなものをなくしすぎている。
サングラスも割れたし、物を壊すことも多いが、ボーイフレンドのジュンさんに聞いたら、旅で何も忘れたりなくしたり壊れたりはしていないらしい。
なんと。
旅人あるあるだと思っていたのに、私あるあるなだけかも知れない。
何かをなくしたら、悲しさを紛らわせるためにすぐに新しいものを買うようにしているのだが、ゴールドのバングルブレスレットの悲しみを癒すが如く、新しいブレスレットを買うことにした。

そして、笑顔のお姉さんから、手作りブレスレットを購入。

笑顔の素敵なお姉さん。
20Rs(32円)

えっと。
思ってるのと全然違うものを買った。
ゴールドはゴールドでも、ちと方向性が違う。

これ、本当にブレスレットなのだろうか。
お姉さんに聞いたらブレスレットだと言って、腕にはめてくれたけれど、
はたして。
色や柄にこだわって10分近く悩み続けて買ったのだが、そこに悩む前に、そもそもブレスレットなのか、ブレスレットとして使えるのかどうかをもう少し悩んでもよかったかも知れない。

これはブレスレットとしては使えなさそうだと、宿に帰ってからナメタちゃんに「それは何?」と聞かれてから気づいてしまったので、他の用途で使うことにした。

不安定なコースターとしても使える。
小物置きにも使える。
これは、チットールガル仲間のカオシンの美肌に憧れて買った、プシュカル産のバラで作ったローズウォーター。ものすごくいい香りがして、日焼けでヒリヒリする顔にも鎮静効果を感じる。
ローズウォーター置き場にもちょうど良い。

当面、枕元に置いて、いろんな小物を置く時に使うことにした。
すぐ目につくところに派手なものがあると、気持ちも上がるし良い。
と思うことにしたものの、なくしたブレスレットの悲しみの穴は全く埋まっていない。

こんなに物をなくしたり壊したりするのは、自分のパワーが足りないせいだと思い、パワーストーンのブレスレットを買った。
「ラピスラズリは最強のお守り石だから」とこれを作ったインド人のお兄ちゃんが私に力説した。
そういうのはあまり信じていないので石は何でも良かったのだが、濃いブルーのものが欲しいという私のお眼鏡に叶うものだったので買うことにした。
コードが伸び縮みして、シャワーの時も外さなくてよくて、つけっぱなしにしておける物で、短めのシンプルなものにして欲しいと伝え、長めのコードや金具を切って取ってもらって、私好みの平編みに編み直してもらい、余ったコードも短く切ってもらった。

こだわりの強い女なので仕方ない。
なんなら自分で作っても良かったのだが、プシュカルの記念として、お兄ちゃんにお直しまでしてもらった。
「これは本物のラピスラズリだよ」と言って、写真を撮ってGoogleで検索をかけて見せてくれたりしたが、そもそもそんなことで本物かは証明にならないと思ったし、本物の石かどうかはどっちでも良くて、色が気に入ったので、大満足の220円であった。

ラピスラズリ、150Rs(220円)
ブレスレットをこんなかわいい巾着袋に入れてくれたのも良かった。耳栓入れにした。


そこからは、私もいよいよ本気の買い物熱が出てきたため、いろいろと買い始めることになった。
ブルーのサルエルパンツ400Rs(640円)も、余り布で作った可愛い巾着袋に入れてくれた。
この町は買い物袋の代わりに可愛い巾着袋に入れてくれる店が多かったから、巾着袋がかなりたまった。
ポーチ病から巾着病に移りつつあった。
それから限定デザイン(キャンドルを川に流しているイラスト)のニベアや、リンス(これはただリンスが切れたから)を買った。

インドではシャンプーしかせえへんのか?というくらい、シャンプーばかり売られていて、ようやく見つけたリンス(コンディショナー)

そしてそして、調子に乗って暑いのにウールのポンチョ(450Rs 720円)を買って、変な柄のストール(250Rs 400円)も購入。
ポンチョは寒い夜にかぶって眠れば毛布がわりになるし…と思ったのだが、ラジャスタンは猛暑になりつつあってしばらく出番もないため、ジップロックで圧縮してバックパックの底に眠ることとなった。
ストールはよく見ると可愛い柄だが、巻いてるとただのヒョウ柄っぽく見えて、大阪のおばちゃん感が増した。
着こなせてしまう自分が悲しくなった。

ポンチョは日本でも着れるようにシンプルなネイビーにしたが、そもそも色は関係なくて、ポンチョって日本で着るか?って疑惑がある。


そんな感じで、一つ一つはかなり安いが、なんやかんやと目につく気に入った物を買った。
その都度入れてくれる可愛い柄の巾着も増えすぎたため、一つの巾着に巾着を詰め込んでパンパンになるというポーチ病とほぼ同じ現象になった。
しかし、荷物が増えるから我慢我慢、と思って旅してきたが、買い物をするとかなり欲が満たされて幸せな気持ちになれた。
時々は、かさばらないものなら買っていけばいいよな、って自分に甘い考えで思った。
だが、バックパックがパンパンになってきたので、担ぐたびに、重い、参ったなぁ…と移動日に苦しむことにはなったが。
(そして、デリーに戻った時に4kgの荷物を日本に送ったという流れ。)


次は食欲。
宿の階段を登れば、外に出なくても美味しいご飯やドリンクがあるから、生理痛でどこにも行きたくない時には宿の屋上のカフェへ。

座敷風の席もあって居心地が良い。
サンドイッチはおしゃれな盛り付け

繰り返しになるけどプシュカルは聖地なので、基本的に肉料理はない。
ベジタリアンな町である。
そして、欧米人向けなのかなんなのか、ビーガン料理の店が多く、卵すら使わない店も多い。
肉が食べられないストレスが、ジワジワとたまってきていて困った。
「肉がないならフルーツやケーキを食べればいいじゃない」と私の心の中のマリーアントワネットがそそのかすので、その声に従うことにした。

あとで撮影禁止と知ったカフェ。
プシュカルは聖地なので、撮影してはいけない場所がある。
Lemonada?というプシュカル名物?のドリンク。
レモンとミントを水で割ったジュース。
店員が、「ちゃんとミネラルウォーターを使ってますから安心してください」と言いにきた。
インドで氷や水を使う飲み物は飲まないようにしていたが、そう言うなら、と思い試してみたら、見た目に反して美味しかった。
フルーツサラダとレモナダで250Rs(400円)という少し高価な朝食をしょっちゅう食べた。
気分は、ハワイ在住、ピラティスとサーフィンが趣味のモデル風。


フルーツサラダは、その日にあるフルーツによって、内容が変わった。りんごが多い日や、パパイヤが多い日など。

「マツコ有吉のかりそめ天国」を見ながら食べる朝食。


それからレモンチーズケーキ。
正直それほど美味しくはなかったし、不味くもない。
フランス人がやってるカフェのクロワッサンは、美味しかった。
だが、大体ハズレることのないにんじんケーキが美味しくなかった。
なぜだ。

340Rs(540円くらい)
紅茶と合わせて130Rs(200円くらい)
ハイビスカスティーとセットで
250Rs(400円)

なんとなく頭に浮かんできた私の説がある。

卵を使わず、砂糖も控えめにして作るケーキは、やはり無理があるのではないかということ。
ヘルシーだし、甘さ控えめのケーキが好きな人たちが一定数いることは分かっているが、やはりスイーツはその名の通り甘くあってほしいし、卵白、卵黄はふんだんに使うべきだと思う、私はね。
豆乳よりもそこは牛乳を使って欲しい場面ってものがあるから。
そんなこと言ってるから痩せないのだとは重々承知しているが、私の好みのケーキはこの町にはなかった。

野菜のカレーばかりでは飽きたので、チベット料理屋に行ったり、高級イタリアンなどにも行ったりした。

トゥクパ
ベジモモ
洒落たレストラン
トマトとツナのパスタとモクテルというノンアルコールカクテルと合わせて 540Rs(864円)高い!

ベジタリアンが肉がダメなのは理解できるが、卵がダメだというビーガンがもう一つ納得がいかないし、チーズのような乳製品はOKなのは目をつぶるとして、ツナ缶はいいのかよという複雑な思いがあった。
魚も命なのに、よく分からない。
がしかし、私にとってはありがたいツナだったのでなんでもいいやと思って食べた。


インドのカフェでよく見かけるメニューに「Hello to the Queen 」というものがある。
一体何なのだろうとか気になってはいたが、割と高いので見て見ぬ振りしてここまで来たが、美味しいスイーツを欲しすぎていたので、初めて女王にご挨拶をすることにした。

女王様、ハロー!
280Rs(448円)

何なんだ、このデザートは。
全く女王にご挨拶感がないが、まずはとにかくデカすぎる。
「1人で食べるの?2人分ですよ」と店員に言われたが、いいから持ってきてちょうだいよ、と女王気取りで言った。
きてみたら確かに2人分のボリューム。
ビスケットを砕いたものに、切ったバナナがまぶしてあって、バニラアイスがドーン、ナッツと生クリームにチョコレートソースがたらーり。

シンプルに美味い。
これよこれ。
チョコレートパフェを、パフェの容器に入れずにお皿に適当に乗せちゃいました感。
こういうの好きでしょ感。
スイーツってこういうことでしょ感。
最高である。
もうぐちゃぐちゃにして食べた。
皿も口の周りも汚して最高だった。
「Hello to the Queen 」の名前の由来が全くわからないが、エリザベス女王も喜んだことだと思う。
プシュカルで唯一、私が美味しいと認めたスイーツ、ハロートゥザクイーン。
誰がどう作っても不味くなるはずのないデザートは、最高だった。


物欲、食欲を満たしたプシュカル。
「プシュカルは聖地」ということをそろそろ感じに出かけようと思った後半。
聖地に関しては次回。


この記事が参加している募集

買ってよかったもの

ご当地グルメ

サポートしていただければ、世界多分一周の旅でいつもよりもちょっといいものを食べるのに使わせていただきます。そしてその日のことをここで綴って、世界のどこかからみなさんに向けて、少しの笑いを提供する予定です。