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ドラマ「逃げ恥SP」が素晴らし過ぎた。

色んな感動でびっくりしている。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類 新春スペシャル」がとにかく素晴らし過ぎた。
と140字で呟こうと思ったけど文字数が少しはみ出たので、ちょっとだけここに、今見終わったばかりの勢いで箇条書きで書く。(2回目を見ながら)
このドラマを見たことのない人はさっぱり分からないと思うし、録画していてこれから見る人も読まないでください。ネタバレしまくりなので。
本日は、ドラマ好きの女が、見たばっかりの逃げ恥SPに感動しすぎて書き殴っているだけの駄文です。

・菅首相を真似て横分けヘアーのみくりさん(ガッキー)の令和宣言からスタート。
・選択的夫婦別姓 
これをドラマで取り上げてほしいと願っていた。
説明も問題提起もよくできていた。できればみくりさんには別姓を選んで欲しかったが、合理的な判断を下し、同姓を選び夫婦で協力し合うのが素晴らしかった。政治家全員このドラマ見ろよと思う。あ、私なら絶対別姓を選ぶけど。

・産休育休問題
女性が産休を取るのは「職場内で順番で」とか、男性が育休を取ることの難しさの問題提起。「仕事を休めないことの方が異常」「さも当然という顔で育休を取る」「普通のアップデートをする」などのみくりさんと平匡さん(星野源)の会話が秀逸。私も、さも当然という顔で3週間の有給休暇を取っているが、これからはみくりさんの表情を見習いたい。
育休に反対している平匡さんの上司(青木崇高)に、「育休だから嫌なの?誰がどんな理由で休むことになるか分からない」と会社においてのリスク管理について説く沼田さん(古田新太)の伝え方がとても優しく納得のいく説明だった。

・「男は大黒柱」発言への疑問
父親に「大黒柱になれ」と言われ「責任はもちろんあるけど大黒柱はもう古い。夫婦2人の責任でやっていく」と返す平匡さん。自分の父と違って「僕は僕の思う理想の父親になれば良い」という一見いい言葉を口にする平匡さんに対し、「理想って何?」と少し疑問に思うみくりさんとかが相変わらず過ぎてむちゃくちゃ共感。そういうとこに引っかかるみくりが他人とは思えず大好きだよ。「理想を持つって疲れちゃうよ」と言うみくり母(富田靖子)も良かった。

・最新の調理家電の導入や家事外注、家事と仕事の両立
みくりさんの体調が悪くてAmazon(と思われるもの)の宅配を駆使して買い物をしているが、段ボールが積み上げられて部屋が散らかっていくリアルさ。ぼろぼろになった末、家政婦を雇い、人に頼ることの大切さを伝える。

・共感とは・ジェンダーロールの呪い
「誰かと一緒にいても孤独、家族と一緒にいても」「みんなそう」「時々でも誰かと話したり聞いてもらって共感してもらう時間があれば大丈夫。」「男の方が難しい」「男らしくあらねばも呪い」ゆりちゃん(石田ゆり子)はほんとうに良いことを言う。「辛かったですね」「辛かったのかな」「男も女も辛い時は辛い。」などのみくりさんと平匡さんのやりとりも良かった。

・同性カップルの悩み、老後の問題
・50代独身女性と子宮体癌
・ルッキズム、セクハラ、パワハラ

・妊娠にまつわる、あまりこれまでの恋愛ドラマで取り上げてこられていないこと

眠気という形でもやってくるつわりや、ホルモンバランスで揺れる感情とか、産前からの尿漏れ、計画的無痛分娩の選択などを扱うのも良かった。世の中の「お腹を痛めて産んだ子」発言へのアンチテーゼを意図していないとしても、無痛分娩は色んな選択肢の提示として良いと思う。


特に私がしびれたセリフを7つ並べてみた。
①「結婚指輪どうします?」に対して「アクセサリーをする習慣がなくて」という返し。固定観念をひょいっと超える。

②「大人になると、自分が偏見の塊だったなぁと思う」とあんなに優しいゆりちゃんですら、そう口にするという。

③赤ちゃんの名前を考えるシーンで、「男でも女でも通用する名前を」「生きていく中で性別が変わることもあるから」とサラッと話し合う2人。多様性をとても自然な形で認めている。

④妊娠したみくりさんに「全力でサポートします」と言った平匡さんに「違う!!手伝いなの?私が一人で勉強して指図しないといけないの?」と言うみくりさん。分かるよ、みくり。そこに引っかかって、ちゃんと反論してこそ私の好きなみくりだ。

⑤「つわりは病気じゃないし」というみくりに、子宮癌の手術をこれから控えたゆりちゃんが「辛いことは比べるものじゃない、辛いのは病気でもつわりでも同じよ」って言うゆりちゃんに泣けた。いや、つわりより絶対子宮癌の方が辛いに決まってるやろ、と思う私は、まだまだゆりちゃんのような素敵な女にはなれない気がした。

⑥みくりさんの赤ちゃんの写真が送られてきて泣いてしまうゲイの沼田さんを「俺たちには俺たちの幸せがあるでしょ」と慰める彼氏(成田凌)。赤ちゃんが産まれた知らせを聞いた人全員が、素直に祝福できるとは限らないという現実をそっとドラマに優しくのせる素晴らしさ。

⑦「家族を持つ、子供を作る、恋人と暮らす、恋人と言っても同性かも。その中に僕みたいに1人で生きる人間もいるってことです」という風見くん(大谷なんとか)。分かるよ、完全同意。だけど、それでも風見くんにはゆりちゃんと結ばれてほしかったよ、ドラマだからな。

そして、
ドラマはこれだけで終わらず、育休を取るために必死で準備してやってきた平匡さんたちだったが、新型コロナウィルスの感染拡大やコロナ禍の社会の動揺、緊急事態宣言で全てが変わってしまうという展開へ。
化粧品メーカーで働くゆりちゃんの不安や、あのバーのマスターの給付金申請の難しさや、買い占めや志村けんの死なども扱うかなりヘビーな内容とも取れる後半だった。前半が素晴らし過ぎたので後半はちょっとしんどかった。最後の最後の感想はやめておくとして。(今更ネタバレに配慮する人。もう遅い説)

オリジナルドラマの時から、この野木亜紀子様の脚本にはしびれまくっていて、なんて素晴らしいドラマ!と、これまでドラマをたくさん見てきた私が、「好きの搾取です!」と叫んだみくりさんのセリフを聞いた時に、圧倒的敗北を感じた(何に負けたかは謎だけど、とにかく参りました!と思った)。こんなドラマは他になかった。私が日頃から考えていたり問題意識を持っていたりすることを片っ端から取り上げてくれる。しかも説教臭くない。恋ダンスなんてものが流行ってしまったせいで、ドラマの素晴らしさがむしろ正当に伝わってないのではないかと心配になっていた。

4年ぶりのこの145分のスペシャルドラマで、ここまでのテーマ(どれも今の社会問題だった)を丁寧に盛り込んで問題提起しつつ、ドラマとしても圧倒的に面白くて、笑って泣けて、ガッキーも可愛いなんてどうなってんの?という思いでいっぱいだ。ガッキーが公園を散歩していた時の赤のワンピースや、踊っている時に着ていたなぜか肘やわきのところに穴の開いた薄緑のモヘアニットが欲しい、なんていう普通のドラマウォッチャーとしての楽しみももちろん与えてくれたし。
逃げ恥を見ていない人には何のことやら、だと思うけど、この感動をここに書き留めたかったので、勢いで書いてしまったことをお許しください。
とにかく、野木亜紀子は天才過ぎるし、この時代にふさわしいドラマで、何もかも素晴らし過ぎたー!
現場からは以上です。

追記:
逃げ恥SPが一部で批判されていたのをネットで見たので、付け足し。
家政婦や最新家電、子宮癌の腹腔鏡手術を選べることなどなどは、結局経済的に余裕のある人たち、不安を聞いてくれる家族や友達がいる恵まれた人たちの幸せな物語で貧困の話が一切出てこない、とのこと。
それの何が悪いのか分からない。貧困問題も深刻だけど他の問題も同じくらい深刻な問題だし、野木さんは別のドラマで貧困問題を丁寧に扱ってるし。その人たちにはこのドラマが響かなかっただけであり、そういう人は別のドラマで見ればいいんじゃないの?と思う。
一生懸命働いて、そのお金を使って生活で少し楽をすることの何が悪いんだろう。「さも当然という顔をして育休をとる」と言いつつ、平匡さんは育休前に、休みの調整や引き継ぎのために必死になって1人きりで遅くまで毎日仕事をしたりしているところもリアルだったし、私には響いた。私だって長期の有休を取る時、みんなに出来る限り迷惑がかからないように必死に仕事を片付けている。さも当然、という顔で休みを取っても、申し訳なさはゼロにはならないリアルさ。
ドタバタラブコメディーだったのにコロナを扱うのは精神的にしんどくなったという感想はよく分かる。だけど今のこのコロナ禍の社会に踏み込むドラマがあってもいいんじゃないかと思う。
何でも文句をつける人がいるんだなぁと思ったので、付け足し。



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