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インドで絶対にインド人を信用するなってインド人が言ってた~インド旅行記6:疑惑のゴア

2010年11月7日
早朝七時、バス停など甘えたものは無い。道路にもなんのマークも印も無い。バスはただの広い道に思いついた様に急に止まり、運転手の二人位の声が「ゴアだ」と告げた。
言い忘れていたが、ずっとバスの最前部の運転席にはインド人が五〜六人詰め込まれていた。運転席と客席は格子状のもので仕切られていたので、なんらかの檻を眺めているみたいだった。
全員が運転手で交代する体制なのか詳細はわからない。全員が兄弟で、ただ兄ちゃんが行くからと弟がついてきていただけだとしても、おかしくはないフランクな感じであった。

ただの道で白人カップルと共に私は降ろされた。
ぽつりと、本当にぽつりといった感じで私と白人カップルが、砂埃の舞う道に佇んでいた。
「……」
「……」
「……」
メンバー全員、これでいいんだよね?ゴアよね?みたいな、なんともいえない顔をしていた。此処をゴアたらしめているのは、インド人のゴア、その一言のみ。

ここがもし本当はブラジルでも何らおかしくはない。さすがにフランスあたりだとおかしいとは思う。
けれど両肩を掴まれ目を見て真摯に力強く「いいか、これが本当のフランスだ」と言われてしまえば、フランスにもこんな処があるのかと私は思ってしまう、気がする。
しかしもうゴアと言っていたからたぶんゴアなのだ、信じるしかあるまい。
と、背後からタクシードライバーが私に声をかけてきた。
きたぞハイエナだ。
今の私達はサバンナの真ん中でぷるぷる震える三匹のウサギちゃんだ。
その内の一匹は長時間雨に撃たれ心身共に衰弱している。
オマケにつがいでもなくはぐれている。そこに狙いを定めるとはさすがハイエナだ。いい目をしている。やるなら私からだ。
やられるなら私からだ。助けて。
咄嗟に白人カップルに声をかける、私のぼんやり予定はアンジュナビーチに行くものだったがカップルは「〜ゲストハウス」に行くというので、へーそれもいいじゃんイカすじゃんいいじゃんGジャン最高じゃんとそのゲストハウスが何処にあるのかも知らないが便乗して白人カップルと信用できそうなタクシーを探し乗り込んだ。
最早なんでも良くなっていた。アンジュナビーチは何か行きたいと思ってたらその内なんだか行けそうな気がする、そんなエロ詩吟の様な気持ちだった。
到着したなんちゃらゲストハウスは生憎満室で、三人はそのゲストハウスの主人オススメのビーチに向かいそこで宿を探すことに。
そこでカップルは600ルピー辺りの宿を見つけ、
私は一階でレストランを開いている宿を見つけた。今回の貧乏旅行では、宿の値段は300ルピー以上500ルピー以下と決めていたのだけど300ルピーちょうどであった。
レストランとは言っても海の家のようなものである。床はホースで水をまいて流せばいいタイプだ。
チェックのテーブルクロスが文化的に見えた。インドだから際立つのか。たぶんだいぶ文化的だ。ランチョンマットも時々私には文化的に思える。
テーブルは剥き出しで構わない筈だ。なのにあえて、真っ白や、綺麗な色の布類でテーブルを覆う。敷く。飾る。ああ文化的。
早速、ベジ・クリアスープとミルクティーを頼む。どうも固形物をお腹に入れる気にはなれなかった。
久々のマトモな食事、しかしスープは化学調味料がふんだんに活かされすぎてもう舌が痺れて呑めたもんじゃなかった。
ビリビリする舌をミルクティーで癒やす、美味しい。ミルクティーは素敵だった。
けれどもう二度と何も注文しない、宿だけ借りようと誓った。

部屋は非常に素っ気ないもので、これまた床に水をまいて流せば掃除完了なタイプだった。良く言えば清潔そうにも思えた。
ベランダ、ベッド、バストイレルーム、天井にファン、ベッドには蚊帳有り。
荷物を置いてシャワーを浴びて眠る前に、本日最初で最後の散歩兼買い出しに出ることにした。


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