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「大きくなりたくないんだもーん」と4歳の女の子に言われた日。

私の今の仕事は保育士。

保育士資格は取得したものの、保育の仕事は未経験。
そのような状態から、30代後半で保育士として働き始め、今ようやく2年目だ。

*****

今、勤務している保育園の年中(4歳児)さんに、”りんちゃん”と言う女の子がいる。(名前は、すべて仮名です)
りんちゃんは、気が散りやすかったり、人の話を最後まで聞くことが難しいかったりして、なにかと保育園での集団行動から遅れてしまう女の子だ。

ある日、年中さんの昼食のお手伝いに入った時のこと。
おしゃべりに夢中になって、食べることが止まっている状態の子どもが何人かいた。
りんちゃんもそのうちの1人だった。

冬休み明けのこの時期になると、子ども達に話を聞かせるために、ついつい使ってしまう魔法の言葉がある。

その言葉は
「4月になったら、この保育園で一番上のクラスのお兄さんお姉さんになるんだから」

それに、「食事中はどうすればかっこいいかわかるよね?」を付け加える。

こういうと、年長のクラスになることに憧れのある多くの子どもたちは、ぴしっと姿勢を正して食事に集中する。
そんな魔法の言葉だ。


そんな中、4歳のりんちゃんは、「私、大きくなりたくないんだもーん」とつぶやいた。


その言葉に、はっとした。

気が散り気味で、集団行動の波にのれないことが多い”りんちゃん”は、もしかしたら今までも「1つ上のクラスになったんだから、しゃべらないで食べられるよね」とか、「そんなんじゃ4月になっても、お姉さんのクラスには、なれないよ」とか、さんざん言われ続けているのかもしれない。

”大きくなるたびに、今のままの自分ではOKをもらえなくなるから、「大きくなりたくない」って言ったのかな?”
と、勤務終了後、ぐるぐる考えてしまった。


以前のつぶやきで、

「そのままの自分で大丈夫だよ」と自分にOKを出すことが、
幸せになる方法。

と書いた。


それなのに私は、普段、保育園で接している子どもたちが「そのままの自分で大丈夫」と、自分自身にOKを出せるような”保育”をできているのだろうか?

保育園では、集団で子どもたちが行動する機会も多く、私もいつの間にか、先生の指示をきちんと聞ける子どもは”よい子”、集団からはずれてしまう子は”手のかかる子”という見方をしてしまうようになっていた。


集団からはずれてしまう子ばかりだと、保育が崩壊してしまうし、どうするのが一番いいやり方なのかは、まだ保育経験の浅い私には答えが出ない。

でも、りんちゃんのつぶやきで、「そのままの自分で大丈夫」と、子どもたちが自分自身にOKを出せるような”保育”ができているのか?と、見つめなおす1つのきっかけとなった。

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