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要点を見極める(国語と手帳のお話)

今回は夏休みが始まるということで前半は中学生・高校生にも役に立つ国語の成績を伸ばす方法、後半はその国語の話を取り入れながら大人にも役に立つようなお話を書いてみたいと思います。



私は塾講師時代、自分で言うのもなんですが生徒さんの国語の成績を伸ばすのが得意でした。
中学生対象・高校受験のための塾だったので中学の国語が主です。

でも卒業した高校3年生の子たちが推薦やAO入試で作文や小論文の書き方を教えてほしいとも来ていました。

小論文は国語力・文章力が必要なのはもちろんだけど、政治・経済・医療・福祉・教育・世界情勢・環境など……あらゆる社会課題に関する知識や興味がないと指導できません。
そういう文章力と社会課題に関する幅広い興味の両方を持つ先生はなかなか高校にはいなかったのかもしれません。


それは置いておいて。
説明文や小論文のつくりがわかると文章を読む力(読解力)も書く力(文章力)も上がります。

それにね、生徒さんが入塾してきた時はまず国・数・英・理・社5教科のテストを受けてもらって実力を把握するのですが、1番はじめに見るのが「国語」の点数と回答内容です。

文章が読める子なのかどうかを把握します。それによって勉強の進め方の戦略を変えるぐらい、読解力があるかどうかは重要なのです。


***


それでは、まずは説明文・小論文(→論説文と以降は呼びます)のつくりから説明します。
もう知っているよ、興味がないよ、という方は次の「***」まで飛ばしてください。
でも大切なことを書くのでできれば飛ばさずに読んでくださると嬉しいなぁ。笑

さて、実は前回のnote『知ってもらうのが1番大変(マーケティングの勉強の話)』は論説文の手法をかなり意識して書きました。

*リンクを貼っておきます。
https://note.com/noireal/n/n5fbe9123d6a5


さて、論説文には形式段落と意味段落があります。

形式段落
文章の始めが1文字下がっています。
そして1つの形式段落には1つの話題・要点が書かれています。

意味段落
文章全体をより大きな内容のまとまりごとに分けたものです。

私の前回のマーケティングの記事では、noteというのがブログ形式でありスマホでも読みやすいようにするため、形式段落は1文字下げず、改行をするという形にしました。


意味段落はわかりやすいように「*」の印で分けました。
(これは普段のnoteでも取り入れています)

形式段落と意味段落がわかったところで、次は文章の構成について考えます。


文章の構成で有名なのは「起承転結」だと思いますが、私は文章を教えてきた実感としても、自分が文章を書くとしても「起承転結」で構成するのはなかなか難しいなと思っています。
「起承」まではいいのですが、「転」で反転させて、そこから矛盾なく「結」で締める文章を書くにはそれなりの知識量が必要です。

そこで私がオススメしたいのは「序論・本論・結論」形式。

「始めに・本文・終わりに」と思ってもらえれば良いと思います。

反転させることなく順々に論を重ねていくので中高生でも書きやすい構成です。

ということで前回のマーケティングのnoteも「序論・本論・結論」形式で書いています。

その構成がどうなっているかというと、このような感じです。

前回の記事はこんな感じで序論・本論・結論を構成してから書きました。


序論
・マーケティングの勉強が大切だと思っているという導入
本論(なぜマーケの勉強が大切だと思うようになったか)
・イベントで集客できなかった
・福祉施設でのイベントでも集客できなかった
・夢を叶えようと勉強したり資格を取っても集客が出来なくてあきらめることにつながる
・情報が必要な人、弱者にこそ情報が届かないという問題
結論
・個人の幸せのためにも、誰かの役に立つためにも「知ってもらうスキル」「情報を届けるスキル」つまりマーケティングは大切。


こんな感じで序論と結論は1つの意味段落で構成しましたが、本論は「なぜマーケの勉強が大切だと思うようになったのか」を4つの意味段落で構成しました。


では次に私が今回1番お話したい「要点」について見ていきたいと思います。

前回の記事の序論だけ抜粋しますのでご覧ください。

①私は「暮らしに余白を」というのをコンセプトに、時間の余裕や心の余裕を作りたくて手帳を使っています。

②では、その出来た余白の時間で何をしたいかというと私の場合は「勉強」です。知識社会、情報社会の今の世の中はやっぱり勉強している人の方が社会の中で出来ることが多いし、よく「頭の中の知識は誰にも奪うことができない」と言われているように、学びは最大の資産になると思っているからです。

③そんな私ですが今は何かを専門的に学んでいるとかではなく、興味のおもむくままにいろんなことを勉強しています。でも「この分野は大切だ!」というのがあって、それがマーケティングの勉強です。

④今回はなぜマーケティングの勉強が大切だと思うようになったかというのを書いてみようと思います。

序論はこのように4つの形式段落で構成しました。

そして形式段落にはそれぞれ「要点」があります。

「要点」とは簡単に言うと「筆者がその段落の中で1番言いたいこと」です。

1段落目で言うと、私が1番言いたいことは「私は時間の余裕や心の余裕を作りたくて手帳を使っている」というところで、つまりこれが要点になります。

では2段落目はどこが要点になるでしょうか。下の文章の中で1番私が伝えたくて大切なところはどこでしょうか?

では、その出来た余白の時間で何をしたいかというと私の場合は「勉強」です。知識社会、情報社会の今の世の中はやっぱり勉強している人の方が社会の中で出来ることが多いし、よく「頭の中の知識は誰にも奪うことができない」と言われているように、学びは最大の資産になると思っているからです。

「知識社会、情報社会の今の世の中はやっぱり勉強している人のほうが社会の中で出来ることが多い」というところが大切でしょうか?

それとも「頭の中の知識は誰にも奪うことができないと言われているように、学びは最大の資産になる」というところの方が私が言いたいことでしょうか?

すみません。この2段落目はひっかけ問題を作ろうと思ってわざとややこしく書きました。

正解は「その出来た余白の時間で何をしたいかというと私の場合は勉強です。」というところです。これが第二段落の要点です。
その他の文章は「私が勉強したい理由」を肉付けして補完しているに過ぎません。

さらに3段落目は「この分野は大切だ!というのがあって、それがマーケティングの勉強です。」という部分が要点になります。ここが私が1番伝えたいことです。


そしてこの1、2、3段落の要点を繋げると

私は時間の余裕や心の余裕を作りたくて手帳を使っている。

その出来た余白の時間で何をしたいかというと私の場合は勉強です。

(そして)この分野は大切だ!というのがあって、それがマーケティングの勉強です。

というように(若干の接続詞をプラスする必要はありますが)要点とはそれだけを繋げても文章が成り立つものなのです。

そして、この要点をまとめたものが「要約」ですね。

このように各段落の「要点」を正しく把握できるようになると文章の理解度がグッと上がるため、国語の説明文のテストもすぐに答えられるようになります。

なので私が塾講師をしていた時はとにかく生徒さんに「どれが要点か見極める」というのを徹底的に教えました。文章を読みながら各段落の要点だと思うところに線を引いてもらい、それを一緒に確認しながら理解度を深めていきました。
読解力とは、ほぼ「要点を見極める力」のことだと思います。


文章の成り立ちがわかると、読むだけでなく書くこともできるようになります。

上で説明したことの逆をすればいいのです。

前回の記事の序論を書く時、こんな感じで要点を先に書き出して情報を整理してから文章にしました。

まぁ、毎回こんなことをやってるわけではありませんが、頭の中ではこんなカードが出来ています。

自分の伝えたいことを要点のように箇条書きで書き出します。それだけでは伝わらなさそうだったら補完してくれる文章を肉付けしていきます。

序論・本論・結論。
意味段落と形式段落。
そして要点。
このフォーマットに当てはめていけば文章を書くことは簡単です。

「自分の伝えたいこと=要点」を自分で決めることができれば……です。

この「要点」つまり自分の伝えたいことがあるかないかが、論説文とただの日記の違いです。
読み応えのある文章を書けるかどうかの違いにも繋がってくると思います。



***




ここで国語の授業はいったん終わって、大人の国語力応用の話をしていきたいと思います。

「要点を見極める」というのは大人社会でとても大切なスキルです。

例えばツイッターの炎上に関して、先ほどの第2段落の要点の例で見ていきます。

例えばこんなつぶやきをしたとするね!

このつぶやきで私が言いたいことは「余白時間で勉強がしたい!」ですよね。


でもツイッターの炎上を見ていると投稿者にとってはただの補完のためにつけた言葉に対して延々と文句がつけられたりしていることがあります。


「知識社会、情報社会の今の世の中はやっぱり勉強している人の方が社会の中で出来ることが多い」という部分を見て
「学校の勉強が苦手な人でも社長になった人がたくさんいる」というリプを送ったり


「頭の中の知識は誰にも奪うことができない、学びは最大の資産になる」という部分を見て
「時代が変われば知識は陳腐化する」というリプを送る人がいるかもしれません。


つぶやいた人はただただ「出来た余白の時間で勉強をしたい」という想いを言いたかっただけなのに、なぜか自分の論点とは違うところでいろいろ言われる羽目になります。
このタイプの炎上、最近よく見かけませんか?


このような炎上は読み手が「相手の伝えたいことは何だろう」という考えで要点を探すことなく、それぞれが「自分の読みたいように読む」という態度が招いていることだと思います。


これがツイッターでは議論ができないと考える人が出てくる一因であり、文字でコミュニケーションを取ることの難しさを表しています。読み手が要点を理解できないと本質的な議論もコミュニケーションもできません。

(ツイッターはいくらツリーにしても、前後の文章なんて見ないしね。)


あらゆる識者たちが「文字は読めても文章が読めない日本人が増えている」というのはこの「要点がどこかわからない人が増えている」からでしょう。

わかりやすく読みやすい自己啓発書は要点を太字にしてくれています。だから要点は何だろう、大事なところはどこだろうと考えながら読まなくても大丈夫です。

インスタの文字入れ投稿も要点だけを簡潔にまとめたものが読みやすくて人気が出ます。
(それでも私は肉付け補完をしてしまうけど)

映像や音声は抑揚があるから「ここが大事なところだ!」というのが感覚でわかりやすいので文字情報よりもとっつきやすいです。


そうやって要点がわからなくても、わかるように発信してくれる人たちが沢山います。中には、そういう方たちから情報を得るから国語力がなくても大丈夫!という方もいるかもしれません。

でもそのわかるように発信してくれる人たちは文字や文章から情報を得ています。
情報の上流は文字情報のことがまだまだ多いです。

(ちなみに人と話したり、自ら出掛けて直接見聞きしたもののほうが一次情報としての価値は高いと思いますが、ここでは話がずれてしまうので、この話はまた別の機会に。)


そして、誰かがわかりやすく噛み砕いた情報ばかりを得ていて、物事の本質に近づけるでしょうか?その情報が事実かどうか確かめることができるのでしょうか?

「わかりやすい情報こそ危ない」と言われている理由はここにあります。


要点があるのは文章だけの話ではありません。
押さえておきたいありとあらゆるところに「要(かなめ)」はあります。

私は人よりも体力がないから出来るだけ要領よくいきたいと思っています。
「要領」の意味を検索してみてください。
その「要領」とはまさに「要点」のことです。
生活の中のありとあらゆるところに要点はあって、そこをちゃんと押さえられるかどうかが要領よくするためには重要です。

効率化ももちろん大切でしょう。
でも要点を押さえた効率化をしないと、努力の方向が報われない方向に行ってしまします。
そこを間違わないために、よくよく物事の本質を見て要点を押さえるようにしています。



手帳を書くという行為は、目に見えない、形を持っていないものをまさに「文章化」「文字化」していくことです。

頭の中の形になっていない言葉たち。
それを目に見える形にします。


ここまで読んで下さった方ならわかるように、文字にすることで「要点」はわかりやすくなります。
紙に書き出してみると物事の本質を客観的に冷静に見極めることができるので、「ここが要(かなめ)だな」というのが見つけやすくなるのです。

これこそが、ちゃんと手帳を使えるようになれば、要領よく仕事を進められたり生活を回していける理由です。

要点が分かれば自ずとプライオリティ(優先順位)が高いものの判断できるようになります。
何のプライオリティが高くて、何のプライオリティが低いのか。あるいは何を切り捨てていいのか。


もちろん自分の要は趣味でもいいのです。
むしろそういう方って多いと思います。
自分の中の大切にしたい時間、自分を物語にするときに欠かせないもの。それも要点です。


あなた自身の要点は何ですか?

もしあなたの今までの人生を文章にしたら、その文章の中でいくつか「これは伝えたい!大事!」という要点が出てくると思います。


それがあなたの要点で、あなたが本当に大切にしたいことです。


私の要点は「家族との時間を作ること」です。今は特に娘との時間が大切です。

あともう一つは弱い立場の人に寄り添える人であること。私もずっと弱かったから、そのことを忘れずに弱い人の味方であれる人になりたいです。

そしてね、その結果「これは伝えたい!大事!」と思ったのが前回のnoteにも書いたようにマーケティングの知識。
あらゆる課題の中でマーケティングは「要(かなめ)」だったりします。いろんなことの問題点を突き詰めて分析して、本質を見つめていくと大体ここに辿り着いてしまう自分がいたので前回のnoteを書きました。


***

要点、そして国語力って生きていくのに役に立つんだなぁ、大切なんだなぁ、というのがこのnoteで少しでも多くの人に伝わったら嬉しいです。


私は塾講師をしてて、中学校の5教科ってなんて素晴らしいカリキュラムなんだ!って思っていたんですよね。あれらの知識はありとあらゆる人生のことに応用できる。

でも、問題は学校では(あるいは塾でも)知識を教えてくれるだけで、人生への応用までは教えてくれないんですよ。教える時間もないんですよ。笑
国語の要点を見極められるようになるだけでも、こんなにもいろんなことに応用できるのに。

ぜひ学生さんは学生のうちにちゃんと国語力をつけてもらえたら、この先の人生で多いに役に立つと思います。

そして、もし大人の方で「国語力、今は自信がないけど身につけたいなぁ」「要点を見極められないけどわかるようになりたいなぁ」という方がいたら、ベタだけど中学や高校の文章題の問題集を買って挑戦してみるのも大アリだと思います!

学生の頃はわからなかったかもしれないけど、問題集ってよくよく考えたら、国語に関する一流の方々が「どうやったら国語力がつくかな?」って日々頭をひねりながら作ったものなのです。
めちゃめちゃ良い問題が沢山あります。

この夏、自分を伸ばすのに国語の問題集に挑戦してみるのはいかがでしょうか?


最後までお読みくださりありがとうございます。

Instagramでは手帳に関する発信を(なるべく要点をまとめてわかりやすく!)発信しています。
よろしければ遊びに来てみて下さい◡̈


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