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畑の気象データ測定

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気象条件は野菜の出来を左右します。まずは計測するところからはじめてみましょう!
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スナップエンドウ栽培気象条件の分析

スナップエンドウ栽培気象条件の分析

 今回はエンドウ(スナップエンドウ)について分析していきます。スナップエンドウはさやごと食べられて,さやのさわやかな歯ごたえとマメのあまみのコンビネーションがたまりません。好きです。

 思わず告白してしまいましたが,作物の特徴としては低温に強く暑さには弱いということ,花が咲くためには一定の低温が要求されるといった特徴があります。この特徴を利用して露地では,秋に播種後小さい状態で冬越しをして春先に

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ズッキーニ栽培気象条件の分析

ズッキーニ栽培気象条件の分析

 今回はズッキーニについて分析していきます。ズッキーニはきゅうりの親戚のような形をしていますが,カボチャの一種です。食べるとカボチャらしくねっとりとした食感があって,油と相性が良いおいしい野菜です。

 ズッキーニは成長途中の未熟果を収穫します。成長速度がかなり早いので採り遅れるとあっという間に大きくなってしまいます。大きくなりすぎるとちょっと味が大味になるかな?その点はきゅうりと似ていますね。今

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タマネギ栽培気象条件の分析

タマネギ栽培気象条件の分析

 今回はタマネギについて分析していきます。タマネギこそが野菜のナンバーワンオールラウンドプレイヤーではないでしょうか。加熱すればそのあまみやうまみによって料理の味を引き立たせ,新タマネギは生でもおいしい。そして長期貯蔵もできる。他の野菜は全く勝負になりません。

 北海道以外の地域では、秋に播種し冬が来る前に定植,その状態で冬越しさせて春に収穫という栽培方法が一般的です。

 これまでの他の野菜の

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エダマメ答え合わせ 2021年夏

エダマメ答え合わせ 2021年夏

 以前の投稿のエダマメ栽培気象条件の分析では,気温のデータから出来ばえ(味)を点数化してみました。
(↓詳しくはこちらを読んでみてください)

 今年栽培したエダマメもこの方法で点数化しみました。そして実際に食べてみて答え合わせをしてみたいと思います。

今年(春~夏作)の栽培条件
 播種は2021年2月28日,圃場に直まきし,ビニールトンネルを設置しました。品種はトーホク早生枝豆(白鳥系品種)

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ダイコン栽培気象条件の分析

ダイコン栽培気象条件の分析

 今回はダイコンについて分析していきます。ダイコンは重量ベースで見ると市場流通量第3位で,かなり生産量の多い品目です。食卓でも刺身のツマ,大根おろしやおでんのタネと脇役から主役までこなすユーティリティープレイヤーです。

 播種から収穫までの積算気温とひと株の重さの関係は下図です。

 図中の点の色の違いは栽培品種の違いで,栽培年度も異なりますが全て9月に播種したデータです。「赤と青」の品種では一

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エダマメ栽培気象条件の分析

エダマメ栽培気象条件の分析

 今回分析するのはエダマメです。

 エダマメが好きです。なんでこんなにビールにぴったりなんでしょうか。おいしいビールを飲むために,せっせとがんばって栽培しています。甘味もあるのでビールを飲む大人だけでなく,子供たちにも人気がありますね。

 そんなエダマメですが,植物としてはダイズでそれを成長途中の未熟な状態で収穫します。完全に熟してから収穫するのタイプの品目とは違い,適切なタイミングを見極めて

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ミニトマト栽培気象条件の分析

ミニトマト栽培気象条件の分析

 前回にブロッコリーと気温の関係を分析してから,だいぶ日が経ってしまいましたが,今回はミニトマトについて分析してみました。

 果菜類は葉菜類と違い,一つの株から多数の果実を収穫します。ですから,リーフレタスやブロッコリーのように「製造日数=株の一生」とはなりません。その日収穫した物がどのような気象条件のもと生育してきたかを見たいのですが,明確な区切りはできませんから,ある一定の条件を持って決める

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ブロッコリー栽培気象条件の分析

ブロッコリー栽培気象条件の分析

 前回のリーフレタスに続いて,ブロッコリーについても積算気温との関係を見ていきたいと思います。ブロッコリーはポットに播種して自家育苗後,定植しています。

 定植日から収穫日前日までの積算気温と,収穫したブロッコリーの平均株重の関係をプロットしたものが下図です。

 積算気温が上がるほど,株重が軽くなってしまっています。畑に置いておけば置くほど株が小さくなる,これは何かおかしいです。

 ブロッコ

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リーフレタス栽培気象条件の分析

リーフレタス栽培気象条件の分析

 畑で計測した温度データを使って,野菜の生産状況を分析してみたいと思います。今回の対象野菜はリーフレタスです。レッド系、グリーン系,ロメインレタスの3品種を作ってみています。リーフレタスは栽培周期が短く,栽培適温もある程度広いことから年に複数回作付け可能で,幅広い気象条件のデータが取れるのでこのような分析をするのに適した品目です。いずれもセルトレイに播種し,育苗したものを畑に定植しています。
 

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畑で気象データを測定する③~気象庁データとの比較~

畑で気象データを測定する③~気象庁データとの比較~

 圃場での気温(地温)測定データを気象庁の測定データと比較してみました。僕の畑は福岡県北九州市にあり,最寄りの気象庁測定点は「八幡」です。畑の標高は地理院地図で確認すると1.5m,「八幡」の標高は20mです。
 
 ある冬の1日,ある夏の1日,大雨が降った日の10分ごとのデータを比較しています。現地圃場は10分ごとにデータを計測していますが,気象庁では10秒ごとにデータを計測しそれの10分間平均と

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畑で気象データを測定する②~気温と地温~

畑で気象データを測定する②~気温と地温~

 畑に温度計を設置しました。どのようなデータが取れるでしょうか。

 温度計(エー・アンド・デイ社製 AD-5326TT)は測定間隔(サンプリング周期)を任意に設定できます。サンプリング周期とは温度測定結果を記録する間隔のことで,10分に設定しています。サンプリング周期は短い方がより気温の微妙な変化をとらえることができ正確性が高まりますが,データ数が増え処理は面倒になります。また温度計の応答速度も

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畑で気象データを測定する①~測定方法~

畑で気象データを測定する①~測定方法~

 製造工程において生産性を高めようとするならば,製造条件を極力設定どおりにすることが重要です。「今」がどのような状態かわからなければ,設定と比較しようがありませんから,状態を何らかの方法で計測しなければなりません。農業も製造業のひとつですからしかりです。僕の小さな圃場(露地)では,気温と地中温度を測定しています。その測定方法についてご紹介します。

 温度計は,(株)エー・アンド・デイ社製デジタル

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