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エダマメ栽培気象条件の分析

 今回分析するのはエダマメです。

 エダマメが好きです。なんでこんなにビールにぴったりなんでしょうか。おいしいビールを飲むために,せっせとがんばって栽培しています。甘味もあるのでビールを飲む大人だけでなく,子供たちにも人気がありますね。


 そんなエダマメですが,植物としてはダイズでそれを成長途中の未熟な状態で収穫します。完全に熟してから収穫するのタイプの品目とは違い,適切なタイミングを見極めて収穫しなければなりません。しかもその適期は3~5日程度しか幅がないということでピンポイントでの判断が要求されます。


 見た目ではさやのふくらみ具合が基準になりますが,結構難しいです。一つの株の中でもばらつきがありますし,同時期に栽培したものでも成長に差があるので,「もう少し揃ってからかな」と思って見ているとあっという間に取り遅れになってしまうという感じがしています。取り遅れてしまうと,実が固くなって味も落ちてしまいます。


 収穫適期を判断する指標として積算気温があります。具体的な数値は品種によって差がありますが,定植または開花からの日平均気温の合計が一定の値に到達したら収穫適期を判断します。この積算気温に使用するのは有効平均気温です。リーフレタスの分析でも出てきましたが,成長に適さない温度域を除いた平均気温です。この合計を有効積算気温として利用します。


 おいしさも気象条件に左右されます。文献を調査すると収穫直前の日最高気温と最低気温の差(気温較差)が大きいほどうまみ成分や甘味成分が増えるというデータがありました。昼間の高温で生成した成分を夜間が低温の方が消費せずにため込むことができるという理屈です。

 異なる時期に定植したエダマメの栽培データを比べてみます(定植月4月,5月,7月)。なお4月定植としたデータは実際には3月直接圃場に播種して,ビニールトンネルの中で発芽させたもので,ビニールトンネルを撤去した日を定植日としました。

 それぞれの定植~収穫の間の有効積算気温と気温較差の推移は下図です。栽培品種が異なりますがいずれも早生系の品種です。有効積算気温は1200℃~1500℃で収穫しました。気温較差は6月>7月>9月です。

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 これらの栽培データのエダマメの出来栄えを評価してみます。
 適切な時期に収穫できたかどうかは有効積算気温のベスト値からの差を得点化します。例えばベスト値を1300℃として,適期は5日間なので平均気温20℃とすると5日×20℃。1300℃を中心とした100℃の間に入っていれば100点とします(1250℃~1350℃が100点)。そこから1日ずつずれたとして20℃の差で1点減点します。


 おいしさに影響のある収穫前の気温較差についても評価します。収穫5日間の気温較差の合計を指標とし,この数値が大きければ大きいほど得点が高いとして,50℃以上で100点とします。あとは5℃きざみで1点ずつ減点します。

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 今回分析した3つのケースの得点は下表のようになります。

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 200点満点のこの得点によれば,②は①,③に比べて「おいしい!」ということになります。実際においしかったかとどうかは記録(記憶?)していないので,残念ながら結果を比較できません。今年栽培しているものは食べて比較してみようかなと思っています。しかし,バカ舌なので得点が先にわかっているとその評価に引っ張られそうだな・・。

 おいしさの評価は最終的には食べた人の主観になるので,統一基準とするのは難しいですが,植物の成長は周囲の環境に左右され成分値には差がでてきます。成分値を栽培条件から推定できれば,味を評価することも可能です。

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