見出し画像

タマネギ栽培気象条件の分析

 今回はタマネギについて分析していきます。タマネギこそが野菜のナンバーワンオールラウンドプレイヤーではないでしょうか。加熱すればそのあまみやうまみによって料理の味を引き立たせ,新タマネギは生でもおいしい。そして長期貯蔵もできる。他の野菜は全く勝負になりません。


 北海道以外の地域では、秋に播種し冬が来る前に定植,その状態で冬越しさせて春に収穫という栽培方法が一般的です。

 これまでの他の野菜の分析と同様に,定植から収穫までの積算温度と収穫物1つあたりの重量の関係を示したものが下図です。異なる2つの品種のデータです。

画像1


 積算気温の増加とともに重量も増えていき,一定の重さになると気温が上がっていっても重量は増加しません。収穫後半(積算気温大)で1個の重さが小さくなっているのは,大きい株から順に収穫していて,収穫後半は成長の止まった小さめの株を収穫しているからだと思われます。


 さて,タマネギは長日植物とされています。冬を越えて,昼間の時間が長くなってくると,我々が食べる部分(茎の一部みたいです)を結球させるスイッチが入ります。ですから積算気温を算定するスタート日は定植日ではなく,スイッチが入った日が適切でしょう。
 結球スイッチが入った日からの積算気温と株の重さの関係が下図です。

画像2

 結球スイッチがどれくらいの日長で入るかは品種により異なるので,1個の重さが増加している状況の傾きの直線を延長して,ゼロを通るようにした場合を結球スタート日として定義しました。

 赤点の品種(ハイゴールド)では昼間の時間が10時間10分となった日がスタート日(僕の圃場では1月15日),青点の品種(絹てまり)は11時間15分となった日がスタート日(同じく2月23日)となりました。極早生品種のスイッチが入る昼間の時間は11時間とされているので,それに近い数字になりました。


 結球スタート日が分かれば,積算気温を用いて収穫予定日が推定できます。さらに,追肥や防除のタイミングも決めることができるようになり栽培管理に役立てることができると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?