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#俳句
『蒼海』21号掲載7句
都庁舎に南北の塔おぼろ月
道端に眠る老女や雪柳
不織布は舞へわが春の帰還せる
春灯し伸びては消ゆる影ぼふし
白木蓮もんわりコインランドリー
葉桜や社食のやうな恋だつた
雹降つて歓声ののち震への来
南波志稲
作句時季はちょうど1年前くらいです。都下のK市から23区内に転居した直後でした。狭い部屋でしたが、通勤時間を短縮できたのは本当によかったです。
昨年の春は一
『蒼海』19号掲載7句
早退の吾に充ちゆく秋の昼
糸屑のごと残る蚊や吸はせとけ
銀の腹舐めて秋刀魚に猛る火よ
話せずばただ触れたきを星月夜
マフラーに鼻先埋む受験の子
飴の匂ひ鉄焼く匂ひ一の酉
汝が好む湖沼のはなし掘炬燵
南波志稲
作句時季は昨年の秋~初冬。
この頃は派遣社員としてとある大学の入試広報関係の部署で働いていました。詳細は省きますが多忙でした。「早退」したのはワクチン接種のた
『蒼海』18号掲載7句
汗ゆ汗生るるごとしもオフィス街
涼しさよ五色のガラス陽に透けて
夜のプール上がり一礼する媼
水飯やわが身を管と思ふとき
空蝉の残れる葉裏日は高し
古きポンプ巻く朝顔や次は何処
室外機のほとぼり冷めず今朝の秋
南波志稲
作句は1年前の夏~初秋です。
今年もすでに猛暑ですが昨年も暑かったなぁ。そんな暑さの中、米どころの温泉地に避暑に行ったり青梅に映画を観に行ったり
『蒼海』14号掲載7句
あぢさゐの犇めきてその奥昏し
職歴の狭間は沼地バナナ剥く
靴擦れに汗沁みたるや外回り
言ひかけてやめたる喉をソーダ水
すすり泣く面談の子や扇風機
日盛りや刃傷沙汰の規制線
背泳ぎの不意なる無音終戦日
南波志稲
作句は昨年の夏。たったの1年前なのに大昔のことのようです。
当時は街なかの就労移行支援事業所に転職して、転職したばかりの頃に職場の近くで殺人事件があった
『蒼海』13号掲載7句
乗り慣れて乗り換へ慣れて四月尽
新緑や窓辺の席に撮るごはん
撫で牛の鼻つやつやと夏兆す
まどろみてまなうら朱き五月かな
しばらくは職無き日々を冷奴
玉苗やアンドロイドの指細し
明日も生く心へ強きシャワーかな
南波志稲
作句時季は昨年の春~初夏。
公立図書館の司書から福祉の仕事へと転職が決まり、有休消化で自由な時間がありました。
当時は谷保駅の近くに住んでいて
『蒼海』10号掲載7句+α
夏至の日やマスクの内の大あくび
暑中見舞会ひたいとのみ書き添へて
ハンカチにくるみて螺子の遺品めく
ごきぶりを遣らひしのちも壁は壁
線路炎ゆもとより帰る町は無し
夏雲やせめて終点まで往かむ
向日葵をなぎ倒すほど笑ひたし
南波志稲
詩歌関連の記事はだいぶご無沙汰になってしまいました。
今号は7句掲載。もう巻末から自分の句を探す癖がついていて「そういうとこアレだ
『蒼海』9号掲載6句
吾は穢れたりきや春の水に問ふ
藤棚の濃きも淡きもみつしりと
内見の窓開け放ち初夏の風
郭公やひとりで住まふ2DK
消毒に慣れし手指へ南風吹く
ひなげしや単線路沿ひどこまでも
南波志稲
今年4月~5月の初めころ、ステイ・ホームで外出もままならなかったころの句です。
前号からのつづきになりますが、国立の15平米ほどのワンルームは狭いだけでなく諸事情で洗濯機を置く
『蒼海』8号掲載6句
マフラーに残る宴の熱気かな
大根の葉踏みて深夜のワンルーム
雪催サドル低きが過ぎゆきぬ
北風や道の果てなる富士の峰
冬の陽に如来像めくぷりんぱふえ
貨物列車よぎり春愁断ちにけり
南波志稲
今号も10句提出6句掲載。
離婚して国立の線路端の狭い部屋に住んでいた頃の句。季節は冬から早春の頃です。
部屋を探していた頃、たしかNHK俳句だったか、長嶋有さんが「線
『蒼海』7号掲載6句
掛稲の列見晴るかす小海線
信濃路や軸逞しき榎茸
ほの温きおやき頬ばる秋の暮
校正の眼の奥熱し曼殊沙華
まちぼうけ喰ひしごとくに帰り花
決心は固し紺地の日記買ふ
南波志稲
『蒼海』には毎回10句投句しているのですが、どうも6句掲載が定位置になっていていかんなぁと思います…が、落とされた理由は投句から半年近く経ってみるとなんとなくわかるもので、精進せねばと思います。
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