関口和之 「湯のみ?」

「YOU KNOW ME?」ようこそ。関口和之です。ある時はウクレレショップ「ポエポエ…

関口和之 「湯のみ?」

「YOU KNOW ME?」ようこそ。関口和之です。ある時はウクレレショップ「ポエポエ」のあるじ。また、ある時は某バンドのベース弾き。あるいはウクレレ伝道師とか校長先生とか呼ばれることもある自称ウクレリアン。

マガジン

  • NOW HeRe LaND

    1989年に雑誌「ヴァンテーヌ」で連載された「関口和之のNOW HeRe LaND」を原文のまま掲載します。

  • 関口和之『アーカイブ』

    自称ウクレリアン・関口和之の過去のコラムや作品などを掲載します。

  • ウクレリアンとして

    ウクレレを始めたきっかけは、映画「カイロの紫のバラ」(1987年)を見て。そして、渋谷のヤマハでフェイマスのパイナップルを購入。 この頃はまだ、オオタサンって誰? しかし、ウクレレとの出会いは少年時代にまで遡る。従兄が懸賞で当てたウクレレで弾いてくれた加山雄三の曲を聴いたとき、このこんなに小さな楽器でも音楽ができる、そしてその和音の豊かさに感動したのだった。

  • 関口和之(SAS)のAVファンタジー

    89年からVIP通信で連載していたコラム「関口和之(SAS)のAVファンタジー」を当時の原文のまま掲載誌ます。

  • ラクダの口笛

    1993年に新潟日報でスタートした関口和之の連載「ラクダの口笛」を原文のまま掲載していきます。

最近の記事

遊んで暮らす

【1989年に「ヴァンテーヌ」で連載されたフォトエッセイを原文のまま掲載】  昔の自分が突然話しかけてくるときがある。 「私、関口君からもらった年賀状のこと、よく覚えているわ」  先日、高校の同級生だった女の子にいわれた。それは、僕が高校時代その女の子(同い年だから、すでに一人前の女性ですが……)に書いた年賀ハガキのことだった。 「今でも忘れられないんだけどね」彼女はそう前置きしながら、どんなハガキだったかを話しだした。 「赤いスカートをはいた女の子が傘をさして立っている

    • 【春の特別編】消えた卒業証書

      今回のnoteは【春の特別編】 関口家でたまたま見つかった35年ほど前の原稿用紙。そこに書かれていたのは、何のために書かれたのか定かではない未発表の短編私小説。本人曰く「ほとんどが実際にあったことですが、フィクションも入っています」とのこと。 今回は【春の特別編】としてぴったりの卒業をテーマにしたステキな物語をお届けします。(運営スタッフ) 消えた卒業証書きれいに「さよなら」を言うのは難しい。 寂しさよりも、それが無味乾燥に聞こえてしまうのが怖くて「さよなら」と発することを

      • 笑い

        【1989年に「ヴァンテーヌ」で連載されたフォトエッセイを原文のまま掲載】 「抱腹絶倒」という言葉があるが、肩が凝るほど笑ったり、よだれを垂らさんばかりに笑い転げた経験がどのくらいあるだろうか。 「音楽」と「笑い」というのは意外に近い存在である。ミュージシャンは皆冗談が好きだし、音楽の半分は笑いそのもののような気がするのだ。  実際に演奏していても笑っぱなしのときがある。フレーズの中にはパロディがあり、ボケやツッコミがあり、それでなくても気分はハイになっているからだ

        • 家出・旅・放浪

          【1989年に「ヴァンテーヌ」で連載されたフォトエッセイを原文のまま掲載】  ♬水曜日の朝、午前5時。1日が始まろうというころ……  ビートルズの「シーズ・リービング・ホーム」という曲を聴くたびに僕はある女の子のことを思い出す。  高校生のころのことだ。当時は僕はサッカーと音楽くらいしか興味がなくて、授業は睡眠の時間だと思っているような、いわゆる無作為な少年のひとりだった。休み時間になると目を覚まし、廊下に出て外を眺めた。窓の外の景色が珍しいわけではない。バカみたいに空

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        • NOW HeRe LaND
          5本
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          27本
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          15本
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          31本
        • たそがれ祐天寺
          5本

        記事

          駅から5分の天国

          【1989年に「ヴァンテーヌ」で連載されたフォトエッセイを原文のまま掲載】  天国と地獄では、どちらがより近いだろうか。 「どう、最近仕事のほうは?」あいさつ代わりに友人に聞かれる。 「うん、相変わらず締め切り地獄でさ」嫌だな、と思いながらも、ついそう答えたりする。  嫌だな、と思うのはその自虐的表現もさることながら、「地獄」という言葉の陳腐さを今さらながら感じてしまうからだ(締め切り地獄のほかにも、ローン地獄やカンテツ地獄などが存在するらしいが、なぜか「修羅場」よりは

          透明であること

          【1989年に「ヴァンテーヌ」で連載されたフォトエッセイを原文のまま掲載】  透明になりたい、と思ったことはないだろうか。  子どもの頃、H・G・ウェルズの小説「透明人間」をもとに制作されたテレビシリーズを毎週楽しみにしていたものだった。主人公が服や帽子をスルスルと脱いでいくと、最後にサングラスだけが空中に浮かぶ。子どもだった僕はどきどきしながら、そんな場面に見入った。透明人間になれたらいいだろうな、とも思った。もしも自分が透明人間になれたら、という刺激的な想像が、僕を興

          ウクレレ・クリスマス2021

          【この投稿は運営スタッフより告知になります】 ついにお披露目!1933ウクレレオールスターズ! 1933年生まれ、あのドリフのメンバーにしてウクレレ界の大物でもある高木ブーのもとに集合した、ウクレレを愛する有名ミュージシャンたち。それが1933ウクレレオールスターズ!構想25年の時を経て、ついに日本での本格的なお披露目となります。 高木ブー(象徴) 荻野目洋子(歌姫) 野村義男(ウクレレ王子) 関口和之(キャプテン) 分山貴美子 (口笛女王) はたけやま裕 (カホン家元)

          ウクレレ・クリスマス2021

          エッセイ ふたつの街(後編)

          【今回は1986年に発売されたソロアルバム「砂金」に封入されていた特典のブックレット内のエッセイ「ふたつの街」の後編をご紹介】 ◉ジャラジャラと鳴る夕日の街 あの南の島へ行ったのは、もう4年も前のこと。ヤシの木よりも高い建物を建てちゃいけないなんていう変な法律がある島である。  島で一番大きな町は、きっと30年前の新宿があんなだっただろうなという雰囲気の、舗装もされていない通りに人々の活気だけがあふれている所である。  交通機関の大半は自転車だが、ひともうけしようと企む

          エッセイ ふたつの街(後編)

          エッセイ ふたつの街(前編)

          【今回は1986年に発売されたソロアルバム「砂金」に封入されていた特典のブックレット内のエッセイ「ふたつの街」の前編をご紹介】 ◉ゆるゆるとのぼる陽炎の街 学生の頃に住んでいた街は、都心に近いにもかかわらず、駅を降りるとまるで地方の小さな町に来たような気さえする、こぢんまりとした所であった。  駅を出ると、すぐ正面に小さなローターリーがあって、その向こうにまっすぐのびている細いバス通りがある。それが街の中心となる商店街である。  夏、アスファルトの照り返しで蒸しかえるよ

          エッセイ ふたつの街(前編)

          砂金の話

          【今回は1986年に発売されたソロアルバム「砂金」に封入されていた特典のブックレットの冒頭の文章をご紹介】  たとえば、ボクが池の中の魚をのぞきこんでいたとする。そのとき魚が水の中からひょっこりと顔を出した。すると、どうだろう。まるで、ボクが池の中をのぞきこんでるんじゃなくって、魚が空気の中のボクをのぞきこんでるような、そんな錯覚におちいってしまう。また、寝ころんで空を見ている時、何となく自分が地べたに貼りついてる気がするだけで、いつか何かの拍子に空の向こうに落っこって行っ

          ウクレレオーケストラ・オブ・グレートブリテン

          今回の投稿は、2003年に発売されたウクレレオーケーストラ・オブ・グレートブリテンのアルバム『シークレット・オブ・ライフ The Secret of Life』に寄せた関口和之のライナーノーツをご紹介します。 ーウクレレという楽器を持った時点で 音楽家としては人前でパンツを脱いだようなもの。 でもそこに蝶タイを締めてみるともっと面白いー 僕が渋谷の楽器店でフェイマスのウクレレを手に入れたのが1986年のこと。時を同じくして、しかも同じきっかけで同じウクレレを同じ教則本付きで

          ウクレレオーケストラ・オブ・グレートブリテン

          「絆」って何なのだろう。

          【1989年にVIP通信でスタートした連載を原文のまま掲載】  僕は和食党だが、月に何度かは台湾料理やインド料理を食べる。時々は、むしょうに東南アジア系の料理が食べたくなったり、今日は絶対に焼肉とか、イタリアンしかない、という日だってある。  エスニック料理の店は、まだまだ増えつつあるが、僕個人の食生活を考えても、それらは一時のブームではなく、定着したといってもよいと思う。  近頃は、現地出身の人が現地に近い味で食べさせてくれる。それを日本人の僕らがうまい、うまいと食べ

          「絆」って何なのだろう。

          かつて日本中にいたジャニスに捧ぐ。

          【1989年にVIP通信でスタートした連載を原文のまま掲載】  ひと昔前の話だが、日本のあちこちにジャニス・ジョプリンは存在した。これは本当の話だ。下北沢のジャニス、本牧のジャニス、おそらくは蒲田や所沢や河原町、すすき野あたりにだってジャニスはいたに違いない。  自らそう名のった者もいれば、まわりからいつのまにかそう呼ばれていた者もいただろう。とにかく、チリチリした髪で、首飾りをつけ、しゃがれた声でしゃうとしていた女の子たちが、当時はたくさんいたのだ。  彼女たちがどう

          かつて日本中にいたジャニスに捧ぐ。

          スタンダードの詞は広くて深い。

          【1989年にVIP通信でスタートした連載を原文のまま掲載】  10代の頃の僕は、バリバリのビートルズ少年だった。ある本の中で、J・レノンの「ジャズは嫌いだ」という発言を読んで、「そうか、音楽やるにはジャズなんて知らなくてもいいんだ」と思い込んでいる単純なヤツでもあった。  実際その通りで、ジャズとは直接の関わりなしに、ずっと音楽をやってきたわけだが、ここにきて、ジャズクラブに通うは、ジャズのCDは増えるは、自分でも予想外の音楽遍歴ぶりである。ましてや、自分がジャズボーカ

          スタンダードの詞は広くて深い。

          天国に近い世界。

          【1989年にVIP通信でスタートした連載を原文のまま掲載】  古代において音楽は、療法としても使われたといわれる。神智学者で教育学者でもあるR・シュタイナーは、子供の気質を4つに分け、それぞれがバランスよく成長するために必要な音楽がある、といっている。たとえば、ゆううつ気質には弦楽器の曲を聴かせたほうがいいとか、粘液質の子どもは打楽器が向いている、などというように。  そういったことと関連するのかはわからないが、僕個人としては弦楽器の音色が好きだ。特に、人間の声域に近い

          天国に近い世界。

          みんながそれぞれに「カッコイイ」時代。

          【1989年にVIP通信でスタートした連載を原文のまま掲載】  映画の仕事をしている友人がこんなことを言った。 「どうして”セックスと嘘とビデオテープ”みたいな映画が日本でできないんだろう、って考えるんだよね」  たしかに、あの映画はよくできていると僕は思う。それに普通のハリウッド映画なんかに比べたら、とんでもないほどの低予算で作られたにい違いない。登場人物もセットも少ないのだ。にもかかわらず、最後まで観せてしまう。その力はなんなのだろう。 「たしかに、脚本もカメラワ

          みんながそれぞれに「カッコイイ」時代。