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誰かの帰る場所になりたい。

「2年前にここで飲んだ紅茶があまりに美味しくて忘れられないんです。」

喫茶店で働いている私が店頭に立ってると、女性のかわいらしいお客様がそう言ってきた。なんだか小説が始まりそうじゃない?

「どこを探してもないんです。どこで手に入るのか知りたくて…いつかまたこの近くに来たら絶対に寄ろうと決めてたんです。」

素敵だと思った。

私はそんなに美味しい紅茶を飲んだことがない。これが好き、という紅茶はあっても、どうしてもこれが飲みたい!となる紅茶はない。

思わず呆然としてしまったけれど、すぐにお店の女将さんに声をかけた。

女性が2年前にうちで飲んだのは、「フレーバーティー」。
うちの喫茶店では、フレーバーティーは週によって変わる。特に厳しくルーティンが決まっているわけではなく、スタッフが美味しい紅茶を買って来れば、それがその週のフレーバーティーになったりする。だから、女性が飲んだのは本当にたまたま。

たまたまその紅茶に出会ったのだ。

残念ながら今ではうちでは提供していなくて、女将さん自身もあんまり覚えていなかった。だから、仕入れでよく使うお店などをリストアップして女性に教えてあげた。彼女は頭を下げてお店を出て行った。

私は喫茶店がすき。カフェがすき。出される食べ物たち、ドリンクはもちろん、流れる空気がすき。あそこの店員さんは素敵な笑顔だったな、というだけでまた行きたいなと思う。
心臓がきゅーってなるくらい愛しい場所やお気に入りの食べ物やドリンクはいくらでもある。

だからこそ改めて、「喫茶店」は誰かの思い出の場所、味になるんだってわかった。そんな空間の一部になれていることは、私にとってなんだか嬉しいことで。

たまに常連さんに「最近どう?」なんて声をかけられたり、お店に入ってきたときに「よっ」ってな感じで挨拶されたり、漫画でしか見ないと思ってた「いつものコーヒーで」なんて笑顔で言われる言葉も、私がその場所に馴染んでいっているからこそかけられる言葉であって。

誰かがいつも来る場所に、そこに当たり前に私がいて、誰かの思い出の場所とともに一緒に存在できたらすごく幸せだなと思う。

喫茶店で働く前は、私が思い出の場所に行く立場だったけど、今は迎え入れる立場でもあるんだなぁと、なんだか嬉しい。

私は接客業が好き。

人と関わることがすき。そりゃ楽しいことばかりというわけではないけれど、やっぱりコミュニケーションが取れる接客業は、無意識のうちに笑顔になるから私に向いていると思う。

ある意味で私は、「俳優」という職業も、私個人としてはお客様との関わりが楽しくてやっている部分もある。

劇場に来て観劇していただく。観劇後、帰る間際に役者とお話しする観劇スタイルの方とお話しする。そしてその方の思い出になる。「染谷ノエル」という俳優を、ふとした瞬間に思い出したり、私の出ている劇場に向かってみようと思ってくださるのであれば、それは何よりの幸せ。

喫茶店での私も、俳優としての私も、どちらでも思うのは、誰かの帰る場所だったり、思い出の場所や人として優しく迎え入れることができたらいいなあと思うのです。

(日本語がへたっぴでうまく伝わるか難しい。)

喫茶店で働いていると、不思議な出会いやときめきがあったりする。これからもたまには喫茶店でのときめいた出来事もあげていきたいな。ロゴも軽く作ってみた。これが目印。もしよかったら読んでくださいね。

素敵な言葉で私に優しい気持ちを与えてくれた「フレーバーティー」を探し求めている女性のお客様、本当にありがとう。探し求める紅茶が見つかりますように。思い出と出会えますように。

そして、みんなが素敵な思い出を作っていけますように。

(食べ物やドリンクって、なんてかわいいんでしょうね!ときめきますね。おすすめのカフェや喫茶店があったら教えてください!)

染谷ノエル

俳優アカウント

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