【ユーザーインタビューのコツ】事実と意見は、切り分けて集めよう
こんにちは。プロダクトマネージャーのたけまさです。
WEBサービスやSaaSでは、データ分析とユーザーインタビューを組み合わせて意思決定に利用します。データ分析で大きな事実を導き出して、掴みきれないディティールを定性的なインタビューで埋めていくイメージです。
インタビューで顧客の課題に対して、「なぜ?」を深掘り、「何」を提供するべきか特定するためのコツを説明します。
仮説を用意してから、正誤のズレを検証する
インタビューに対するおすすめのスタンスです。自分で軸を設定してから人の話を聞かないと、論点がずれて分散したインタビューになります。
漠然と答えを探すのでは、限られた時間を上手に使えません。
また仮説の誤りをたくさん発見することを歓迎しましょう。間違っていた事実を見つけることは、安易な正しさに収まるより遥かに価値があります。
顧客の「事業」を理解する
顧客の事業を伸ばすために何が必要か?の理解を深めることが目的です。
解像度が高いほどよいですが、やんわりとでも体型的に理解すれば顧客の声の背景まで深掘りすることができます。
データベース上の「顧客行動」を把握する
ここで言う顧客行動とは提供サービス上での活動履歴です。具体的にはログイン履歴や、購入履歴、機能利用履歴、管理画面内の登録情報などインタビュー内容に紐づく履歴を確認しておきましょう。
実行動と顧客の声の差異を発見できるようにすることが目的です。事実と認識のズレにはヒントがあります。
インタビューの時も顧客自身のアウトプットや管理画面などを見ながら、具体的な会話をすると会話の空中戦を防ぐことができます。
顧客の「意見」と「事実」を切り分けて集める
ユーザーの声は一次情報ですが、一次情報の中にも「意見(加工)と事実(生)」があります。インタビューは質問を一般化するほど「意見」が集まりやすくなるので、意識的に「事実」を集めるコミュニケーションが必要です。
このときに『いつも「パン」を食べる』と回答した顧客が、週2でお気に入りの「パン」をたべて、残りの5日を「ご飯」をたべていたら、意見と事実はずれていますよね。事実を引き出すには5Wなど具体を引き出す質問が有効です。
質問が含む時間軸がインタビュー時点から遠ざかるほど、ユーザーに抽象化された意見に寄ります。事実に近い情報が必要なら、近い時間軸「さっき」「昨日」「一番最近」から具体的なエピソードを掘ることがおすすめです。
顧客が重要だと認識していること、実際に結果をだしていることは違う場合がある、その差を意識しながらインタビューをすることも必要です。
この手法は「途上国の人々との話し方 (和田信明+中田豊一)」から学びました。国際協力でのメタファシリテーションの手法を解説した本ですが、人の話をきく機会の多い方にはおすすめの書籍です。入門用には「対話型ファシリテーション」をお勧めします。
顧客間での「共通」と「固有」を切り分ける
ターゲット幅が広いサービスでは、全顧客共通の課題と、どこからが顧客固有の課題に変化していくのか見極めが重要です。
基本的にシステム開発は共通部分を正規化(標準化)して、多くの人が使えるようにするのが最も投資対効果が高いです。
これを判断するためには、同じ属性で複数インタビューを行う、異なる属性で複数インタビューするなど比較が有効です。業種や事業規模、スーパーマンとビギナーを比較するなど様々な軸があります。
変化を差し込める「アクション」を特定する
顧客に0->1で新しい仕組み導入してもらうのは本当に難しいです。新しい仕組みの導入は、既存の経験の延長線上に変化を組み込むのが近道です。
既存の経験の延長とは、「きっかけ」と「報酬」は変更されず、「アクション」だけを新しい仕組みに置き換えることです。
インタビューで「きっかけ」「アクション」「報酬」を特定しましょう。
これは「習慣の力/チャールズ デュヒッグ (著), 渡会 圭子 (翻訳) 」で紹介されていたフレームです。日常生活にも使い勝手がよくて、私も新しい習慣を身に付けたいときはこれで計画してから、トライするようにしています。
まとめ
紹介した中でも特に重要なのは「意見と事実」の切り分けだと思います。収集した声はKJ法やKA法などの分析で更に掘り下げると思いますが、「意見=事実」と誤認した状で掘り下げてもコア価値には辿りつけません。
臆せずどんどんお客さまの話を聞いて、顧客解像度を上げていきましょう!
おまけ。お名前を呼ぶと、相手は真剣に答えてくれる
質問のときに相手のお名前を呼ぶのも、1対1の関係を場に築いて心を開いて会話してもらうポイントです。徐々に顔がリラックスしていくので是非トライしてみてください。
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