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マイナースポーツをメジャースポーツに -競技人口編

前回のnoteで「メジャースポーツ」と「マイナースポーツ」の違いをポジションマップを用いながら、構造化しました。マイナースポーツがメジャーになるために重要なことは、スポーツを「する人」と「観る人」を分けて施策を考えていくことだと述べました。
そして、今回のnoteは「する人」が多いスポーツから、成功要素を抽出し、なぜ多いのかを仮説検証していきたいと思います。

マイナースポーツをメジャースポーツにするためには

前回のnoteで下記の通りに定義しました

「観るひと」×「やる人」の人数が多い=メジャー

つまり、マイナースポーツをメジャースポーツにするためには下記の3つを達成することが求められます。

①競技人口を増やす
②観客を増やす
③お金を増やす

その中で、今回のnoteでは競技人口を増やすに必要なことを考えてみました。

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まずは、現状把握から行ってみます。

競技人口多いランキング

競技人口が多いスポーツは総務省の「社会生活基本調査」で人数を把握することができます。

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全部の競技を分析することは出来かねるので、グルーピングしていきます。

身近で安く簡単に体験できるスポーツが上位

まずは、スポーツを実施する「環境・場所のハードル」および「費用」で考えてみます。

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評価基準
「環境・場所」は、参加人数や施設数を基準に考えました。議論の余地がある部分もありますが、やろうと思えばできるかどうかという観点から公園でできるスポーツや、公営の施設が全国にある競技は「低い」としました。
「費用」も同様ですが、参加費や必要な道具の費用面から主観も交えて基準を定義しました。
「競技難易度」は、少し練習したらそのスポーツを楽しめるかどうかを基準としました。当然、運動神経などで個人差はありますが、他人に迷惑をかけるかどうかが一つの基準としています。

身近にある/すぐできる・安い・簡単なスポーツは、当然ですがやるスポーツ人口が多いです。

競技人口が多い要因とは

上記のランキングで、「やる環境が低い」「安い」「簡単」以外のスポーツがなぜ競技人口が多いか検討してみました。

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①老若男女生涯スポーツ
②部活・学校体育の活動
③漫画・ドラマ・映画ブーム
④コミュニティの存在
⑤季節性などの希少性
⑥オリンピック・W杯などの大きなスポーツでの日本代表の活躍・メディア露出
⑦映え

検討した共通項として7つの要素が考えられました。

身近で安く簡単に体験できる場所の提供

競技人口を増やすための大きなステップとしては下記が求められます。

①競技できる環境・場所を提供する・増やす
②なるべく安価で提供する
③簡単にできること

ただし、上記はスポーツによっては難しいといえます。

たとえばパデルは、パデル専用コートが必須であり、国内にコート数が14施設しかいこともあり、コート代もそこそこの値段をします。(おおよそ一人1時間1000~1500円) そして、ルールもそんなに難しくないものの、初めてパデルを見た人が何の説明も受けなかったら難しいでしょう。(陸上の短距離走などは、説明がなくても誰でもルールがわかりますよね)

パデル施設では500円での体験レッスンなどを提供していて、大変好評です。
http://www.padelasia.jp/admission/trial

また、やりようはいくらでもあります。壁のある公園でパデルをするという企画も実施してみました。
https://www.instagram.com/p/CH1u2mdFgHV/

また、競技人口を増やすうえで大事な観点があります。

①新規を増やす
②リピーター率を上げる

当然、新規顧客を獲得することは大事ですが、それと同様に継続的にプレーをしてもらうコア層を増やしていかなければなりません。

この二つを増やす手法も異なります。そこで登場するのが先ほどピックアップした7つの要素です。

①老若男女生涯スポーツ:新規+リピーター
②部活・学校体育の活動:新規+リピーター
③漫画・ドラマ・映画ブーム:新規
④コミュニティの存在:リピーター
⑤季節性などの希少性:新規
⑥オリンピック・W杯などの大きなスポーツでの日本代表の活躍・メディア露出:新規
⑦映え:新規

新規を獲得するために必要なこと

新規を増やすためには、やるきっかけとなる機会、知って、魅力を「理解」もらうことが必要となります。
若者にやってもらうためには、部活・体育として導入されるかどうかは最も大事な要素の一つといえるでしょう。
また、ブームを創ることも大事です。
特に漫画やドラマなどはブームを巻き起こすきっかけとしては大きな要素となります。
灼熱カバディという漫画がアニメとなって、放送されています。https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/kabaddi/

過去を考えても、スラムダンクやテニスの王子様、スクール☆ウォーズなどによって、それぞれのスポーツの競技人口が爆上がりしました。

さらには鬼滅の刃ブームから、剣道が人気となりかけているようです。

リピーターを獲得するために必要なこと

リピーターを確保する方がマーケティング観点では困難とされています。そして、重要視もされています。
上記のようにブームを創ったところで継続性がなければ、「ブーム」で終わってしまいます。

そこで大事になってくるのがコミュニティの存在です。

日用品などの購入リピートにおいては、その商品のファンをつくること=好きになってもらうことが大事とされています。スポーツにおいても当然大事な要素となってきますが、スポーツは他の嗜好との可処分時間を奪う競争になってきます。そして、一人でできるスポーツはいいのですが、多くのスポーツは複数人で行ないます。その場合は、「誘う」「誘われる」という行動が必要となるため、リピートしていくうえで大きなハードルとなります。

そこで、コミュニティの存在が求められます。

ゴルフは「会社(というコミュニティ)の人がやっているから」という理由で始める人が多いと思います。これは「やるスポーツ×会社=ゴルフ」という文化・ブランディングとして確立したソーシャルスポーツの成功事例と言えます。

また、ゲートボールも5人対5人のスポーツであり、「やるスポーツ×地域コミュニティ×高齢者=ゲートボール」として爆発的に競技人口が増えました。

一方でオンライン上では、MixiやFacebookがその役割を担っていました。

しかし、近年はそれぞれ特化したコミュニティサイト・アプリがどんどん誕生しています。

登山・ハイキング YAMAP
https://yamap.com/communities

テニス テニスベア
https://www.tennisbear.net/

フットサル Labola

https://labola.jp/reserve/events/personal/

パデルの取り組み紹介

パデルは「スポーツ×食=パデル」として、取り組んでいます。パデルが盛んな南米ではパデルをしながらBBQ(アサード)という文化が根付いていて、コミュニティとして成り立っています。

日本でもこの文化を取り入れようとしていて、多くの施設で「パデル×BBQ」、「パデル×パデリア」、そのほかにも冬はおでんや鍋をしながらパデルをしたりしていました。(コロナ期間中は中止)
BBQついでにパデルも少しやろうかな、という層を取り込めたらパデル界は飛躍できると思っています。

ラテン発祥のスポーツということもあり、「パデル×食」が文化としてあります。「パデル×BBQ」、「パデル×パデリア」などの食べながらパデルをするイベントが各施設で多く開催されています。パデルが好きな人は新しいもの好きな人が多く、様々な人がいるので、年代問わず様々な人とつながれるのがパデルの魅力です。
引用:日本パデル協会HP
https://www.japanpadel.com/charm-2/charm/

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ただし、オンラインでは、専用のアプリやサイトがないためFacebookでのやり取りが非常に多いです。ここは改良の余地があります。
ヨーロッパでは、playtomicというサービスが優れています。
コートの空き情報を一元管理・可視化、予約、人の募集も出来ます。さらに対戦結果を入力すると、実力によってレーティングが上下する仕組みとなっています。UIを含めて、すごくいいサービスなので同様のサービスが日本に早く欲しいところです。
https://playtomic.io/

まとめ

スポーツをやる人を増やすためには、競合に勝たなければいけません。その競合は他のスポーツだけではなく、全ての娯楽が相手となります。
その中で、そのスポーツの魅力、差別化を行い、うまくマーケティングしていく必要があります。完全にビジネスと同じですね。
当然ですが、これという正解がないです。私はパデルというスポーツをメジャースポーツにすべく試行錯誤し、成功事例を作り上げていきたいです。

次回以降は、

②観客が多いスポーツ
③マネタイズ出来ているスポーツ 

をそれぞれピックアップし、成功事例から分析していきたいと思います。

この分析のベースは、私一人ではなく、MSBSメンバーと「マイナースポーツゼミ」という形で語り合ったことと私の個人的主観となっています。

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