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詩日記

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日記的詩
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#自由詩

梅雨

梅雨

蒸れて臭う靴、汗でじんわり湿ったシャツ、他人の傘が当たって濡れる満員電車、半日かけても乾かない洗濯物、シャワーを浴びてもまたベタつく肌、梅雨。

雨に降られても堂々咲く紫陽花、いつもより並んでいないラーメン屋、家に籠って浸る読書の時間、肩は濡らしても荷物は濡らさず玄関前に立つ配達員さん、梅雨。

どっちも梅雨。

コップ

コップ

コップの中では、ヒトとヒトとが競い争いコップの外に追い出し合う。容量が決まっているコップからヒトは溢れていく。学のないヒト、使えないヒト、就職できないヒト、売れないヒト、頑張れないヒト、話せないヒト、お金のないヒト、ないヒトはコップの淵の方に追いやられる。ヒトはコップから溢れないよう必死になって絶望の淵にしがみつく。手を挙げられず、声を上げられず、やがて力尽きる。力尽きて絶望の淵から手が離れ、コッ

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梅雨の朝

梅雨の朝

日曜の朝
休みの日の朝
小鳥の鳴き声が聴こえる朝
シーツが気持ち良く干される朝
窓から微風がそっと入ってくる朝
アスファルトの濡れた匂いが残る朝
梅雨前線の隙間を縫って晴れ間が顔を出す朝
光と音と香がいっぺんに身体の中に入り混じる朝

事象

事象

人は間違える
人が間違えたとき人は人を見る
間違えたことではなく間違えた人として見る

人は成功する
人が成功したとき人は人を見る
成功したことではなく成功した人として見る

間違えたことも成功したことも
そのまま人格になっていく
たった一度であっても

大人

大人

いつからか、好きではないことを好きと言えるようになった。
楽しくないことも楽しいことと、面白くないことも面白いことと、やりくないこともやりたいこと、と言えるようになった。
ちょっと大人になれたと思った。

同じくして、辛いことを辛くないと、悲しいことを悲しくないと、痛いことを痛くないと、言えるようになった。
随分大人になれたと思った。

いつのまにか、好きなことを好きではないと言うようになった。

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どこに行っても人

どこに行っても人

都会の喧騒から逃れたくて
現実から少しでも目を逸らしたくて
人ではない何かの温度に触れたくて
行き着いた先は人で溢れる

自分を大切にしたくて
自分と向き合いたくて
自分の時間を過ごしたくて
出たはずなのに人がいる

人とぶつかりたくなくて
人を嫌いになりたくなくて
人に踏み込まれたくなくて
逃げたはずが人と交わっている

逃げても
避けても
隠れても
どこに行っても人

自分以外の人も同じように

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今ではないいつか

今ではないいつか

今ある仕事は
他人に求められる
社会の役に立つ
需要がある
から仕事になる

今ある仕事に
自分を当て嵌め
他人に合わせて
社会を支える
ふりをする

今この瞬間には
他人に求められていない
社会の役に立たない
需要がない
かもしれない

今この瞬間ではない
いつか
どこか
だれかの
心に遺るもの
かもしれない

自分をもう少し信じられたらな

自分って

自分って

自分のことより他人のことに目が向くようになったのはいつからだろう、自分が何をしたいかよりも他人は何をしているのかが気になったのはいつからだろう、自分の意思より他人の意思に従うようになったのはいつからだろう、自分の好きなことより他人の好きなことを好きと言うようになったのはいつからだろう、自分のために生きる人生が他人のために生きるようになったのはいつからだろう、自分と他人の境目がわからなくなったのはい

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ジーパンの丈は少し長い

ジーパンの丈は少し長い

銭湯のお湯は少し熱いし、水風呂は少し冷たい。平日の一日は少し長いし、休日の一日は少し短い。牛丼の並盛は少し少ないし、牛丼の大盛は少し多い。初夏の屋外は少し暑いし、コンビニの店内は少し寒い。東京は人が少し多いし、東京以外は人が少し少ない。上司は少し厳しく、部下は少し緩い。ネットは少し淋しいし、現実は少し辛い。自分のことは少し悲観的で、他人のことは少し楽観的だ。やりたいことはできないのに、やらないとい

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隣の席のお客さん

隣の席のお客さん

ここはラーメン屋のカウンター

入り口で食券を買い店員さんに渡す

案内された席に座る

出された水を飲む

入ってきた時から付けたままのイヤホンで

YouTubeを見ながら

出されたラーメンを食す

口を拭いてスッと立ち上がって店を出る

そんな隣の席のお客さんを見ながら

わざと

いただきますとごちそうさまを

口に出す

最近出来たラーメン屋

最近出来たラーメン屋

珍しく夜にラーメンを食べよう。

というより近くに寄れるお店がそこしかないから。

まあ入ってみる。

食券を買う。

(おいしいラーメン屋っぽい)

女性店員さんに食券を渡す。

席に案内される。

水はセルフなのかと思い席を立つ。

すると「お水、、、」と。

女性店員さんが持ってきてくれたみたいだった。

(店員さんもきっとコミュ障なんだな)

席に戻る。

女性店員さんが食券をカウンターに

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枕

寝れればなんでもいいと思ってた

床に就くといつもと首の高さが違う

左肩の痛みといっしょに起きる

自分にあったものを使おう

またひとつ自分を知る

この痛みも寝れば治るのだけど

レールの上を走れ

レールの上を走れ

大学へ行け。脱毛しろ。痩せろ。就職しろ。結婚しろ。子どもを産め。保険に入れ。親を介護しろ。個性、多様性、自分らしさ、なんてことは幻想で、電車内に隙間無く貼り付けられた広告たちはお節介で躾がましく口うるさく言う。はみ出るな。普通であれ。皆と同じであれ。電車と同じようにレールの上を走れ。電車は今日も決められた時間に決められたレールの上のみを走っていく。

間違いだらけ

間違いだらけ

人は誰でも一度は間違える

間違えない人はいない

誰でも間違いながら生きていく

ぼくもきみも間違える

親も先生も上司も友達も間違える

間違いの大小と間違えた原因は様々あるけど間違える

知っている知っているはずなのに

自分以外の誰かが間違えた途端

間違えたことがないかのように振る舞う

自論を展開し

意見を主張し

善悪を議論し

そして

人格を否定する

間違っている

いつのま

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