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コップ

コップの中では、ヒトとヒトとが競い争いコップの外に追い出し合う。容量が決まっているコップからヒトは溢れていく。学のないヒト、使えないヒト、就職できないヒト、売れないヒト、頑張れないヒト、話せないヒト、お金のないヒト、ないヒトはコップの淵の方に追いやられる。ヒトはコップから溢れないよう必死になって絶望の淵にしがみつく。手を挙げられず、声を上げられず、やがて力尽きる。力尽きて絶望の淵から手が離れ、コップから溢れ、外側からコップの中を見たとき、コップの中の窮屈さと息苦しさと切なさに、はじめて気づく。コップの外にもまた世界があり、絶望の淵は次の世界への踏み台となる。

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