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[800字コラム] レ・ミゼラブル

「日本はフランスより感染が拡大していないが、政府が東京五輪開催を強行する為に数字を隠蔽していた可能性」
「マスク2枚ってのにはあいた口がふさがりません。笑っちゃうしかありませんよね」

カギ括弧の中はいずれも、誠に残念ながら母校上智大学のフランス語のセンセー方が、今年の春頃にのたまったご発言。

何が何でも日本が悪くてフランスが素晴らしくてしょうがなくて、フランスに関わっている自分らはフランス人と同等にお高くとまったつもりになって、仲間うちで放言している分には、微笑ましくも美しい村ということなのかも知れない。

しかし、現実世界を眺めてみれば、仮に感染者数を隠蔽できても病床や死亡者の数までは変えられまい。そして日本政府は憲法違反のロックダウン(法的拘束力をもつ外出禁止)を強制できず、自粛要請しか出来なかったけれど国民は協力して大規模な感染拡大から免れ、かたやフランスは夏休みの行楽も含め好き放題やった結果、遥かに凄惨な、直近では1日3万人を超す感染大爆発と相成った。

そして、非感染者もマスクを装用すれば感染を抑止できるとの経験則が日本や台湾などを見て分かってきたから、日本の猿真似でしかない布マスク無償配布を、パリ市長が決断するに至った。

いま起きているファクトに対して、総合的俯瞰的にコメント頂けないもんですかねえ、かりそめにも学者を名乗るなら。

ご自分が好き勝手にのたまったデマゴギーの欺瞞が明らかになった時、謝罪も訂正もなく黙り込んで、都合の悪いことには耳を塞いでやり過ごせば、俺は私はセンセーなんだぞって威張ってられるのかもしれないし、今までもそういうやり方で単位や論文査読を人質に学生たちを締め上げれば、周囲を萎縮させ忖度させイエスマンに囲まれることは出来たのかもしれない。

だが、卒業してセンセー方の生殺与奪の権利と関係なくなった眼から見れば、あいた口がふさがらないのはこっちなんだけれども。

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