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『ケイトが恐れるすべて』ピーター・スワンソン(著)務台夏子(訳)

ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが、到着した翌日に、アパートメントの隣室の女性オードリーの死体が発見される。オードリーの友人と名乗る男や、アパートメントの向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりには秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに、オードリーとの関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 見知らぬ他人に囲まれた、ケイトの悪夢の四日間が始まる。ミステリ界を席巻した『そしてミランダを殺す』の著者の衝撃作!

最近平和なSFばかり読んでたので、サイコっぷりに心底恐怖を感じる。サスペンスというよりホラー。人間怖い。ピーター・スワンソンは、ナチュラルにサイコを出してくる所が凄い。

前作『そしてミランダを殺す』同様、物語が動き出す(人が死にだす)半分あたりまでは平凡で退屈なのだけど、その分後半のサイコ展開が引き立つ。え! お前、そんな事を!? の連続。

殺人犯の行動、思想(動機)が、本当に、心底気持ち悪く、心を落ち着けるため、何度も読書を中断した。こんな家族が居なくて良かった、と心底ほっとする。

しかし本作は元々ロマンティック・コメディなだけあって事件の解決や、ラストは晴れやか。(そいつで良いの?とは野暮なので言わない)
「背中に何かついてない?」は傑作だった。これが映像化されたら、怖いやら面白いやらで困るだろう。

しかし色々惜しい。
二人がもってるポラロイドでもっと話を膨らませて欲しかった。
部屋に見知らぬ誰かが居る?という不気味な演出も、ケイトがトラウマで二重人格とか夢遊病なのでは? と別方向に勘ぐってしまい、恐怖感が薄れてしまった。
ケイトのトラウマ事件も、タイトルにもなってる不安症もさしてドラマに関わらない。
警察がドラマに絡まないのも物足りず。警察が犯人の家をどう探し当てたのか何も書かれていない。

振り返ると結構不満があるが、住まいの交換、殺人犯達の過去など、ドラマが素晴らしく面白い一冊であった。

別件だが、最近、真面目にメモをとりながら本を読んでいるので、これ誰だっけ?のストレスが一切無くて快適。さらには、誰も見たことがないハルペリン氏とか、新入りのドアマンとか、微妙に怪しい人を忘れなくて済むので、読後に「関係ないじゃん!」と一人で笑えるのも楽しい。


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