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愛する人との思い出は、忘れずに記憶しておきたい

いま、会いにゆきます / 市川拓司 を読んで。

愛した人との思い出はずっと忘れていたくない。
何をした、どこに行った、こんなことを話した。
どれ一つかけがえのない思い出だし、いつまでもずっと覚えておきたい。
特に、恋人やパートナーと死別してしまったとなれば、これからの思い出が増えない分、今までの出来事を大切に覚えておきたい。
新しい彼氏と付き合ってからまだ 1ヶ月も経ってないし、予定も埋まっていたこともあって全然会えていない。
小説のように長い年月を過ごしたわけでもなく、一緒にいろんなことを経験していないので、思い出という思い出はまだない。
ただ、これから長く付き合っていく中で、縁起でもないけれど小説のような展開になったとき、僕は主人公と同じように日記として書き起こし、記憶が薄まる前に大切な思い出を残しておくだろう。

もし短い期間であっても、その人と一緒に過ごせる未来を体験して、心からの幸せを感じることができたとしたら。
愛しい人の愛情から、温もりから、肌の触れ合いから、何気ない会話のやり取りから、日々の慎ましくとも穏やかな生活から、その人がどれだけ自分を愛してくれているか先に知ることができたとしたら。
だけど、いつか自分はその人をおいて先に旅立ってしまうことになり、悲しませることになる運命が待ち構えていることを知ったとする。
それでもその人と一緒になるだろうか?
それともお互いが悲しまないために、自分が長生きするかもしれないことに賭けて、その人と一緒になる未来を選択しないだろうか?
僕だったら、こんな自分をそこまで愛してくれて、たった短い数年だけの期間しか一緒になれなかったとしても、その人の心からの愛情を知ってしまえば、一緒になる人生を選択すると思う。
何も知らずに幸せに過ごす相手には心苦しいけれど、終わりがわかっているからこそ、一瞬一瞬、精一杯その人との時間を大切に過ごそうとすることができるんじゃないか。
自分のエゴかもしれないけれど、一緒にいる間お互いが満たされた時間を過ごせるのなら、僕は愛する人と一緒にいる未来を選びたい。

主人公とその家族が素朴すぎるからこそ、涙なくしては読めない。
語彙力を無くして言えば、「エモい」小説だった。
朴訥と? した語りだからこそ、感慨的になりやすい気がする。
とても素敵なお話でした。

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