片山 和洋/ハナウタカジツ
デザイナーや教師など子供の頃の夢を農業を通じて実現!
■プロフィール
果樹農家の2代目として生まれたが、農家以外への憧れがあって、コンピューターエンジニアの専門学校を卒業。スーパーでアルバイトをしていた20代前半に、家業を継ぐことを決心。
熊本県知事が塾長を務める「熊本農業経営塾」一期生で、エコファーマー認定、第50回熊本県農業コンクール「新人王」特別賞、第53回熊本県農業コンクール「食と農」特別賞を受賞。
県の指導農業士として農業高校の生徒の研修や、中学生の職業体験などを熱心に受け入れている。
■農業を職業にした理由
教師やデザイナーへの夢を抱えながら、20代前半までアルバイトしていたスーパーで地元産の果物について、美味しい食べ方や旬を説明すると、客が増えることから、「伝える農業」を目指すように…。
家業を継いでからしばらくは挫折感を抱えていたが、指導農業士として、農業高校の生徒を泊まり込みで指導したり、職業体験の研修などを受け入れるたび、教師になりたかった子供の頃の夢が実現。
また専門学校で学んだエンジニアの技術を、ホームページ作りやSNS活動で活用して、全国にハナウタカジツのファンを獲得中だ。
■農業の魅力とは
農家に必要なのは、栽培技術だけでなく、販売や広報、デザイン、社会活動などあらゆることにアンテナを張り巡らせること。学生相手には教師に、ギフト用チラシ作りではデザイナーになるという具合に、農業を通じて子供の頃の夢を叶えています。
子供の頃は「農業は休みがないから家族旅行もできない」ことに不満でしたが、今では果物を買ってくれたり、ウチの果物で作ったパフェを食べたお客さんが全国各地で投稿してくれたSNSを通じて、僕自身も疑似体験しているような喜びを味わえます。
さらに、投稿を見てくれた人たちの間で、反応が広がっていくことで、ファンも増えました。農家に対するイメージがポジティブになり、農業を通じて何者にでもなれるんだと、さまざまな夢が実現しています。
■今後の展望
父も高齢ですし、母も持病があるので、いずれは外部から人を雇用する必要もありますが、家族経営の形は維持したいと思っています。お客さまから「他の果物を作っては?」などのご要望もありますが、農地を広げても栽培品目を増やすつもりはありません。
本来は飽きっぽい性格ですし、果樹栽培は年単位で生産するので根気が必要ですから、他の果物が軌道に乗ったときに需要があるとは限らないためです。
今はお客さんに繰り返し購入してもらえるよう、動機付けになるメッセージをSNSやお便りを通して発信することに注力しています。
例えばキンカンであれば、年1回で満足させるだけでなく、イベントごとに結びつけたユニークな提案を発信することで、お客さまの購買意欲が高くなればと思って努力を続けていますし、それが楽しいのです。