クラウド

04.僕がクラウドファンディングをしたい理由①-きっかけ-

〜はじめに〜

 1月29日に公開されましたMayprill Recordsによるクラウドファンディング企画についての僕の思いを書き綴っています。

企画始動前より書いていたものなので、やや頭でっかちな印象で、文章が少し尖っているかもしれません。もし気になる方は読んでみてください。僕がクラウドファンディングに興味を持ったきっかけについてきています。

-きっかけ-

なぜ「クラウドファンディング」なのか?
なぜ「レコード」なのか?なぜ「コミュニティ」なのか?

その考えに至るまでを書いてみます。
いくつか投稿を分けて順を追って書いていきますが、問題定義の根本は

「僕達の7年間は無駄だったのか」

です。

【活動を振り返った上での大きな気づき】

カクバリズムの角張さんの著書「衣・食・住・音」を読んだことがきっかけに、僕はバンドの未来に、絶望しました。体中の力が抜けて、「僕たちのこれまでの7年間は無駄だったのかもしれない」と思ったのです。それは、「世間的に」です。そして「カルチャーとして」です。

「衣・食・住・音 音楽仕事を続けて生きるには」角張 渉 (著), 木村 俊介 (聞き手)/リトルモア

角張さんのような、こういう人が15年間、死ぬ気で動き回って、ようやくメジャーの音楽にはない新しい価値を、普通に生活する人の耳に届けてきたんだという事実が、僕の心を完全に砕きました。ヒットの向こう側には必ず音楽を作る人間を、バンドと一緒になって、誠実に、時にごりっと、外に伝える役割を行う人間が存在していたのです。

もちろん知っていたつもりですが、僕らは、そうした人たちと出会う機会が全くありませんでした。だからそういう人が現れないことは単純に「音楽が良くないから」なのかなと正直思っていました。なので、さらに頑張って音楽を作る訳ですが、どれだけやってもTHA BLUE HERBにおける「シスコの男」は現れなかった訳です。考えれば考えるほど様々な要因があるのですが、僕らは「いいものを作る」ことにこだわってずっとやってきました。

ただそれだけです。あまりに愚直でした。THA BLUE HERBはラップミュージックなので、彼らはアティチュードをオーディエンスに伝え続け、北海道の熱いファンベースを実績に、レコードを作りたいという、レコード会社の男を手繰り寄せたのです。

「SISCOの男」はこの曲の歌詞です。大好きな曲です。「Supa Stupid」

僕らはそのアティチュードを伝えることよりも、純粋に音楽を演奏したかった。その道を選んできた。ということです。こんな言い方をするとカッコ良さげで、好きな人や価値がわかってくれる人には、純粋な力を持つ音楽なのは確かですが、「どうなりたいの?」「どうしていくの?」がお客さんにも業界の方々にも、ちゃんと伝わっていないような気がしました。「サボってたんじゃないの?」と。

ただ僕は、「純粋に演奏し続けた」「作り続けた」ということ自体をどうしても否定することができないのです。僕らはリリースを重ね、可能な限りのサウンドプロダクションを重ね、いくつかの媒体に取り上げてもらい、嬉しい言葉をいくつももらい、自信に変えやってきました。しかし平日はほとんどせっせと音楽と関係のない別の仕事をこなしていたんです。みんなそれなりに責任も重くなっているのに、音楽だけは死ぬ気でやっていて、年々そのクオリティは上がっていくという。。

そこにきて、僕はふと世間を見たとき、日本の音楽シーンや、日本の音楽商業の歴史などにも目が向くことになります。

今の日本は、みんなで作っている世の中で、その世の中に、愛するメンバーも、素敵な音楽仲間も、Emeraldを好きでいてくれるお客さんもいるので、感謝こそあれ、社会や聞き手の感性を憂うつもりは全くないのですが、アーティストにとって日本は、売れないと全てが「無意味」「無駄」になる世の中ではあります。憂うまでもなくこれは大いなる事実です。どの世界でもそうでしょう。結果を残したものだけが、モノを言える世の中です。わかっています。血の繋がった家族でさえ、紅白やMステにでない限りは認めてくれません。そうした社会を憂いてもつまらないし、その中で産まれた音楽が、僕の体には流れているので、それ自体を否定するつもりはないのですが、その考えでいけば、僕たちはこのままだと、時代に名を刻むことなく淘汰される運命にあると言えます。

では僕達はこのまま淘汰されていくのでしょうか?

幸い、僕はいいメンバーと、その音楽の価値を一番に共感しあい、理解してくれる伴侶に巡り会えたことで、歌い続けることができています。もちろんお客さんもです。しかし、世間的にはそれはただの「奇跡」か、「頭がおかしいこと」なんだと思います。
いえ、これは僕の音楽人生が勝ち取った大いなる実績なんです。そのことが、僕におおきな自信をくれていて、Emeraldの魅力を再認識するきっかけをくれたんです。

だから、やっぱり伝える努力をもっとしなきゃ。な訳です。

そして、たとえ淘汰されようとも、その活動の歴史と、この瞬間瞬間の躍動は、出会えた人の手元に、心にしっかりと残したい。

Emeraldは角張さんのような方と出会えなかったし、メンバーは音楽に集中してほしいし、仕事だって頑張ってほしい。じゃあ、今動ける自分が、レーベルオーナーという顔をして、なにかを起こさなくてはいけないと、思ったわけです。メンバーが働いている間、楽曲のベーシックを練っている間、バンドのことを広めたり、知ってもらう活動を行おう。という考えです。そこでこのクラウドファンディングやコミュニティ運営をやってみたいと思ったのです。バンドとしてではなく、レーベルとして。です。みる人によっては、僕がメンバーである以上、同じことなんですけどね。

【ファンという存在について考えるようになった】

僕がまず最初に考えたのはレーベルオーナーとして、日本中のフェス事業部に営業して、フェスに出る。大きな媒体にアプローチして、取り上げてもらうなどの考えでした。でもアーティストそのものにいきなり営業をかけられても、自分が業界内の人であれば、困ってしまうよなと。思ったわけです。そこで「レーベル」というものを個人商店に例え、そのお店のオーナーになって、来店される方や興味を持ってくださっている方と話してみよう。という考え方に立つことにしました。自分たちで作った和菓子や洋服を売るお店と同じです。店および窓口がなかったので、店を作ってみることにしたんです。店主は僕です。問い合わせ電話はtwitterのDMバンドのHPのCONTACT

そのお店で、どんなものを作ってきたのか、どんな実績があるのか、そうしたことをWEBを通じて積極的に紹介していってみようという考えです。それがこのnoteです。その上で、興味を持ってくださったり、「実はずっと好きだったよ」と行ってくださる方々に、自社製品のカタログを展開して、丁寧に渡していくようなアナログな販売や営業ができないか考えました。

また、まずはいつも店に来てくれる人や、ずっと興味を抱いていてくださった方を大事にして、それからみんなでいろんなところに行こうよ。楽しもうよ。という方が、僕は自分の性格に合っている気がしたんです。流れの速い世間に対して、焦らず、堂々とまずはそこから初めて行けばいいんじゃないかと(年齢的な焦りはずっとありますが)。

業界がどうなっているとか、どんな方法がバズるとか、頭で考えていてもわからないんです。何より歌うことが大好きで、いい仲間とそれを続けて、大きなステージでも歌いたい。聴いてくれる方の心の生活を豊かにしたいな。くらいしか考えてこなかったわけですから。(もちろん、自分たちが最高に納得する形を目指して)でもお店を作って、いろんな人の意見を聴いていくと、フェスに出るのも、「売れる」のも、お客さんがいるから成立するんだということに改めて気づきました。

次は「ファン」の存在と「バンド」が売れることの関係について僕なりに感じたことを書いてみます。

話はまだまだ続きます。ゆっくり楽しんでいただけたら幸いです。

「05.僕がクラウドファンディングをしたい理由② -"ファン"について- 」へ(リンク)


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