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This is 400字小説

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400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。 2020年4月11日より2023年12月31日まで 「なかがわよしのは、ここにいます。」(https://nkgwysn.…
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【400字小説】水溶性

【400字小説】水溶性

雨がカラカラ降ってる。
「東京って砂漠なの?」と
ミイコはひとりで呟いて、誰も居ない部屋で。

恋人はもともといない。
8年もいない。
YouTubeでヨガをやろうとスマホを持つ。
でも突然イラついて、それを壁に向かって投げた。
マイルス・デイヴィスのポスターが破れかけてる。
心は壊れかけのRadioな世代。
もうとっくに結婚もできないだろうし、
諦めたくはないが恋人だってできないだろうし。

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【400字小説】印鑑

【400字小説】印鑑

これがナカガワヨシノの小説だ。
押印なんて必要のない、書き連ねるだけで
それだとわかる個性だ。
小説ではないかも。
何者にもなれないのかも。

でも、これがわたしのスタイル。
スキ!を欲しない。
成功なんていらない。
あなたに届けよ、それで十分。
自己救済のための400字なのだ。

異国の地・ジャパンで働くあなたには敵わない。
あなたにこの小説が届く夢も叶わない。
それでもわたしは間違えた日本語で

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【400字小説】冷たさ

【400字小説】冷たさ

NBA選手のカワイ・レナードはシュート力が
正確無比すぎて、冷酷なくらい。

「最近は大谷くんの影響で、
試合中でも感情爆発させるコが増えたね」
って去年の夏の甲子園を見ながら、
ユウヒトが言ったのを思い出した、早朝に。

アユがユウヒトに別れを切り出されたのは
昨夏に慶応高校が甲子園で優勝した3日後。
ユウヒトは坊主にして来て、
「これが僕の覚悟だよ」と言った。

ユウヒトはスポーツ観戦が好きだ

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【400字小説】推し

【400字小説】推し

椎名林檎と同期の谷口崇は
売れなかったので、今でも悲しい。
「マーケティングってアーティストじゃできないから、
レコード会社がしっかりしなくちゃね」と
マスミが言ったのがちょっと癪だった。

マスミとタオキは干支一回りの年の差。
つまり、タオキが48歳で年上。

「林檎ちゃんはすごいね、
わたしたちの世代でも知ってるし、
カラオケでも歌うもの」
「売れればいいってもんじゃない」と
腹がひねくれたタ

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【400字小説】木

【400字小説】木

ハマチは近年、集中力が続かなくなっている、老い。
「50越えた途端、ガクンと来てさあ」と
ハマチはオオモリに愚痴る。

「そんなの良い方だよ。俺なんて40すぎに老眼になるわ、
忘れっぽくなるわですよ」

ふたりはビールを飲んで興奮している。
平日の昼間から居酒屋で飲める立場のふたり。
ハマチはコピーライターで、常時フリー。
オオモリは中小企業の社長で、たまにはフリー。

オオモリが訊く。
「正直さ

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【400字小説】四つ打ち

【400字小説】四つ打ち

クラブの大音量のなか、耳元で「大事な話がある!」と
キボウに言われたハルカは、
良い予感と悪い予感が心で渦巻いた。

混乱したハルカは「今はイヤ!」と返したが、
キボウには聞こえないらしく、
「何て言ったの?」とキボウは聞き返した。

しかし、今度はそれがハルカに伝わらない。
最終的には伝わったが、
スムーズにいかなかったことについて
ハルカはイラついた。
多分、不安の方が大きいのだろう。

二人

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【400字小説】しゃもじ

【400字小説】しゃもじ

善光寺のびんずる様が白昼堂々盗まれた
白昼夢から、もうどれくらい?
ケイヒは「あったね、そんなこと」と
10年くらい前のテンションで言った。
何も突っ込めなかったエイトは、一体どうやって、
ひとりであんなに大きなものを
担いで逃げれらたのか、もう一度考える。

人間の目は簡単に欺けるのだなあと思い知らされた。
防犯カメラ映像を見た捜査員も
思わず二度見したに違いないとエイトは。

「それよか、飯に

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【400字小説】軍配

【400字小説】軍配

今時の小学生は相撲を取らない。
ゴジョーが幼かった頃、学校に土俵があったものだけれど、
怪我の元になるからって、いつの間にか廃滅。

それが寂しかったゴジョー。
だから体育の授業で子どもたちに相撲を教えたいと
職員室会議で提案したのだけれど、肩透かし。
「いい提案だけれど、こんなご時世じゃね~」と
正攻法でかわされて。
つっけんどんに突き返されなかっただけマシか。

ご当地力士・縞乃山は三役常連だ

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