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【400字小説】軍配

今時の小学生は相撲を取らない。
ゴジョーが幼かった頃、学校に土俵があったものだけれど、
怪我の元になるからって、いつの間にか廃滅。

それが寂しかったゴジョー。
だから体育の授業で子どもたちに相撲を教えたいと
職員室会議で提案したのだけれど、肩透かし。
「いい提案だけれど、こんなご時世じゃね~」と
正攻法でかわされて。
つっけんどんに突き返されなかっただけマシか。

ご当地力士・縞乃山は三役常連だったけれど、
今は幕ノ内下位に沈んでいる。
応援する者も少なくなった。

そんな中でゴジョーはいまだに熱く縞乃山を応援。
相撲愛を体現しているような人生。
身長168cmながらすばしっこく動いて、
巨漢力士を惑わせるタイプを理想にしている。

だが、そうはなれそうにない。
子どもと相撲を取る機会を奪われては、
いい力士どころか強い教師だってことを示せない。
軍配が返ることはない。
縞乃山は初場所惜しくも負け越し。

なくなった土俵の上を寒風が吹き抜けた。

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