見出し画像

『スポーツと兵法』はじめに:全文公開

この度、電子書籍出版「第3弾」としてタイトルにもある『スポーツと兵法』を2021年11月1日に刊行しました。これから順次、noteにて無料部分と有料部分に分けて公開します。

ご購読はこちらから

目次
はじめに
第1章 勝利へ向けて
1.兵法の活用
2.情報の大切さ
3.勝負における駆け引き
4.勝利を引き込む
5.相手を知る

第2章 自己を高める
1.心構え
2.準備段階

おわりに

おまけ
1.ゲームモデル
駅伝・ランニングにおける簡単なゲームモデルを考えてみよう:導入
駅伝・ランニングにおける簡単なゲームモデルを考えてみよう:高校駅伝・東播地区
ゲームモデルを考えてみよう:マラソン編
「ゲームモデルを考えてみよう:スプラトゥーン2とフォートナイト:理想と現実のギャップから考えてみよう」

2.データ収集とその活用方法

3.noteより:駅伝の極意
「そもそも「兵法」って?」
「一気呵成」
「攻撃は最大の防御なり」
「一穴を狙え」
「橋頭保を築く」
「情報精査」
「虚実」
「チームの総合力」

ある専門分野、奥深く掘り進めていくことで徹底的に追及していく行き方もありですが、一方で幅広く、視野や視点も変えながら自身のインプット体験、知識や情報、思考を結び付けてアウトプットし活かしていく、誰かに伝えていくこともまた重要だと考えます。

今回のシリーズで学びのきっかけに、「おまけ」を楽しんで頂き、興味を拡げて頂ければ幸いです。こうしたスポーツ×研究、パフォーマンス向上やかけざんの右の項に入る様々なこと、たとえば地域やビジネス、教育、趣味などを掛け合わせて研究、情報シェアをしていきます。詳しくは走遊Labにて。


電子書籍第1弾はこちら

第2弾はこちら


『スポーツと兵法』 はじめに

 スポーツには、文部科学省が打ち出している「スポーツ立国戦略」にうたう「する」「観る」「支える」という関わり方があります。「する」は、プレイヤーとして結果を追究する取り組みと生涯スポーツとして安全安心、健康的で楽しさを追求する取り組みとに分けられます。また「観る」は、戦略等を深く考察する視点とエンターテイメントとして楽しむ視点とに分けられます。さらに「支える」も、プレイヤーをサポートする指導者やマネジメントスタッフの立場や純粋にプレイヤーを応援、支援するサポーターという立場に分けられます。

その中で本書は、プレイヤーやそのマネージャーが競技結果を追究する方や深くスポーツを理解して観戦したいと思う方に、私なりの「兵法」をお話しするものです。

 なぜ「兵法」かというと、私は陸上競技と出会う前の小学生の頃に、囲碁に取り組んでおりました。そのため、小学生の頃から戦略や大局観などに興味がありました。また、私自身の競技経験の中でも、ふと耳にした故事成語の意味を、競技に活きる形で実感する経験が多かったです。特に論語には、私自身のプレイヤーの心構えを築く上で、多くの影響を受けています。そのような経験を通して、駅伝や陸上競技などの戦略に活きる「兵法」を深く考えるようになりました。大学で歴史学科を専攻したのも、そのような経験から『三国志』や『十八史略』などの中国古典に興味があったからです。

 私は、そもそも競技に特化したトレーニングだけで、プレイヤーの能力に大きな差が付きづらいと考えています。高校時代までは、大舞台で勝つような選手ではなかった私が、全日本大学駅伝や箱根駅伝、インカレなどのような大舞台で勝負出来るようなり、日本代表に選ばれたりするような選手になれたのも、そういった中国古典から学んだ「兵法」によって、独自の戦略を確立することができたからだと考えています。その考えをトレーニングや実戦に役立てることで、プレイヤーとして飛躍することができました。

 「ここは思い切って行ってやろう」「意表を突こう」など、レース前の準備段階からレース中の駆け引きまで、迷いを持たずに進めることが出来たのも「兵法」との出会いのおかげです。

 「兵法」といえば、『孫子』が有名だと思います。『孫子』と書名だけをいうと、遥か昔のもので馴染みがないと感じる人もいるかもしれませんが、今でもよく知られている言葉は多いです。たとえば「風林火山」という武田信玄が掲げていた旗印は、ご存知の方も多いのではないでしょうか。これも『孫子』という中国の古典から引用されているものです。この言葉のように、ビジネスなどでも『孫子』の考え方が参考になることから、現代でも馴染みあり、多くの言葉が実生活に活用されています。

『孫子』の中には、スポーツで「どうすれば、勝利に近づけるか」を考える時に役立つ「兵法」が多く存在します。その「兵法」を参考にして勝利を目指すことは、スポーツの面白さを一段と増してくれることでしょう。また、スポーツを通じて得られる知的な学びと体験は貴重な経験値となり、スポーツ以外のあらゆる場面に繋がるとも考えています。

本書は、大会直前、トレーニング前など、その時々に合わせて、必要になる項目だけを読めるように構成しております。日頃のスポーツに対する何気ない思索の端緒として役立ていただければ幸いです。

なお、本書では『孫子』に加えて『三十六計』という古典の「兵法」を取り扱います。

いつもご訪問、お読み頂きありがとうございます。 すき(ハートマーク)を押して頂いたり、コメントやSNS等にシェア、サポート頂けると励みになります。サポート、応援頂いた分は必ず、活動する中でみなさんにお返しして行くことが出来ると思います。今後もお付き合いを宜しくお願い致します。