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恋愛人間

「すべての元彼に捧げます!聞いてください、SSW!」という口上から始まるコレサワのSSWという曲が大好きで、恋人と別れる度に聴いていた。 私のAppleMusicには「Midnight Maiden War」というプレイリストがある。誰にも見せたことがないけれど、ここには女である私が強く生きるための歌が詰め込まれている。恋が終わったときによく再生する。 変な恋愛をたくさんしてきた人生だと思う。高校から付き合って6年目です、みたいな安定型の恋愛なんて無縁の人生だった。 高

    • 分岐点

      本当はぜんぶ間違ってたのかもしれない。でも、私のひとつの選択が、誰かの運命に繋がっているから、そのひとつを間違いだと言ってしまえば、すべてが間違っていることになる。 ひとつを肯定することで、すべてが報われるのかもしれない。 たくさん人を傷つけたことを自覚して生きなければならない。でも、もう生きたくもない。特段つらいこともなければ、恋人もいて友達もいる。無責任だなと思うけれど、どこかへ逃げたい。誰からとか何からとかではなく、この場所から逃げて、いなくなりたい。

      • 22歳になった。馬鹿みたいな日々だった。 数年前にマッチングアプリで出会った、ひとつ年上の冴えない男と、三ノ宮の鳥貴族へ行った。マッチングアプリで男の人と会うのはその日が初めてだった。お酒の種類なんてわからずに、とりあえずカシスオレンジを頼んで、こんなもんかとあらゆるものにがっかりした。 平気で終電を逃し、その人と北野坂のホテルに行った。薄暗い部屋のベッドから見つめた天井を私は一生忘れられないと思う。そのあと、トイレで泣いていたことは誰も知らない。帰り際に好きだと言われ、

        • さびしくない、きっと

          ぜんぶうまくいってるはずなのに、なぜか不安が拭えない。新学期が始まったとき、何か大事なものを忘れているような気持ちを抱えて登校するときと似ている。 恋人もいて、友人にも恵まれている。就職活動も無事終えた。大丈夫、きっと大丈夫。そうやって一つ一つ確認していく。忘れ物はないか確認する児童と同じように。それでも、なにか違和感がある。そういうときは大抵大切なものを忘れている。 若干の心当たりとして、生きててよかったと思う瞬間が少なくなったことに気がついた。理由はわからない。 初

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        恋愛人間

          どこまで行っても他人

          他人はどこまでも行っても他人。恋人も友人も、家族ですらも他人。本当は自分以外を信じるべきではない。人に期待もしない方がいい。そう簡単に人は変われない。 生きていくうちに、そういう真理に気づいていく。でも、いくら他人と言えど好きになってしまうし、信じてしまうし、期待もするし、変わってほしくて説得したりする。無意識の中にそれはあって、言い聞かせても動かない。人間らしさとはこういうことを言うのかもしれない。 期待とぬか喜びと妄想はしない方が傷つかずに済む、と気づいたのは小学生の

          どこまで行っても他人

          春の備忘録

          春になると、安堵が心の余白を埋めてくれるようになる。どれだけ焦燥感に苛まれていても「もう大丈夫」と思えるような、ある種の諦めとも言えるような感情が生まれる。 遂に大学4回生になってしまった。就職活動においては、とくに熱心に注力しないまま、自分が満足できる程度の戦績を重ねてこれた。自分が思っているよりも、自分は平凡だと言い聞かせた。事実ではあるけど、その事実が結構悲しい。でも、もう傷つきたくなかった。 高校2年生の終わりまで、夢があった。小学校のときからずっとデザイナーにな

          春の備忘録

          もしもあなたと同じ夢を見てたら

          一昨年の夏、恋をした。人生で初めて本気で人を好きになった、と言っても過言ではなかった。とにかく顔が好みで、ユーモアがあって、私のタイプだった。奇跡的に付き合うことができ、汚点だらけの人生でこんなことが起こっていいのか、と疑ってしまうほどに幸せだった。その疑いはあながち間違っていなかった。 彼はとある新興宗教の信者だった。しかも、かなり熱心な。それを打ち明けられたのは付き合って1ヶ月経った頃だった。私は「宗教について深く考えたことのない人生だったから、今はまだ何も知らない。無

          もしもあなたと同じ夢を見てたら

          日記 1/4

          2024年なんてほとんど他人事。信じてない。心は未だに2018年。2018年が6年前だということも、そのとき私は15歳だったことも、ぜんぶ信じない。 毎年、年越しは高校の頃の友達と3人で過ごす。それももう4回目だった。 一人は社会人になっていて、横文字の難しそうな仕事に就いていた。もう一人の「今日彼氏と別れました!」から始まった大晦日。直後にその別れた彼と一緒に行ったディズニーのお土産を渡され、爆笑してしまった。慰労会のような雰囲気になったけれど、人生いろいろあるね、頑張

          日記 1/4

          愛がなんだ

          久しぶりに愛がなんだを再鑑賞した。というかもう再再再々鑑賞くらいだけど。 17歳になる直前に、この作品に出会った。映画館で観て、大人の恋愛ってこんなもんなのかと思いながら軽い気持ちで観ていた。マモちゃん最低だなー、ラストシーンやばいなーとか思いながら。見終わったときには、なぜかこの作品の虜になっていた。 その後、原作も読んだ。原作と映画で異なるところは、ほとんどないのだけれど、私はなんとなく映画が好きだなーと感じた。 その頃の私は純粋無垢だった。高校3年間ずっと好きだっ

          愛がなんだ

          21歳になってわかったこと

          天下一品のこってりがしんどくなった。あればあるほど良かったチーズも、ステーキやカルビの脂身部分も、もう食べたいと思えなくなった。あれだけ毎日食べていたアイスもあまり食べなくなった。その代わり、毎晩酒を飲んでいる。 そして、飲んだくれた次の朝の、なんともないただの味噌汁がこの世で一番美味しいのだと気づく。二日酔いの朝の味噌汁とカネコアヤノの音楽だけは、わたしたちを裏切らない。 好きな人とキッチンで焼きたての餃子を食べて、レモンサワーで流し込む。そのときに生きててよかったと思

          21歳になってわかったこと

          そういうのでよかったのに

          意味もなく向かった深夜の淡路島 よなよな話した次の日の蚊に刺された痕 季節外れの手持ち花火 タバコが嫌いだった頃の自分 ピンクと青とオレンジが混ざった明け方 深夜4時の助手席 夏を形容するには十分すぎるほどの青 あなたが頼んだカフェオレ 私が頼んだレモネード ファインダー越しに捉えた海 それが最後だったこと 車のサンルーフから2人で覗いた、蝉の泣く朝 それが最初だったこと 泣くのをやめた日 真夏の果実を歌う彼の隣 どこまでも行けたのに行かなかった

          そういうのでよかったのに

          感情は死にきって春

          来月21歳になるらしい。どう考えても15歳を超えたあたりから、時間の進み具合が早まっている。そういえばこの前やっていた『ブラッシュアップライフ』で「時の流れが早く感じるのは、時間の相対的な長さが短くなるからだ」と言っていた。『ブラッシュアップライフ』おもしろかったな。 去年、好きになった人に彼女がいて、その彼女が25歳だったこと。「25歳のおばさんより19歳の私を選んだ方がいいだろ」と日記に書き殴ったこと。若気の至りがすべて詰まっている。年上の男に惚れ、振り回され、挙句の果

          感情は死にきって春

          春の寝息

          なんとなくを繰り返していたら、もう春になっていた。いつも3月になると、焦燥より安堵のほうが先に来る。だから、3月が好きだ。 外れたままだったベランダの網戸を元に戻した。本棚を綺麗にした。あの人にもらったものを机の奥にしまった。4年前の日記はもう読めなかった。 忘れてしまった人が増えた。忘れてしまった過去も増えた。私もきっと誰かの中で名前も顔も出てこないくらいに忘れられているのだろう。 本当は私は誰にも忘れられたくなんてなかった。

          春の寝息

          2022

          点と点が線になっていくのを実感した一年だった。私がこれまで選んできた出来事には、全て意味があって、全て繋がっていたのだと気づいた。 本当に数え切れないくらいの出会いと別れがあった。5月に二十歳になってからお酒を飲む機会が増えて、その度にまた関わる人も増えていった。 私は昔から友達に恵まれていた。柄にもないことを言うけれど、本当に友達が好きだ。どれだけ不幸な出来事があっても、それを聞いて友達が笑ってくれればそれだけでどうでもよくなった。同情されるよりも笑ってくれる方が嬉しか

          好きな人

          お風呂に携帯を持っていかない人 気づくと車道側を歩いてくれている人 詩を馬鹿にしない人 何も言わずに二礼二拍手一礼ができる人 私のストーリーを見る前にLINEの返信をくれる人 見た目と書いた字にギャップがある人 空港とか駅にあるような動く歩道があれば、そっちに乗っちゃう人 本棚の本を作家順で並べている人 たこ焼きのたこを先に食べる人 インスタよりもツイッターが好きな人 一緒に映画を観て、最後まで観れる人 心の中でめざましじゃんけんに参加している人 お腹が鳴って椅子の音で紛

          好きな人

          日記 10/2

          また同じことを繰り返す。その中に非日常があるから私は生きていける。 好きだったあの人は、私のことをまるで最初から好きじゃなかったみたいな素振りでどこかへ消えた。自分を捨てた人を追いかけるほど、私は馬鹿では無かった。それだけが自分自身を救った。 また元の生活に戻って行った。自分を粗末に扱い、自虐してはみんなに笑ってもらおうとしている。 昨日も気がつけばまた同じ場所にいて、朝方に友達から連絡があった。馬鹿みたいだと思いながら、朝5時に友達のいる街へ帰った。夏と秋の間の、どち

          日記 10/2