21歳になってわかったこと

天下一品のこってりがしんどくなった。あればあるほど良かったチーズも、ステーキやカルビの脂身部分も、もう食べたいと思えなくなった。あれだけ毎日食べていたアイスもあまり食べなくなった。その代わり、毎晩酒を飲んでいる。

そして、飲んだくれた次の朝の、なんともないただの味噌汁がこの世で一番美味しいのだと気づく。二日酔いの朝の味噌汁とカネコアヤノの音楽だけは、わたしたちを裏切らない。

好きな人とキッチンで焼きたての餃子を食べて、レモンサワーで流し込む。そのときに生きててよかったと思ったこと。酒呑みでよかったと、心の底から思ったこと。酒がなくても笑えていた高校時代も最高だったけれど、酒で繋がる輪も最高だと思う。

身体の不調で言えば、ずっと腰が痛くて、屈んだ瞬間に覚悟することが増えた。クマが消えなくなった。全盛期は15時間寝れていたはずなのに、一度起きたらしばらく寝れなくなり、夜中に何度も起きるようになった。

階段をのぼるだけで、背中に電気が走ったかのような痛みに襲われる。ありえないくらいに肩と首が痛い。電車でスマホを10分でも見れば、首が泣いてしまう。整体に行けば、全身バキバキですねと言われる。

夏に出かければ、本当に歩けないくらいに疲れる。朝から夜までユニバで走り回り、ジュラシックパークに6回連続で乗っていたあの頃の私はもういない。

挨拶は「おはよう」でも「ばいばい」でもなく「おつかれ」になった。大学生になったばかりの頃、初対面の年上の人に「おつかれ!」と言われ「部活に生きてきた人なのかな?」とちょっと小馬鹿にしていたのに。

私が19歳のときに出会った21歳より上の人たちは、私のことを子どもだと思っていたのだろう。今その歳になって、その気持ちがわかる。そりゃあ恋愛になんて発展しないわけだ。

19歳の私に教えてあげたい。あなたが好きになった人は、あなたのことを好きになんてならないし、なれないんだよ。毎日会っていても、終電で会いに行っても、同じ布団で眠っても、バイクの後ろに乗せてもらっても、好きになってもらえないよ。年下を誑かすような人と一緒にいる意味なんてないよ、と。

どんどん記憶が薄れていく。面白かったことも、人にエピソードトークとして話さないとすぐに忘れてしまう。それでも忘れないことは、もうこの先しばらくかさぶたのままなんだろう。

歳を重ねるごとに失うものが増えていく。でも、同じくらいに得たものも増えていくといいな。

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