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実録:某一流企業の私設売春クラブ【1/3】

本作品は当方に寄せられた告発者の証言に基づくノンフィクションですが、登場する企業名や個人名、地名などは可能な限り曖昧にしております。
ご了承ください。


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 今からお話しすることは、すべて事実です。

 これはわたしがか勤めていた、ある有名な損害保険会社で体験したことです。
 体験していた、というか……わたしが関与していた、というか……

 わたしが勤めていたのは、有名な損害保険会社です。
 とても、とても、とても有名な損害保険会社です。
 たぶんその名前を知らない人はいないでしょう。

 この企業でわたしは一般職OLとして働いていました。
 
 この会社は非常に、非常に、非常に有名な会社ですので、わたしの同期はほぼ、コネ入社でした。
 
 コネではなく入社したのは、私を含めてほぼ2、3人。
 その子たちはやたらルックスがいいか、単に親父ウケする外観をしているか、エロいかです。

 わたしもそのどれかの一つに当てはまっていたのでしょう。

 だいたい、ぶっといコネで会社にねじ込まれていました。

 太いコネで入社した女の子たちは、地域の統括部で総務や人事などの部署に配属されます。

 最近では少なくなったようですが……

 当時、就活(当時はまだ“就活”という表現は一般的ではなく学生も“就職活動”と言っていました)のために大学生に送付される入社案内パンフレット……とくに金融・損保・生保系……には、ひそかに『欲望のページ』と呼ばれる見開き写真ページがあったものです。

 どういう見開きかと言いますと、当時のわたしのように、会社支給の事務服を着て楽しそうに働く女子社員たちの姿のスナップを、コラージュ風にびっしりと敷き詰めたページです。

 先ほども申し上げましたように、新卒の一般職社員はほぼコネ入社。

 ぶっといコネがないとなかなか一次面接突破も難しいような会社でしたので、そういうページは決して、決して、決して、女子学生へのアピールとして用意されていたわけではありません。

 ではなぜ、そんなページが用意されていたかというと……

 損保会社において、将来的な中枢メンバーとして採用される一部の男性社員は、ほんとうに優秀な人材ばかりです。
 国公立大卒のエリートたちです。


 しかし、多くは兵隊です。
 ソルジャーです。
 歩兵トルーパーです。

 だいたい、その手のひと山なんぼの男性トルーパー社員というのは、中の上クラスの私立大学の、これまた体育会のコネで入社してきます。

 よく働き、文句を言わず、やれと言われたことは犯罪であっても平気でやり、酒をたくさん飲み、声がでかい……そういうのが、大部分を占めるトルーパー男性営業社員です。

 そうした将来のトルーパーたちが会社案内を見たとき(見た、というのは
正確な表現です……彼らは決して文字など読まないでしょうから……)、そういうキラキラした、かわいい、事務服の似合う一般職女性社員の姿が満載されたページから、何を思うか……だいたい想像つくでしょう。

 うわーーー!! セックスのチャンスいっぱいだ!!!!
 入社するとヤってヤってヤリまくれるんじゃね??????

 と、期待するのです……………………そういう時代でした。

 そして、事実そうでした。

 コネ入社した女性一般職の女の子たちは……男性営業職社員のダイレクトな欲望の対象でした。

 わたしのようにコネなし、もしくはコネの細い女子社員は……同じ制服を着てはいますが、総務や人事などの部署では働けません。

 わたしたちの職場は、事故受付係です。

 車同士の物損事故が起きると、事故を起こしたほうは半泣きになり、起こされたほうは怒り狂います。

 その双方から掛かってくる電話を受け付けるのが、わたしたち事故受付係の仕事です。

どりゃー! わりゃー! おのれ―! どりゃくりゃわらー!!!

 地区にもよりますが、わたしたちが担当していた地区は田舎で、各家庭に最低3台は自動車を保有しているのが当たり前、という土地柄。

 その家では一家に、お父さんの通勤用に一台、お母さんに一台、そしてバカ息子バカ娘に一台。

 ほぼ、読み書きも怪しいようなバカがなぜか自動車免許を取得し、クラウンやシーマやインテグラを乗り回していました。

 わたしの先輩は、契約者から電話口で、

「なに? 払えんやと? 本気で言うとるんか? ……わかった! 今からお前の事務所に行ってお前、ソープに売り飛ばしたるわ!  わしに払えんぶん、せいぜい稼ぐんやな!! 待っとれよ!!!」

 と宣言されたこともあります。

 こーいう仕事はいま、派遣会社のコールセンターが担っていますが、当時は正規に雇用された一般職女子社員の仕事だったのです。

 映画『プライベート・ライアン』でもありましたよね?

 わたしたち事故受付係は女子一般職で給料もカッキリ低く設定されているけれども、男子営業社員と同じように、ノルマンディー上陸作戦でオマハ・ビーチの海岸線に最初に上がってドイツ軍の掃射で命を落とす一兵卒。

 海が血で真っ赤に染まって、戦闘が終わったあくる日に戦地に訪れ、悠々とコーヒーを飲みながら山盛りのパストラミサンドを食べている将校たち……あれが太いコネで入社し、総務部や人事部に治まっている女の子たち……

 太いコネで入社した女の子たちは、それなりのお金持ちの血筋に生まれているか、お父さんがそれなりの地位についている、いわば「野望の奥さん候補生」。

 わたしたち一兵卒は……ワンナイトファックや不倫ファックのためのいわば慰安婦です。
 

 とにかく、老いも若きも男性社員は、仕事のこと以外となればセックスのことしか考えていません。

 とはいえ、同僚の女の子たちも同じでした。
 仕事以外と言えば、セックス、セックス、セックスでした。

 ……そういう時代だったのです。

 この手の全国展開する大手企業というのは、男性社員はキッカリ3年ごとに転勤があります。

 その3年間の間に、男性社員は赴任先の支社の女の子とウサギのようにヤりまくります。
 そして女の子たちもそれに応えます。

 未婚者同士はもちろん、不倫も日常茶飯事です。
 
 なんせ、男性営業社員は3年ごとに転勤を繰り返すのです。
 男が転勤すれば、関係は自動的にリセットされます。

 どれだけ不倫する男にとって理想的な環境でしょうか。

 そして男たちは新天地でセックス、セックス、セックスを繰り返します。
 しかし女の子たちも負けてはいません。

 男が……これは一般的な“男”という意味ではなく、将来少しでもそこそこ出世なりなんなりにのありそうな男、という意味です……その、少しでも将来に望みがありそうだったら……仕事ヤメなそうで順調に順当に年功序列で出世しそうなほど歪んでない男だったら……彼女たちはこの3年の間に男たちをジョロウグモのように捕えます。

 かんたんなことです……

『今日はだいじょうぶだからっ! そのままっ! 中で出してっっ!!』

 と言えばいいのです。

 わたしの職場の先輩は、これで妻子持ちの男を仕留めました。
 男には奥さんと子どもがいましたが、離婚。
 その後、わたしの先輩と再婚しました。

 かわいい女の子が生まれて、毎年その子の成長を年賀状で確認しています。

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