見出し画像

ゴミ出しから逃れたい


「ハア、、、ハア、、、ハア、、、」

今日の朝、僕は激しい息遣いと共に布団の上に倒れ込んでいた。

起き上がろうと全身に力を込める。

しかし、起き上がれない。

足に力が入らないのである。

「うおおおお!!!」

僕はカッと目を見開き拳を強く握り咆哮する。

それから動かない足をパンッパンッと叩き、自分で自分の足を鼓舞する。

何とかゆっくり立ち上がり

もう一度「うおおおお!!!」と咆哮する。

そして相手の首元をガシッと掴み、外に放り出した。


今朝の僕の家のこの光景。

プロレスの試合終盤ではない。

これは毎週月曜日の朝の恒例行事

ゴミ出しである。


僕が住んでいる地域は月曜日が「燃えるゴミ、ペットボトル、カン」の日なのである。

燃えるゴミは木曜にもあるのだが、ペットボトル、カンは月曜だけなので、ここを逃すとまた1週間溜め込む事になるのである。

僕はこの月曜の朝のゴミ出しが苦痛でしょうがない。

なぜなら今の僕の生活リズムに全く合ってないのである。

最近の僕は、日曜日は朝から晩までバイト、そして月曜日は昼からバイトか休みかのどちらかなのだ。

つまり日曜日、極限まで疲れた状態で帰ってきて、次の日昼前までぐっすり眠れるところをゴミ出しのために朝早くに起きないといけないのである。

これが辛くて辛くて堪らないのだ。

あまりにも辛いため、先週に関しては起き上がれずゴミを出せなかった。

そのためペットボトルが2週間分になり夏の水分補給もあってか凄まじい量になってしまった。

サンタクロースの出発直後ぐらいパンパンに袋に詰まっている。

今日の朝、僕はそれを持って集積所までフラフラと歩いた。

アパートのすぐ近くなのだが、凄く遠く感じる。

まだ8時にもなってないのに、やたらと日差しが強い。

疲労と暑さで頭がクラクラする。

何とか集積所まで辿り着いた僕の目の前には

ラベルとキャップが剥がされたペットボトル、しっかりと潰されたカン、そして一つの間違いもなく仕分けられた燃えるゴミ

完璧なゴミ達が待ち構えていた。

そう。

僕が住んでいる地域は

ゴミ出しガチ勢なのである。


もちろん悪い事ではない。

むしろ当然の事である。

何もおかしな話ではない。

しかし、この生活力ゼロのおデブさんには些かレベルが高すぎるのだ。

代々木に住んでた頃の雑なゴミ出しが懐かしい。

いや、絶対今の方が正しいのだが。

ちなみにここの地域のみなさんは誰も前日の深夜に出したりはしない。

つまり月曜の朝のこの時間に出すしか僕に選択肢はないのだ。


僕はゴミ出しを終え、部屋に帰ってきた。

辛い。

これが今後もずっと続くのか。

永遠に終わる事のないゴミ出し。

エンドレスゴミ出し。

"人生とはゴミを出す事と見つけたり"

僕が数百年後、歴史の教科書に載るような事があったなら、このセリフと共に載せて欲しい。

そしてゴミの部分を( )にしてテストに出してほしい。


僕は布団に寝転がりながら

「ゴミ出しから逃れたい」と心の底から願った。

そして考えてみる事にした。

ゴミ出しから逃れる方法を。

というわけで、ここからは考えた結果出たいくつかを挙げていきたい。


開き直ってゴミを出さない

まず最初に考えられるのがこれである。
もう開き直って、ゴミを出さず、家に溜め込んでみるのだ。
ゴミ屋敷episode1である。
この様にしてゴミ屋敷は生まれていくのだろう。
ただ重要なのは、僕はゴミ屋敷を作りたいのではなく月曜の朝にゴミを出したくないだけなのだ。
ていうか、どう考えてもゴミ屋敷の方が面倒臭い。
これぞ本末転倒である。


お手伝いさんを雇う

続いてはこちら。
お手伝いさんを雇い、朝ゴミを捨ててもらうのだ。
しかしもちろん出来るわけはない。
そんなお金があるのならタワマンに住んで、何か違うレベルのゴミ出しするわ。
タワマンのゴミ出し、どんなのか知らんけど。
というわけでお金が一切かからない方法として考えたのが、こちら。


・「捨ててやってください」と張り紙して隣の家に置いておく

隣人の力を借りるのである。
僕が月曜の朝寝ている間に隣人がゴミを捨てておいてくれるのだ。
ちょっと捨て猫風な張り紙をしているので隣人も無視は出来ないはず。
ただ、間違いないのは隣人トラブル必至である。
おそらくすっごい揉めるだろう。


ゴミの集積所を自分の家に変えてもらう

発想の転換である。
集積所に行くのが面倒なら自分の家を集積所にすればいいのだ。
そうすれば寝ている間にゴミを持っていってくれるだろう。
問題があるとすれば、
自分の部屋が他人のゴミだらけになる
寝てる時に他人が入ってきてゴミ捨てられる
部屋にゴミ収取車突っ込んでくる
これぐらいだろうか。


ペットボトルいかだを作って海に漕ぎ出す

何かもうよう分からんようになってゴミに出すペットボトル使っていかだを作るのである。
そしてそれで海に出るのだ。
海にさえ出てしまえば、ゴミ出しの日も関係ない。
ゴミ出しから逃れられるのである。


よし、ペットボトルいかだ作るか!(最後投げやり)



100円で救えるにっしゃんがあります。