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非日常体験


毎日更新99日目。

今日はこの前のお盆、関西に帰省した時に体験した出来事を書いていきたいと思う。

今回のお盆は、高校ラグビー部のメンバーの1人が近々遠くに行く為、しばらく会えなくなるとの事で、それならばと帰省する事にした。

このタイミングを逃すと次いつ会えるか分からないからだ。

ただ迷ったのは実家に帰るかどうかである。

当時、感染拡大がピークに達していた為、基礎疾患のある両親にうつすなんて事は絶対避けなければいけなかったからだ。

考えた末、今回は京都のホテルに泊まり実家には帰らない事にした。

(後々僕が感染した事を踏まえると、結果的にはこれは大正解だったと言える)

さて、そうと決まれば、あとはホテル選びである。

万年金欠のため、出来るだけ費用は抑えたい。

でもせっかくなので、何かしらの面白みも欲しい。

というのもこのホテル選びの直前に僕はあるインタビューを読んでいたのだ。

そのインタビューは僕が苦手なタイプのイケイケなおじさんが答えていて、何故だか分からないが僕はそれを読んでいた。

そのインタビューの中でイケイケなおじさんはこんな事を言っていた。

「新しいアイデアは非日常の世界にいる時に生まれやすい」

おじさん曰く、新しいアイデアはいつも通りの生活をしてる時よりも例えば豪華な旅行に行ったりいわゆる非日常の体験をしている時に生まれやすいそうなのだ。

僕は「なるほど!」と思った。

確かに言われてみればそうかもしれない。

何かしらの刺激がある時に新しいアイデアは出てきやすい。

逆に自分の部屋でずっと考えてても何も出てこない時はザラにある。

このおじさん、イケイケのくせにいい事言うじゃないか。

最近の僕はネタ作りのために新しいアイデアを切に求めている。

ちょうど今の僕が欲しいアドバイスだったのである。

こうして僕の頭の中に「非日常」という単語がインプットされた。


僕はホテル選びにこの非日常を求める事にした。

ホテルほど手っ取り早く非日常が味わえる空間はない。

しかし問題はさっきも言ってた通り、予算である。

僕の懐事情では、良くて普通のホテルにしか泊まれない。

それでは非日常なんて味わえるわけがない。

僕は考えた。

そして妙案を思い付いた。

部屋を確認せずに予約するのである。

どんな部屋かは着いてからのお楽しみ。

ドアを開ける瞬間のドキドキ感。

これぞ非日常と言えるのではないだろうか。

僕はワクワクしながらホテル選びを始めた。

さすがに何も見ないわけにはいかないので、ホテルの外観などは見て、極力部屋の部分は見ないようにする。

要は写真をスライドさせないのだ。

すると何やら良さそうなホテルを見つけた。

京都の繁華街の近くにあるホテルで外観は相当オシャレなのだが、価格は4000円台と相当安い。

ユーザーレビューも高評価である。

雰囲気が俗に言う"普通のホテル"とは違うので、どんな部屋が待ってるかのドキドキが凄いありそうだ。

「ここにしよう」

僕は即決した。

全く部屋は見ていない。

見たのは外観とロビーの写真のみ。

こんなホテルの選び方は初めてである。

これは間違いなく"非日常"を体験出来る。

僕は確信した。


当日。

僕はラグビー部の面々と懐かしい思い出話に花を咲かせていた。

ラグビー部のみんなとはいつだってあの頃に戻れる。

非常に楽しい時間を過ごす事が出来た。

飲み会を終え、みんなで店の外に出る。

僕が予約したホテルはすぐ近くのようである。

ホテルまでみんなついてきてくれる事になった。

ゾロゾロとみんなで歩きながらホテルに向かう。

このラグビー部の面々で歩いている時のゾロゾロ感はいくつになっても変わらない。

何というかみんな歩いている感じが"ゾロゾロ"なのだ。

スタスタとかザッザッではない、ゾロゾロなのだ。

どこかみんな力無くゾロゾロと歩くのだ。

きっと僕らはおじいさんになっても、みんなでゾロゾロ歩くだろう。

ていうか、歩いていたい。

おじいさんになってもみんなでゾロゾロ歩けたら最高じゃないか。

そんな事を考えていたら、ホテルに到着した。


やはりホテルの外観はかなりオシャレである。

他のみんなも「あ〜いいやんか」と言ってくれてる。

これは部屋も期待出来そうだ。

チェックインの前に最後にみんなで写真を撮る事にした。

ホテルの方に写真を撮ってもらう。

手を前に組むという集合写真の時のお母さんの様なポーズを何故かみんな取り、記念写真を撮り終えた僕らはホテルのロビーで解散した。

どうかみんなお元気で。

また会いましょう。

変人は来月会うけど。


さあ、いよいよ部屋とご対面である。

チェックインを済ませた僕はカードキーを手に部屋に向かう。

ロビーもそうだったが、廊下もかなり綺麗である。

どうやら出来て間もない新しいホテルの様だ。

部屋の前に到着する。

僕はカードキーをあてドアノブをガチャッと回す。

めちゃくちゃドキドキする。

これぞ非日常。

僕はドアを開けた。

するとそこには



独房があった。



ぽつんとベッドだけが置かれている。

ベッドの両脇には壁。

ベッドの足元は玄関のドア。

見た感じ、畳一畳ぐらいの広さ。

まあ、要するに

激狭である。


激狭の中でも激狭。

今年度最高の激狭。

全米初登場No.1の激狭。

その激狭にあなたは必ず涙する。

まさかの激狭独房部屋の出現に僕は思った。

あ、独房って予約できるんやなあ。


いやいや、何で予約サイトに独房載ってるんや。

てか、むしろ独房の方が広い気がする。

これは独房は独房でも懲罰房や。

あの囚人同士で喧嘩したりした時に入れられる、狭くて暗い部屋である。

ショーシャンクの空にでも途中入れられていた。

僕は非日常を求め、変な予約をした結果

懲罰房に泊まる事になったのだ。


いつまでもドア部分で立ちすくんでるわけにもいかないので、僕は部屋に入る事にした。

ベッドが入ってすぐそこにあるため、脛をぶつけそうになる。

もうトラップやん。

下段回し蹴り風トラップやん。

暑いのでクーラーをつけたいが、リモコンが枕元にあるので、ほふく前進でベッドの上を這う。

一体私は何をしているのだ??

そう疑問を感じずにはいられなかった。


部屋に入り、とりあえず一段落して、ラグビー部のグループラインに部屋の写真を送る。

「部屋、めっちゃ狭い」という文も添える。

すぐみんなの既読はついたが、その後返信はなし。

何でや。

何か返してくれや。

何でそこ無視すんねん。

僕はみんなの既読無視に憤りを感じながら、ふとある事に気付いた。

この部屋、、、

シャワーとトイレ無い。


共用なのである。

部屋にシャワーとトイレがないのだ。

しっかり見ずに予約したので、完全に見落としていたのだ。

これが非日常を求めた結果である。

おのれ、イケイケ親父。

お前が非日常がどうの言うから、とんでもないとこ泊まる事なったやんけ!

どうしてくれんねん!

僕は華麗に逆恨みを決めた。


とりあえず疲れたので、もう寝る事にした。

まあ色々言ったが、要はカプセルホテルみたいな事である。

値段も大体それぐらい。

むしろカプセルホテルとしても安いぐらいである。

しかも綺麗。

そう考えれば全然いいではないか。

かの傾奇者、前田慶次も言っていた。

「人は日に米は三合、畳は一畳あれば十分」

十分、十分。

何かいざ寝てみたら左右の壁の圧迫感尋常じゃないけど、十分十分。

天井が普通の高さの分、余計に左右の壁の狭さ気になるけど、十分十分。

僕はそのまま眠りについた。


明け方。

僕は迫り来る壁に押し潰されそうになる夢を見て目を覚ました。


完全なる悪夢。

何か僕がトレジャーハンターみたいな事をしていて、どっかのトラップにかかり、壁が迫ってきた。

デブインディジョーンズ絶対絶命である。

何ちゅう夢見てんねん。

やはり畳一畳じゃこの120キロの巨体には狭すぎたのだ。

てか、前田慶次も絶対狭いやろ。


ただそれでも疲れていた為か、もう一度寝る事が出来た。

朝起きて、シャワーを浴びに行く。

シャワーがこれまた狭く、人1人が何とか入れるスペースである。

シャワー室のドアを閉めるとまさに「密閉」といった雰囲気だ。

僕はシャワーを浴びながら

「パックされてるサラダチキンってこんな感じなんかなあ」と思った。


シャワーを浴び、荷物を用意し、部屋を出る。

短い時間でしたが、お世話になりました。

ある意味いい経験が出来ました。

新しいアイデアは思い浮かばんかったけど。

とりあえず今回の事を踏まえて次からは

ちゃんと部屋を見て予約します。


こうして僕は「ホテルは変な予約の仕方をしたらダメ」という当たり前のことを学んだ。

そして次の日、この前書いた

「激狭夜行バスとの戦い」に身を投じていくのだった。

今回の帰省は激狭との戦いだったのである。

これらを経て今、僕はある事を考えている。

それは

「豪華な方で非日常を体験したい」という事である。

今すぐとはいかないかもしれないが、いつか必ず。

そうなるためにも頑張らなければ。

それでは、また明日。






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