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認知バイアスがはびこっている中での「緊急事態宣言」 効果はいかに!?

今日(2021/1/6)の全国の感染者数は6001人と始めて6000人を超えた。(NHKまとめ 20:40時点)。東京や大阪・福岡など1全国各地で過去最多の感染者数を記録し、「市中感染」による「感染爆発」が止まらない状態となっている。

そのような中、明日に東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県に、2度目の緊急事態宣言が発出されるという。今日の感染者数も、1都3県で全体の48%を占めるほどの感染拡大の様相である。(東京:1591 神奈川:591 千葉:311 埼玉:394)
一部の専門家の意見や各メディアの論調としては、「前回(昨年4~5月)と比べてあまり効果がないのでは」というのが大勢だ。実際に今回の宣言では、前回のような「施設の休業要請」「学校の休校」などの強い措置は取られず、飲食店など「店舗の時短営業要請」が中心で、学校の休校や娯楽施設の休業要請は国としては行わないこととなっている。このため、強制力の観点から、宣言による感染抑制効果は前回のそれよりかは弱いことがうかがえる。


しかし筆者は、上記以外の”ある要因”によっても緊急事態宣言による効果が弱い・薄れてくるのではないかと懸念している。
それは、

「正常性バイアス」や「確証バイアス」などの認知バイアスが前回の緊急事態宣言時より格段に強くなっているため、人出の減少率が小さくなるのではないか

ということだ。

まず「正常性バイアス」とは、
”どのような人間の心理にもある程度存在するとされる「認知バイアス」の一種で、目の前の物事が異常な状態を示していても、比較的大きな状態変化がない限りは正常であるとみなしてしまうこと。日常生活における心理的なストレスを軽減するため無意識に行われるとされる。(Weblio辞書より)”

「緊急事態宣言」そのものは前回と全く同じものであり、法的拘束力・強制力を伴ってまで感染拡大に歯止めをかけるものである。実際に現在の状況は、「感染者数が過去最多を更新し続けている」という”非常事態”である。しかし、現実として、多くの人が日々の高い感染者数に聞き慣れてしまい、「自分が対策を講じても意味ないのではないか」「いずれ2000人に行くだろうな(緊張感のない感想)」といった過小評価をしてしまい、普段と変わらない生活(外出や居酒屋での食事など)を過ごしたり、働き方もテレワークではなく通常出社に戻している状況となっている。これがまず「正常性バイアス」による前回との状況の違いである。

次に「確証バイアス」とは、
"自分の願望や信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反証する情報を軽視・排除する心的傾向。(Weblio辞書より)”

今日のTwitterでまさにそれがSNS上で増幅しているさまを見た。Twitterで一時「#緊急事態宣言でも楽しもう」というハッシュタグがトレンド入りしていた。中身を見ると、宣言期間中にやりたいことを書いているものが多かった。不要不急の外出自粛が続く中で、家でやりたいことを「計画すること」自体は問題ないのだが、それをSNSに挙がっていると、それを見た人が次々と自分のやりたいことだけを挙げるようになり、段々と本質から離れてしまう。実際に、『自分は普段から1人で行動してるから、密にならないうえで外出しよう』や『百貨店で買い物』など、行政が要請している「不要不急の外出の自粛」の観点から離れたツイートもあり、自分の願望をむき出しにしている印象を受けた。

また、「確証バイアス」はすでに国の中ではびこっていた。それが「GoToトラベル」の一連の対応である。経済を重視したい政府にとっては、『GoToトラベルによる感染者数は全体と比較すればわずかである』という事実を執拗に持ち上げ、感染者数が過去最多を更新し続ける中でも、なかなか一時停止などの措置に踏み込めなかった。また、SNSや世論で「GoTo中止」といってもすぐには動かず、分科会や地方首長からの要望でやっと重い腰を上げて現在の全国一斉停止に踏み込んだ。これも、自分の信念を裏付ける情報を発信し続け、それに対抗する情報に対して敵意を示すという「確証バイアス」が表れていることを物語っている。


以上のそれぞれの認知バイアスによって、前回の宣言時よりも人出の減少率が大きくならないのではないかと思われる。これでは「人との接触8割減」で感染者数を抑えることができた前回の宣言時と同等の効果は得られない。専門家でもない私でも分かることだ。

大晦日に初めて1000人を超えた東京では、渋谷のスクランブル交差点で、カウントダウンイベントさえ行われなかったものの、多くの人が交差点に集まり、警察官&警備員による誘導が必要なほどまでに人が増えていた。


果たして、今回の緊急事態宣言によって、表紙の写真のような、人が全くいない状況が生まれ、感染拡大を抑えることはできるのだろうか・・・
いずれ持久戦の覚悟も必要になってくるだろう・・・
※写真は宣言期間中の2020/5/6(祝)の昼12時前のJR新大阪駅の様子。店舗もほとんどが休業し、人もほとんどいない。

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