アクティブリスニングスパイラル

ある日のこと。
僕は30歳の元部下から連絡を受けた。

同じ会社で働いていた時は
よく一緒に食事をする仲だったが
この半年ほどは会えていなかった。

僕も丁度落ち着き始めたところだったので
食事をすることにした。

ただ、向こうから
食事に誘ってきたのは初めてのこと。
何かあるのかという心算で、お店に向かう。

当日、予約した肴が美味い店で
働いていた当時の笑い話に酒が進む。

そしてトークテーマは仕事と家庭の話へ。
そのあたりから彼の顔色が少し暗くなった。

話を聞いているうちに
悩みの内容がはっきりと見えてきた。

慣れない職場や業務にストレスや疲れが溜まり
新婚モードの奥さんと喧嘩になりがちという。

めちゃくちゃよくある話じゃないか。笑

「もう再び転職を考えている」とか
「新婚だが離婚を考えている」とか
もっとシビアな想定をしていたので
一気に安堵。

具体的に彼の悩みを言語化してみると、
こうなる。

① 仕事のストレスや疲労が増加
② それに伴い家庭内の会話が減少
③ 話を聞いてもらえない奥さんのストレス増加
④ 家庭内の口論が増えて、①に戻る

悩みの原因が①と思うかもしれないが
転職したばかりの職場でストレスや疲労感を
感じない人はいないだろう。

僕が思うに、一番の原因は②だ。

疲れてしまい、家で会話しないことが
このバッドスパイラルの根源。

そこで提案したのは
「アクティブリスニング」。所謂、傾聴。

人は話を聴いてもらえるだけでも嬉しいもの。
特に、積極的な姿勢で共感しながら
聴いてもらえると話をしている側も
満足度が高いコミュニケーションになる。

相手に体を向けて、目をしっかり見る。
相手が話をしている所に、割って入らない。
しっかりと聴いていることを示す
相槌やジェスチャーを意識的に取り入れる。
8割聞いて、2割話す。バランスを忘れない。

自分が過去に学んだスキルを指南した。
彼は「やってみます！」と、
息巻いて帰って行った。

僕のアクティブリスニングが、
彼の悩みを解消して
彼のアクティブリスニングが、
奥さんの不満を解消する。

お金や難しいスキルも要らない。
でも、人間関係を円満にしてくれる
アクティブリスニングのスパイラル。

「聴く力」はすごいパワーを持っている。

なぜ僕が
アクティブリスニングを学んだのかって？

決まっているでしょう。

昔も今も、奥さんから「生返事しないで」と
口酸っぱく言われているからだ。笑

人のふり見て、我がふりなおせ。

僕も帰ってアクティブリスニングしよう。

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