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ニッポンのヒャッカ

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日本百貨店のテーマは”ニッポンのモノヅクリ”と”スグレモノ” 。 日本全国から集めた、モノづくりにこだわった職人の手による商品をお届けします。
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#お土産

「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―

「鳴子こけし」職人親子が育む、癒しの笑み―ニッポンのヒャッカ第14回―



 東北の山間部に生まれた伝統こけしは、大きく11の系統に分けられ、地域ごとに特徴的な形や、胴模様が育まれてきたという。なかでも雪深い宮城県鳴子温泉は東北最大のこけしの産地で、「鳴子こけし」の里として知られている。

 その鳴子こけしの里で、先祖代々こけしをつくり続けるのが「桜井こけし店」だ。伝統的なこけしをつくる職人として活躍する五代目櫻井昭寛さんと、その息子で六代目の尚道さんに、話を伺った。

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宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

宮古島の農業を未来へつなぐ、ヤギとアロエの密な関係ーニッポンのヒャッカ沖縄編5ー

見渡す限りさとうきび畑が広がる、宮古島の風景。
そんな風景の一角に、そのピラミッドは突如現れる。

カラフルなピラミッドの上に乗っているのは「ヤギ」。

ここ「しろう農園」は、宮古島で最大の面積を持つ、有機アロエ農園だ。
なぜアロエ農園に、このようなヤギピラミッドが鎮座しているのだろうか?

その理由を探ってみると、島を想う人々の、ある「願い」が見えてきた。

▲(左から)しろう農園 砂川さん、酒

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なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖よりも高いのか、考えたことがあるだろうか。

黒糖は、収穫したサトウキビから汁を搾り取り、不純物を取り除いて加熱したもの。
白砂糖は、それをさらに遠心分離器にかけて糖蜜と分離させ、残った砂糖の結晶を精製して作られる。

自然の道理であれば、黒糖よりも何倍も手間のかかる白砂糖のほうが高価になるはずだ。

であるにも関わらず、白砂糖のほうが低価格で販売できる背景には、ある不思議なカラク

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沖縄の食文化を支えるローカル食材「島豆腐」の作り手たちが願うことーニッポンのヒャッカ 沖縄編3ー

沖縄の食文化を支えるローカル食材「島豆腐」の作り手たちが願うことーニッポンのヒャッカ 沖縄編3ー



多くの人が布団の中でまどろむ朝5時、
住宅街のなかにあるその工場は動き出す。

そこで行われる仕事の多くは機械化されているものの、
キモとなる工程は、今も職人が手作業で行っている。

そのひとつが、豆乳とニガリを合わせて反応を待つ、「寄せ」という工程だ。

かるくかき混ぜて時間を置くと、大豆に含まれるたんぱく質とニガリが反応しあい、少しずつ凝固してくる。豆乳の濃度やその日の気温・湿度などによっ

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おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー

おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー



「うちの商品は、良さを分かってくれる人に買ってもらえればそれでいいんです」

そう語るのは、沖縄の伊是名島で、島の素材を使った商品開発を行う「島の元気研究所」の代表・納戸(のと)義彦さん。はじめ、あまのじゃくにも聞こえたこの発言は、のちに、伊是名島の人々にとって重要な意味を持つ言葉だと知ることになる。

伊是名島は、那覇から車で2時間ほど北上し、本部半島にある「運天港」からフェリーに乗り換え、

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開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー

開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー



「しまちゃび」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
沖縄の方言で、意味は「離島苦」という。

適切な治療を受けられない、インフラの料金が高い、住居を構えるのに費用が倍以上かかる、激しい台風、それによって長期間途絶える交通手段……など、離島には、本島に住む者が経験したことのない苦労が数多く存在する。

そんなしまちゃびに挑み続ける離島のひとつに、「北大東島」がある。

(写真提供:北大東村)

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