「小麦は食べてはいけない」という論への、明確な科学的結論
小麦の健康被害では、グルテンが最も有名です。
グルテン(gluten)とは、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が絡み合ってできたもの。
グルテンの害について
①グルテンによるアレルギー症状
アトピーや喘息など目に見えてわかるアレルギー反応もあれば、原因不明の頭痛や腹痛、倦怠感、肌荒れなどのアレルギーと自覚しにくい症状もあります。
②グルテンの摂取による「リーキーガット」という重篤な症状
リーキーガットとは、簡単に言うと腸に穴が空き、腸内にあるべき細菌や食べ物が体内に漏れ出してしまう状態のことで、アレルギーの原因となったり、肥満や糖尿病、肝臓病やうつ病などを発症してしまう危険性があるんです。
③グルテン過敏症(遅延型アレルギー)
グルテンを摂取してから、数時間から数日経って反応が出てきます。グルテンと抗体が結合し、それが患部に留まり症状を引き起こします。頭痛、めまい、うつ病、倦怠感(けんたいかん)、情緒不安定、アトピー、喘息が生じます。
④セリアック病(自己免疫疾患)
小腸の上皮細胞にグルテンが取り込まれると、免疫細胞は有害物質が入ってきたと勘違いして攻撃します。すると、小腸絨毛(じゅうもう)突起が傷つき、栄養吸収ができなくなってしまいます。慢性の下痢、腹部膨満感と痛み、体重減少、慢性疲労、過敏性腸症候群が生じます。炎症が数十年にわたって続くと、がんが発生する恐れも指摘されている。
その他、精神疾患や糖尿病、肥満、心臓疾患、リウマチなどの自己免疫疾患などの原因になるとも言われています。
グルテン耐性について
現代の日本人の80〜90%は小麦が合わない体質だと言われています。
それは小麦に含まれている主なたんぱく質のグルテンが原因です。
米国では、20人中に1人と言われています。
しかし、このグルテン不耐性や過敏症は、(後記の)「小麦の品種改良」が原因かも分かりません。
つまり、品種改良以前(100年以上前)の小麦に対してグルテン不耐性や過敏症があるかは不明です。
日本人の小麦の歴史
欧米の歴史は古く、1万〜8,500年前の先土器新石器時代には、野生と栽培した麦の両方を、しかも小麦と大麦の区別なく、豆や雑穀と混ざったままで石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたようです。
「麦の食文化」の始まりでした。
日本では、小麦について歴史上にも記述はありますが、(第一次世界大戦前まで)一般に普及することはありませんでした。
その理由は、約3,000年前の稲作から、米を主食としてきたからです。
昭和に入ってから終戦まで一人当たりの年間消費量はじつに120~170kgに及ぶ。
現在が54kg(2016年)なので、当時はいまの2~3倍ほどのコメを腹に収めていたというわけである。
小麦の爆発的な普及は、戦後(1945年以降)といえます。
パン食の習慣がなかった日本人の食生活にパンが広まったのは、GHQの戦勝国として、米国の小麦を日本人に押し付けるための政策でした。
その具体的な政策のひとつが、戦後の食料不足時代に食べたコッペパンや学校給食で出されたパンでした。
日本人の食べる小麦粉食品の種類は、第二次世界大戦後豊富なものとなりました。
現在食べている小麦粉食品の種類は、おそらく世界でも一番多いと考えられます。
パン用が、ダントツに高く149万トンですが、めん用を合計すると、179万トンです。
つまり、日本人は、パン食とめん食で、とんでもない量の小麦消費している事になります。
その原因は、グルテンには、麻薬のような依存物質のエクソルフィンがあり、「止められない」「止まらない」状態になっているからです。
小麦の品種改良
1980年までに何千種もの小麦の新種が誕生し、中でも生産性の高い品種は米国をはじめとした世界中に植え付けられました。
現在世界で作られている小麦の99%は、1940年代からの「緑の革命」以降に作られた品種の小麦だといいます。
この矮性遺伝子を使った改良により、それまでも世界で最も食べられていた作物である小麦は 飛躍的な収量向上に成功し、歴史上最も大規模に生産・消費されるようになりました。
矮性遺伝子とは:バクテリアの核外遺伝子から発見された、植物の草丈を短くする働きのある遺伝子。この菌に感染した植物の部位から生えた根を育成すると,植物体は元の植物体よりも大きくならない。
しかし同時に起こったこと。それは小麦自体の遺伝子構造の大きな組み替えです。
実際に、この品種改良で生み出された小麦のたんぱく質を親の品種と比較すると、どちらの親とも違うたんぱく質が沢山発見されます。
グルテンは特に交配によって大幅に構造が変化したといわれており、わずか1世紀前の品種と比べてみても、グルテンの遺伝子の量が増えています。
この時つくられた小麦は、人為的な交配実験ではありますが、「遺伝子組換え」ではありません。(小麦は、現在の米国でも遺伝子組み換えは許可されていません)
しかし、遺伝子組換えのムーブメントが起こるはるか昔から大規模で人為的な交配を繰り返し遺伝子を組み換えたという点では同じようなものです。
日本の小麦の輸入国と農薬問題
農林水産省によると、日本で食べられる小麦食品(菓子、パン、パスタ等)の約85%が外国から輸入されたものであり、国産小麦は14%です。
1位 アメリカ(54.8%)
2位 カナダ(28.9%)
3位 オーストラリア(16.2%)
アメリカ、カナダなどは、収穫前の小麦に、IARCで発ガン性物質に分類されているグリホサートを散布し、小麦を人為的に枯らします。
これは「プレハーベスト」といって、小麦を乾燥させ、収穫の効率化をはかる栽培方法です。
日本の小麦栽培では農薬取締法により、収穫にグリホサートを使用する方法は認められていません。
そのため、国産小麦100%の製品からの検出がなかったのです。
結論
こうした事実を踏まえて、私たちは一体どうすればいいのでしょうか。
結論は、パン食とめん食を減らす、違うもので代替することです。
小麦粉食品の種類は世界でも一番多いのですから、異常だと考えるべきです。
尚且つ、その品種が、遺伝子組み換え的に改良されているということや、農薬の使用が、更なる大きな健康被害の原因であることも注意すべき点です。
グルテン過敏症の検査もありますが、IgG抗体検査は、現状、100%の感度と特異度を持った検査ではありません。
自分に、グルテンに敏感なグルテン過敏症や、消化が難しいグルテン不耐性があるかは、3ヶ月間グルテンフリーの生活をしてみて、体調が戻ったり調子が良くなるのかを知ることです。
もしかしたら、あなたの体はグルテンが苦手だったり、食べると調子が悪くなったりしているのかもしれません。
はたまた輸入小麦の農薬で、しんどさを感じているのかもしれません。
健康管理の基本は、安易に医者に頼ることではなくて、「自分自身」をじっくりと観察してみることです。
色々な体質の人がいますが、自分の体の微細な動きや調子を知ることができるのは自分だけ。
小麦(グルテン)フリーと言うのは、一時的な流行と考えてはいけません。
これまで、長年続けてきた日常の食生活の形を、大きく変えてしまうものです。
あなたの人生は100歳まで続きます。
これからでも、決して遅くはありません。
追記 科学の世界は、常に革新し続けます。従って、私の予防医学情報は、常にその時点での最新の科学的な見地による情報であると言うことを忘れない様にして下さい。
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