見出し画像

「BIG3」 もう、どうでもいいや!

 BIG3



ベンチプレス、スクワット、デッドリフトを指しトレーニングにおける3種のジンギスカンとして、いやチンギスハンとして崇拝されている代表的3種目です。

「トレーニング初心者なら、まずはBIG3を極めろ!」
「身体を変えたいならやっぱりBIG3!」
「BIG3でトリプル3(最大挙上重量が100kgを超えた、の意)を達成しました!」
ひと昔前まではよく聞かれていた言葉です。

 しかし、私はトレーニング歴を重ねるにつれ、なぜこのトレーニングをやるのか?と何度も自問自答してきました。その結果、BIG3というカテゴライズに固執する必要は無いという思考に至りました。

注:今回の投稿は、BIG3を否定するものではありません。それぞれの種目は非常に重要な関節運動が組み合わされた動作です。
ただ、そのようなカテゴライズを一旦取り払い、トレーニングをあらゆる視点から捉え、自分に必要なプログラムをデザインすることも、今後フィットネスが普及していく為に重要だと考えます。日々、もっと楽しくなると思いますし、トレーニングの奥深さを追求していく手助けになればと思います。


BIG3が支持される理由


BIG3がこれ程まで重要視されていた理由として挙げられるのは、

・大筋群を鍛えられる(胸・背中・脚)為、消費エネルギーが大きくなり、ボディメイクに効果的
・体の変化を感じやすい
・各関節の連動性をトレーニングできる
・体幹のトレーニングにもなる
・高重量を扱える為、成長ホルモンやテストステロンといったホルモン分泌系が活性化される

といったところでしょうか。(他にありましたら是非コメントで教えてください)
ここからは、BIG3を一旦、棚の上に置いておいて、幾つかのトレーニングの捉え方を紹介させていただきます。


視点その1〜トレーニングを動作で捉える〜

 その種目を大まかにどのような動作なのかを考えてみます。例えば、
ベンチプレスは、「仰向けで重りをを両腕で押し返す動作」 
スクワットは、「立位で重りを担いでしゃがむ動作」
デッドリフトは、「立位でしゃがんで下から重りを持ち上げる動作」
といった風にです。 
 私たちの日常生活で用いる動作をカテゴライズすると、「Push」「Squat」「Lift」の他に、「Pull(引く)」を加えて4種目に分類できます。特に、PushとPullは、相反する筋肉が主動作筋である為、バランスよくプログラムに入れた方が効果的です。主にPush系は体の前面、Pull系は後面を鍛えることができます。例えばベンチプレス(Push)とロウイング(Pull)を組み合わせることが効果的です。

画像2

画像1

ポイント:「Push」「Squat」「Lift」「Pull」の種目を組み合わせる


視点その2〜トレーニングを姿勢で捉える〜

 その種目をする姿勢を考えてみます。姿勢は大きく分けて、「立位」「座位」「臥位」の3種類に分類されます。姿勢が変わることにより、次の2要素に変化が生まれます。床反力、支持基底面です。
 立位で行う種目は、支持基底面が狭いため、統一したフォームで行うには、バランスも同時に鍛えられます。また、床反力について、安定したフォームで動作を完遂することは、床反力のベクトルの微細なコントロールを身につけることができます。例えば、スクワットで足裏の荷重点がブレずに動作を行うことはコアの安定と、バランス制御能力のトレーニングにもなります。
 座位で行う種目は、支持基底面が広く、床反力が小さい為、ターゲットの筋肉を集中的に鍛えることができます。例えば、チェストプレス、シーテッドロウイング、レッグプレス、シーテッドハンマーカールなどが挙げられます。
 臥位で行う種目は、支持基底面は広いが、荷重点が体の中心から離れてしまう種目が多い為、回転力つまり、トルクが生じます。その為、そのトルクに抗う為のコアの筋力が必要となります。
 ちなみに、立位と臥位の違いに、Structural Exerciseか否かという見方も出来ます。これは、負荷が脊柱に対し垂直な種目を言います。効果としては、骨密度の増加、骨粗しょう症予防が知られています。

ポイント:姿勢の異なる種目を組み合わせる


視点その3〜トレーニングを目的で捉える〜

 その種目の目的を考えてみます。目的の種類には「Stability」「Strength」「Power」が挙げられます。つまり、「バランス」「筋肥大」「瞬発力、爆発力」です。
 Stabilityは、感覚をメインに考えます。自分の想像するように各関節を動かすことができること、重心位置をコントロールできること、鍛えたい筋肉が使われている感覚、等に焦点をあてます。
 Strengthは、重量とセット数、時間をメインに考えます。筋力を向上させる因子には、「骨格筋の横断面積、機能」と「神経系」がありますが、ここでは、前者に焦点を当てます。
 Powerは、神経系の賦活、具体的には神経ー筋効率を高めることをメインに考えます。瞬発的に大きい筋力を発揮する為に、1Repに集中し、各関節運動の発揮タイミングを合わせることに焦点を当てます。

ポイント:「Stability」「Strength」「Power」を組み合わせる


視点その4〜トレーニングを筋の収縮様式で捉える〜

 その種目で用いられる筋肉の収縮様式を考えてみます。筋の収縮様式には「concentric(短縮性)」「isometric(等尺性)」「eccentric(伸張性)」があります。その種目がどの筋をどの収縮様式で活動させているかに焦点を当てます。
 例えば、ベンチプレスは、胸筋群のeccentric(降下時)・concentric(挙上時)種目です。その際コアを安定させる必要がある為、腹筋群・背筋群のisometric種目との捉え方もできます。
 スタンディングオーバーヘッドプレスは三角筋・前鋸筋のeccentric(降下時)・concentric(挙上時)種目です。体幹を安定させる為に、下肢筋群・体幹筋群の同時収縮が必要な為、それらのisometric種目と捉えることもできます。
 また、降下時と挙上時のどちらかに焦点を置くと、同じ種目でも鍛える収縮様式を選択することができます。


画像3

ポイント:「concentric(短縮性)」「isometric(等尺性)」「eccentric(伸張性)」を組み合わせる


トレーニングの視点を変えることにより、日々のトレーニングに役立てて頂けると光栄です。