猪田浩隆 Hirotaka Inoda

医師|経営者| 身体・医学知識を用いた新規事業と研究開発のサポート(成功報酬型)に注力…

猪田浩隆 Hirotaka Inoda

医師|経営者| 身体・医学知識を用いた新規事業と研究開発のサポート(成功報酬型)に注力しています|画像診断・がん治療が専門領域|東京大学薬学部卒・東京医科歯科大学医学部卒|バーベルの安全な持ち方からセリアック病まで、少し外れた疑問も紐解きます

最近の記事

体の中に膿が溜まる謎の病気

がんも知らない間にできていて、基本的には症状があまりなく経過し、 症状が出来上がった頃には、大きくなっていると言うパターンです。 がん以外にもあります。 直腸(肛門のすぐ上の大腸)の脇に、膿が溜まってしまったという方を経験しました。 つまり、体の深部に感染が起きてしまったと言うことですね。 直腸周囲膿瘍と言います。症状は熱だけでした。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology1967/58/1/58_1_44

    • 医療技術のジレンマ:全身MRIに大騒ぎする人たち

      全身を輪切りにする検査はいくつかありますが、 主にCTという放射線を当てて、細かい画像を得る検査、 MRIという時間はかかるけど、より詳しい内部の性質を見る検査 があります。 CTは被曝が問題です。 CTの被曝は1回なら大丈夫とか言っている医者がいますが、その1回が結構発癌性あるんじゃないかという研究が出てきつつあります。 ならば全部MRIにすればいいじゃないかと思うかもしれませんが、 時間がかかる上に、CTでしかわからないこともあり、一長一短です。 CTはほとんど一つ

      • 腹いっぱいで体重が減っていく経験談 〜ダイエット禁止と食材〜

        ほとんど毎日自炊をしています。 3年前はほとんど毎日外食でした。 2年ほど前に計画して、1年くらいかけて、自炊化を進めていきました。 思った通り、自炊を習慣化できました。 自炊化してから、最初の半年は、レシピを覚えいろんなものを作っていましたが、 習慣化を強化するため、料理の手順を短くする工夫をし始めました。 食後すぐ眠たくなってしまうので、栄養士さんに相談したりして、食材を試行錯誤していきました。 高GIの食品の方が、眠たくなりやすかったこと、 小麦系の食材は、調理が必

        • 代替医療の議論のタブーについて

          現在科学的に証明された最も効果の高い治療法を、標準治療といい、 それ以外のものを代替治療(総称して代替医療)と呼びます。 代替医療の中では、科学的に効果がないことがわかっているものが多く(ホメオパシーなど)、 その論拠のほとんどは、中学や高校の理科を習ってないんじゃないかと思えるくらい、非科学的、非論理的なものが多いです。(”波動”とか) なので、標準治療など、効果を科学的に証明する側の人たちは、代替医療に良くて否定的、悪くて敵対的です。 「そんな効果もない医療を高額で提

        体の中に膿が溜まる謎の病気

          副腎偶発腫瘍について

          副腎は、腎の上に接している臓器で、左右1対ずつあります。 髄質、皮質と組織構造が分かれます。 前者は、スリルを味わうときに出るアドレナリンなどのカテコラミン、 後者は、内因性ステロイドつまり、鉱質/糖質コルチコイド、性ホルモンを分泌します。 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/10-内分泌疾患と代謝性疾患/副腎疾患/非機能性副腎腫瘤#治療_v983133_ja 副腎は、膵、下垂体と並ぶ機能性腺腫(ホルモンが大量に出

          副腎偶発腫瘍について

          進化と歩行、走行について

          人間の歩行や走行は、自然界の中では相当遅い部類に入ります。 ではなんで、その遅さが文明ができる前の世界では、生存のネックにならなかったのか、という疑問が生じます。 色々説は考えられていますが、 まず、受動歩行装置に見受けられるように、 重心の上下を運動エネルギーに変える振子運動で歩行は成り立っており、 https://www.youtube.com/watch?v=8KKwkFNbQyM (受動歩行装置:下肢を模し、傾斜だけで、無動力で歩き続けられるロボット) このサ

          進化と歩行、走行について

          今までの報告にない現象との遭遇について

          長期入院されている方のスクリーニング検査で、超脂肪肝が見つかりました。 脂肪肝は多くは、過食またはアルコール性です。 でも、長期入院されているので、近くのハンバーガー屋さんにこっそり抜け出し、ポテトを貪り食っていた、、みたいなことはあるはずがないです。 病院ではアルコールも隠れて飲むことはできません。(看護師さんが24時間体制で見張っています。) ではなぜ?脂肪肝になったのか? ある日に、検査した時は、普通の肝臓でした。 今回8ヶ月後検査すると、脂肪肝が出現していまし

          今までの報告にない現象との遭遇について

          肉ばなれは嫌!について

          大腿二頭筋は肉ばなれを多く起こす筋肉です。 陸上などで足が地面に着地すると気になりやすいです。 大腿二頭筋は、全てが筋組織ではなくて、坐骨結節から腱のような膜状の結合組織があり、腱膜と呼ばれていますが、ここが最も損傷しやすいです ストレッチで痛みがあると、重症度の判定が行われるようで(必ずではない印象です)、 肉離れって3段階あって、筋のわずかな損傷、部分断裂、完全断裂に分かれ、 完全断裂だと、スポーツや競技によっては手術も選択肢に上がってきます。 https://ww

          肉ばなれは嫌!について

          最高権威による間違い 〜死がある意味〜

          ルドルフ・フィルヒョウは19世紀を代表するドイツの医学者。 若干35歳でベルリン大学の教授を務め、「すべての細胞は細胞から生まれる」という説を提唱し、白血病の発見などを成し遂げ、細胞病理学(細胞から見た病気の成り立ちを研究する学問)を完成させた人です。 がんは刺激によって発生するという説を発表したのも彼です。 左鎖骨上(鎖骨の上)リンパ節腫大は彼の名前を取ってウィルヒョウリンパ節と呼ばれています。 医学の世界を大きく発展させた偉い先生で当時の最高権威でした。 そんな

          最高権威による間違い 〜死がある意味〜

          原発性マクログロブリン血症にボコボコにされた話

          倦怠感(だるいこと)に困って、数ヶ月我慢していたけど、病院にやってきた方。 画像では、肝脾腫(肝と脾が両方腫れる)とリンパ節腫脹(リンパ節が病的に腫れる)と胸水(肺と周りのスペースの間に溜まる水)、腹水(腹の中の水)がありました。骨髄の濃度上昇(骨髄は白血球などを作る細胞があり機能が異常亢進している)もありました。 これだけでは、多くの鑑別(候補となる病気)が挙がる上、特異性が低い(これだ!とバシッと決まらない)のです。 ここで「・・・があります。」で終わると、主治医に

          原発性マクログロブリン血症にボコボコにされた話

          自作アイスと砂糖の毒性について

          自作レシピの話ではなく、医療の話です。 砂糖は体に悪影響なんですが、常習性があり、栄養素に乏しいため、かなり毒性の強い物質と言われています。 特に幼児に常習性が強く、カロリーが取れても必須栄養素が取れません。 ちなみに、果糖ブドウ糖液はやばいです。(コーラとか、調味料とかなんでも入っています) Nature誌  https://www.nature.com/articles/482027a 僕個人の大雑把な印象ですが、日常人間を悩ましている病気のほとんどは食べ物の影響が

          自作アイスと砂糖の毒性について

          甲状腺機能低下症について

          基本的に女性が多いです。 橋本病という、慢性の甲状腺の炎症が起きている人が多く、30代とかでもなっている人がいます。 でも、基本的には症状がむくみや疲れやすいなど、これ!と決まらないものが多くて、血液検査をしないとわかりません。 で、診断されると、甲状腺ホルモン剤を飲み続けることになります。 つまり、大体は甲状腺機能低下症は下がったままです。 例外があって、一過性の甲状腺機能低下症になってそのあと甲状腺機能が戻ってくる場合があります。先日その症例を経験しました。 耳

          甲状腺機能低下症について

          前十字靱帯断裂(ACL)

          僕はバスケットボールを30代になってからやっています。 経験者から聞く話だと、 学生の部活時代、前十字靱帯断裂をやってしまったという人が多いです。 前十字靱帯は膝の靭帯で、外背側から内腹側にかけて膝関節方内に走行する腱のことです。 このような斜めに張っている腱なので、 股関節の内旋、膝関節の屈曲、内反の状態(女の子の内股のような肢位)になると、テンションが最大になります。 この状態で、バスケットボールのようなコンタクトを、特に膝の外側から受けると、ぶちっと切れてしまいます

          前十字靱帯断裂(ACL)

          若い人の心不全

          若い人(20台とか)の呼吸不全、発熱、咳でいきなり受診してくる時があります。 検査をすると、CTで心不全(心臓の機能が落ちている状態)のような状態に見えることがあります。気管支血管束肥厚、小葉間隔壁の肥厚など、肺の区画の間にある脈管の拡張です。心臓の機能が落ちると、血液が押し出されにくくなって、血液がうっ帯し、これらの現象が見えることが多くなります。 ただ、20台で若くしてなる心臓の機能の低下を除くと、勝手に心臓の機能が落ちるということはほとんどない。 患者に聞くと、喫

          Don’t touch lesion.

          「手術とかしてはならない場所」という意味で、医学では悪性腫瘍に見えるけど、本当は良性腫瘍で、特に骨にできる腫瘍を言いますね。 代表例は、非骨化性線維腫という、主に二十歳未満で大腿骨などにできる腫瘍です。(良性なので治療してはいけません) 教科書では、当たり前のように紹介されているとても有名な腫瘍です。 が、意外と目にする機会がありませんでした。 教科書では、レントゲン、CTで大体診断できることになっています。 私の最初の経験例は、MRIのデータしかなく(クリニックからの

          腫瘍マーカー上昇について

          腫瘍マーカーを人間ドックなどで測ると、たまに異常値になることがあります。 異常値になると、軽度であればもう一度測ってそれでも高ければ、癌の疑いで全身検索することになります。十分高ければ、すぐに全身検索することになります。 マーカーの種類にもよりますが、 全身検索とは、血液検査、画像検査、内視鏡検査なんかをやってがんを探しにいきます。 でも癌が見つからないことも多いです。 その場合は経過観察になることが多いようです。 ちなみに、人間ドックでは「癌がわかります」とか謳ってい

          腫瘍マーカー上昇について