奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然の写真を添えて、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光le…

奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然の写真を添えて、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光letter)します。 「雪迎え小さな資料館」では、雪迎えの自然観察資料の展示や自然観察活動をしています。 「gallery 遊糸」でも、自然の魅力を伝える写真などを定期的に展示します。

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固定された記事

雪迎えとは?

 晩秋の穏やかに晴れた日に、青空を背景に複数の糸が輝きながら流れて来る。それは、クモが空に舞い上がり移動するために流した糸で、山形県の置賜盆地などで「雪迎え」と…

奥日光 letter
11か月前
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アナグマ ユーモラス

アナグマ(ニホンアナグマ)はイタチ科で、イタチ、テン、オコジョ、カワウソなどと同じ仲間になる。 地面の巣穴に棲み、ずんぐりした姿がクマに似ている。足は短めで、俊…

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中禅寺湖周辺の春 花と虫と鳥

2024.04.29 中禅寺湖の北側遊歩道を歩くと、木々が芽吹きアカヤシオとヤマザクラが咲き、夏鳥の賑やかなさえずりが聞こえてきた。今年の奥日光は冬鳥が少なかったので、鳥…

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2週間前
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中禅寺湖のオシドリ

4月になり、冬期閉鎖中の「中禅寺湖畔ボートハウス」がオープンした。湖にせり出した建物で、国際避暑地として栄えた中禅寺湖畔の歴史に触れたり、2階デッキから碧い中禅寺…

奥日光 letter
3週間前
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サンショウウオと奥日光

4月になり奥日光を歩くと、流れのない水場にクロサンショウウオの卵嚢がひっそりと沈んでいる。水中に落ちた枯れ枝などに産み付けられた不思議な塊に魅入ってしまう。 クロ…

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3週間前
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カタクリとヒカゲツツジの山と男体山

宇都宮市の郊外にある古賀志山(583m)は岩場が多く、変化に富んだトレイルが沢山あって楽しい。春浅い頃には、カタクリの咲く野趣あふれる小道を歩く。沢の流れを聴きなが…

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1か月前
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カワガラス 竜頭ノ滝の忍者鳥

「カワガラス」(河烏、カワガラス科、全長22cm程度)は留鳥で、春でも冬でも観察することが出来る。4月後半は「カワガラス」の子育ての時期になり見る機会が少し多くなる…

奥日光 letter
1か月前
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奥日光の冬のニホンジカ

ニホンジカによる食害は深刻で、奥日光でも林床を覆うミヤコザサや貴重な植物が消えつつある。センジュガンピ(ナデシコ科の多年草)が千手ヶ浜の千手堂付近に咲いていてほ…

奥日光 letter
1か月前
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うすらい(薄氷)の季節 奥日光

柔らかな光を感じる日と寒風に身震いする日を繰り返しながら、奥日光の冬がようやく終わろうとしている。 雪解けの道を歩くと、地面から急にコガラやヒガラが飛びたつ。細…

奥日光 letter
2か月前
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冬から春へ セリバオウレンの群生を見る

セリバオウレン(芹葉黄連、キンポウゲ科、高さ10cm程度)は、冬の終わりに咲き始める白い金平糖のような花で可愛らしい。奥日光では数株しか見たことがないが、木漏れ日が…

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2か月前
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オオワシは来季も中禅寺湖に来るだろうか

寒い季節になると、オオワシ(大鷲)の中禅寺湖への飛来情報が気になってしまう。 今季は雨不足の影響で、中禅寺湖の湖岸は極端に後退し、中禅寺湖から流れ落ちる華厳ノ滝…

奥日光 letter
2か月前
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朝の光で浮かび上がる「貴婦人」

奥日光・小田代ヶ原には、有名な一本の白樺の木があり、枝を広げた樹形が美しく「貴婦人」と呼ばれている。 十数年前に望遠レンズで「貴婦人」を見ていて、樹幹の下方に黒…

奥日光 letter
3か月前
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単独行動を愛する静かなアオシギ

 寒い冬になると、奥日光の湯川上流などにアオシギ(青鷸)が渡来し、浅い水流域で水生昆虫などを細長い嘴で採食している。シギ類では珍しく山間部の渓流や湿地を好み、体…

奥日光 letter
3か月前
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キンクロハジロは、ワルいカモ?

キンクロハジロ(金黒羽白)は、中禅寺湖のほか全国に冬鳥として渡って来る。オスの体は白と黒のツートンカラーで、冠羽を頭の後ろに飾るように垂らしている。オシャレはこ…

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3か月前
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雪の日のイタリア大使館別荘記念公園

奥日光の中禅寺湖畔は、明治中頃から昭和初期にかけて外国の別荘が建てられ、国際避暑地になっていた。中禅寺湖にヨットを浮かばせた古い白黒写真を見たことがある。現在で…

奥日光 letter
3か月前
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ニホンザルの表情

随分前のことだが、奥日光に来た観光客が野生のサルに食べ物を与えたことで、食べ物を狙うサルが増えた、という問題があった。車の窓から侵入して食べ物を奪うサルや、お土…

奥日光 letter
3か月前
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雪迎えとは?

雪迎えとは?

 晩秋の穏やかに晴れた日に、青空を背景に複数の糸が輝きながら流れて来る。それは、クモが空に舞い上がり移動するために流した糸で、山形県の置賜盆地などで「雪迎え」と呼ばれている自然現象だ。

 徘徊性のクモは網を張らず、地面近くを動き回って餌を獲っている。そのようなクモの多くは、晩秋の快晴無風の日の上昇気流に乗せて、糸を空中に放出して舞い上がろうとする。自らの糸を移動手段に転換した飛行グモの行動に驚き

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アナグマ ユーモラス

アナグマ ユーモラス

アナグマ(ニホンアナグマ)はイタチ科で、イタチ、テン、オコジョ、カワウソなどと同じ仲間になる。
地面の巣穴に棲み、ずんぐりした姿がクマに似ている。足は短めで、俊敏には動かない。
森の中では、視力よりも嗅覚を頼りにミミズなどを探している。

奥日光でアナグマを見るのは、休眠を終えて子育てをする春に多い。人を警戒してこちらをじっと見ていて、こちらが動いたら逃げて行く。また、目立たない耳だが音にもよく反

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中禅寺湖周辺の春 花と虫と鳥

中禅寺湖周辺の春 花と虫と鳥

2024.04.29 中禅寺湖の北側遊歩道を歩くと、木々が芽吹きアカヤシオとヤマザクラが咲き、夏鳥の賑やかなさえずりが聞こえてきた。今年の奥日光は冬鳥が少なかったので、鳥のさえずりが一段と華やいで聞こえる。
そして4日後、ヤマザクラは咲き続けていたが、アカヤシオのほうは散って葉のない枝になった。この後、枝先に5枚輪生する葉が生まれ秋に紅葉する。アカヤシオは学名に「nikoense」(栃木県の日光を

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中禅寺湖のオシドリ

中禅寺湖のオシドリ

4月になり、冬期閉鎖中の「中禅寺湖畔ボートハウス」がオープンした。湖にせり出した建物で、国際避暑地として栄えた中禅寺湖畔の歴史に触れたり、2階デッキから碧い中禅寺湖を見渡すことが出来る。
先日、2階デッキのテーブルでコーヒーを頂きながら風に吹かれていると、オシドリが低く飛んで来て湖に着水した。キンクロハジロなど冬の水鳥が北に帰った中禅寺湖では、オシドリが仲良く2羽で行動している。

空nyan! 

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サンショウウオと奥日光

サンショウウオと奥日光

4月になり奥日光を歩くと、流れのない水場にクロサンショウウオの卵嚢がひっそりと沈んでいる。水中に落ちた枯れ枝などに産み付けられた不思議な塊に魅入ってしまう。
クロサンショウウオは、日光戦場ヶ原の湯川で発見され、当初は「ニッコウサンショウウオ(日光山椒魚)」と呼ばれていたようだ。しかし、仙台産の標本による「クロサンショウウオ(黒山椒魚)」が、ニッコウサンショウウオと同種でしかも新種発表が早いと判明し

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カタクリとヒカゲツツジの山と男体山

カタクリとヒカゲツツジの山と男体山

宇都宮市の郊外にある古賀志山(583m)は岩場が多く、変化に富んだトレイルが沢山あって楽しい。春浅い頃には、カタクリの咲く野趣あふれる小道を歩く。沢の流れを聴きながら、湿り気のある山道を辿るのも心地よい。
カタクリが咲き、続いてヤマザクラやアカヤシオが咲く頃には、「二枚岩」から「標高点559m(地元呼称 斑根石山)」を巡り、岩陰に咲くヒカゲツツジを見に行こう。
少し休んで遠くを見渡すと、春霞に煙る

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カワガラス 竜頭ノ滝の忍者鳥

カワガラス 竜頭ノ滝の忍者鳥

「カワガラス」(河烏、カワガラス科、全長22cm程度)は留鳥で、春でも冬でも観察することが出来る。4月後半は「カワガラス」の子育ての時期になり見る機会が少し多くなる。渓流に似合う鳥で、見れば見るほど興味が増してくる鳥でもある。

最初の段階で、「カワガラス」だからカラスだろうと誤解することもある。カラスの仲間ではなく、渓流や水辺を好み、水生昆虫や小魚を食べている鳥になる。英名は「Brown Dip

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奥日光の冬のニホンジカ

奥日光の冬のニホンジカ

ニホンジカによる食害は深刻で、奥日光でも林床を覆うミヤコザサや貴重な植物が消えつつある。センジュガンピ(ナデシコ科の多年草)が千手ヶ浜の千手堂付近に咲いていてほしい、と願って探しても全く見つからない。小田代ヶ原のクガイソウ(オオバコ科の多年草)はシカの侵入防止柵でようやく復活してきたが、コヒョウモンモドキ(タテハチョウ科、幼虫の食草がクガイソウ)は消滅したままだ。
ところが不思議なことに、ニホンジ

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うすらい(薄氷)の季節 奥日光

うすらい(薄氷)の季節 奥日光

柔らかな光を感じる日と寒風に身震いする日を繰り返しながら、奥日光の冬がようやく終わろうとしている。
雪解けの道を歩くと、地面から急にコガラやヒガラが飛びたつ。細長い花弁のマンサクが枝に重なるように咲いている。残雪の上には黒く小さなセッケイカワゲラが動き、空には腹巻き模様のノスリが飛んでいる。
春浅い頃の奥日光は、雨混じりの雪が降ったかと思うと急に冷え込むことがあり、どの時点で「雪の果」になるのかよ

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冬から春へ セリバオウレンの群生を見る

冬から春へ セリバオウレンの群生を見る

セリバオウレン(芹葉黄連、キンポウゲ科、高さ10cm程度)は、冬の終わりに咲き始める白い金平糖のような花で可愛らしい。奥日光では数株しか見たことがないが、木漏れ日が林床に影を落とす杉林など、条件の良い場所では群生するセリバオウレンを見ることができる。
セリバオウレンは、セリの葉に似ているからセリバ、オウレンとは生薬名でもあり、利用する地下茎が黄色味を帯びていることで付いたようだ。
栃木県日光市下板

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オオワシは来季も中禅寺湖に来るだろうか

オオワシは来季も中禅寺湖に来るだろうか

寒い季節になると、オオワシ(大鷲)の中禅寺湖への飛来情報が気になってしまう。
今季は雨不足の影響で、中禅寺湖の湖岸は極端に後退し、中禅寺湖から流れ落ちる華厳ノ滝では、水量調節や夜間停止などの対策がとられている。そして、湖の変化に伴うかのように、オオワシは観察ポイントの菖蒲ヶ浜には、ほとんど現れていない。
オオワシは、中禅寺湖の西に位置する千手ヶ浜や西ノ湖で、昨年の11月や12月に目撃情報があり、飛

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朝の光で浮かび上がる「貴婦人」

朝の光で浮かび上がる「貴婦人」

奥日光・小田代ヶ原には、有名な一本の白樺の木があり、枝を広げた樹形が美しく「貴婦人」と呼ばれている。
十数年前に望遠レンズで「貴婦人」を見ていて、樹幹の下方に黒い部分があることに気がついた。心配して問い合わせると、樹勢を回復させた痕跡とのことだった。樹齢は白樺の平均を遥かに超えていて、横に伸びた細い幹が折れ美しいバランスが少し崩れたときもあった。それでも春になれば変わらずに新緑の芽吹きや垂れ下がる

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単独行動を愛する静かなアオシギ

単独行動を愛する静かなアオシギ

 寒い冬になると、奥日光の湯川上流などにアオシギ(青鷸)が渡来し、浅い水流域で水生昆虫などを細長い嘴で採食している。シギ類では珍しく山間部の渓流や湿地を好み、体を上下に揺らす特徴がある。日本の各地では単独の行動が主で、英名も「Solitary Snipe(独りぼっちのシギ)」になっている。
 日本名の「青鷸:アオシギ」は、体下面などの羽毛が青みを帯びるとして名付けられた。淡い灰色を青としていた時代

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キンクロハジロは、ワルいカモ?

キンクロハジロは、ワルいカモ?

キンクロハジロ(金黒羽白)は、中禅寺湖のほか全国に冬鳥として渡って来る。オスの体は白と黒のツートンカラーで、冠羽を頭の後ろに飾るように垂らしている。オシャレはこれだけではなく、顔や頭の羽は単に黒色ではなく、光が当たると光沢のある深い紫や緑色に見える。嘴は青灰色で、体の白黒にアウトフィットしてきれいだ。嘴の先の黒もポイントになっている。
面白いのは、普段は丸い目が、ある時は睨むような目に見えることだ

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雪の日のイタリア大使館別荘記念公園

雪の日のイタリア大使館別荘記念公園

奥日光の中禅寺湖畔は、明治中頃から昭和初期にかけて外国の別荘が建てられ、国際避暑地になっていた。中禅寺湖にヨットを浮かばせた古い白黒写真を見たことがある。現在では英国大使館とイタリア大使館の別荘は、復元と整備を経て一般公開されている。

イタリア大使館別荘は12月から3月末まで休館している。それでも冬は、大使館に付随した記念公園が静かなので行ってみるとよい。
タイミングが難しいが、雪の日に訪れると

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ニホンザルの表情

ニホンザルの表情

随分前のことだが、奥日光に来た観光客が野生のサルに食べ物を与えたことで、食べ物を狙うサルが増えた、という問題があった。車の窓から侵入して食べ物を奪うサルや、お土産店からお菓子の箱をくわえて逃げるサルを見たことがある。
現在は「野生動物への餌やり禁止」などの啓発活動で、野生の本来の行動が観察出来るようになった。性格や心理まで識別することは難しいとしても、奥日光のニホンザルの様々な行動や表情を見ること

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