奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然を、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光letter)し…

奥日光 letter

奥日光や白根山などの自然を、不思議大好き 空nyan!へお手紙(奥日光letter)します。また、尾瀬や南会津の自然を、ゆめのtan!へお手紙します。 「雪迎え小さな資料館」では、雪迎えの自然観察資料等の展示をしています。

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雪迎えとは?

 晩秋の穏やかに晴れた日に、青空を背景に複数の糸が輝きながら流れて来る。それは、クモが空に舞い上がり移動するために流した糸で、山形県の置賜盆地などで「雪迎え」と呼ばれている自然現象だ。  徘徊性のクモは網を張らず、地面近くを動き回って餌を獲っている。そのようなクモの多くは、晩秋の快晴無風の日の上昇気流に乗せて、糸を空中に放出して舞い上がろうとする。自らの糸を移動手段に転換した飛行グモの行動に驚き感心する。  一方、造網性のクモは、種に応じて独特な網を造形する技を獲得した。ど

    • 中禅寺湖と紅葉

      10月31日、中禅寺湖北岸の遊歩道を歩いた。中禅寺湖は一周25kmほどあって徒歩で8時間かかる。歌ヶ浜から時計周りに巡る人が多いようで、その場合は千手ヶ浜が中間地点になる。 今回は竜頭ノ滝から千手ヶ浜までの秋の落ち葉の道を進む。歩くたびに柔らかな感触が伝わって心地よい。静かな森に落ち葉の擦れる音が響く。 空niyan! へ 秋になると木の葉が黄色や赤に変わるから絵に描いてみよう〜 Let's definitely meet again!

      • 紅葉と尾瀬沼のコハクチョウ、黒いムツアカネ

        10月18日、沼山峠から大江湿原に入り尾瀬沼を一周するために、出発地の御池に向かう。標高が高くなるにつれて木々は緑から黄緑や黄色、所々は橙の装いに変わる。紅葉は一瞬の秋、ひたすらな思いを感じる。 御池からはシャトルバスで沼山峠に向かう。途中、窓越しにブナ平の見事な黄葉を見ることができる。 天候は朝から曇りに傾き細かな霧雨が少し流れたりしたが、雲の隙間からやわらかな光が届く一日だった。今年の秋は暖かく尾瀬の紅葉も遅れた。 冷たい風が吹き渡り、波が煌めく尾瀬沼には、冬の水鳥

        • 奥日光のキノコ、ハネカクシの翅隠し

          10月1日、奥日光の千手ヶ浜に行くと、鹿の食害を受けにくいシロヨメナの花が残っていて、ミドリヒョウモンやギンボシヒョウモンが奥日光に来て最後の吸蜜に訪れていた。 花の少ない時期だが、ナギナタコウジュがようやく咲き始め、シソ科特有の香りが漂う。同じようにシソ科で独特な香りを放つカリガネソウも、鹿の食害からのがれて千手ヶ浜付近には残っていた。 キノコでは、ツキヨタケが広葉樹の倒木に重なるように生え、大きな老菌になっていた。 ツキヨタケ(月夜茸)は闇夜に光るキノコとして有名で

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        雪迎えとは?

          カミキリムシが飛ぶ

          小田代ヶ原を彩っていたノアザミが茶褐色の綿毛になって飛んで行く。植物は季節に合わせて花を咲かせ、昆虫を呼び寄せ、確実に種に変化する。 小田代ヶ原は草紅葉の頃から秋が深まり、カラマツが金屏風のように色づき、ノビタキが旅立つ頃に冬へと移っていく。 昨年度は雪が積もらず、今年の春の雨量も少なかった。 中禅寺湖の水位は1m近く低下して、奥日光の聖地・上野島(こうづけしま)は、歩いて巡拝に行けるくらいになっていた。 今年の春は森の土や山道が乾燥し、夏になると異常な暑さが長く続き、戦

          カミキリムシが飛ぶ

          奥日光の面白い昆虫

          奥日光はイロハ坂の上の標高1400m以上の地域に位置し、ブナやミズナラなどの広葉樹、カラマツなどの針葉樹、川や湖、湿原など、多彩な自然がある。季節の美しさを感じながら散策していると、新しい風景や様々な生きものに出会える。野鳥や昆虫の種類も多く、それぞれの習性に驚かされたり、健気な行動に心打たれることもある。 標高の高い奥日光でも、今までにない暑い日が続いている。愛すべき昆虫がこれからも命を繋ぐことが出来るのだろうか、心配になる。 1.アトコブゴミムシダマシ 初めて遭遇する

          奥日光の面白い昆虫

          尾瀬ヶ原を旅する

          見晴キャンプ場に2泊して尾瀬ヶ原を歩いた。学生時代に鳩待峠からみんなでテントを持って歩いた思い出の尾瀬ヶ原。その時の仲間の多くは尾瀬の最高峰・燧ヶ岳(柴安嵓2356m)登山に挑戦したが、私は登らずに、徒歩で100分程度で行けるからと三条ノ滝を選んで笑いを取ったりした。 さあ、久しぶりの尾瀬ヶ原への旅だ。9月4日に沼山峠からスタート、尾瀬沼を見て白砂峠を越え、見晴にある燧小屋に着いてキャンプの申し込みをした。夜になって雨がテントを叩いた。 9月5日の早朝、尾瀬ヶ原は濃霧に包ま

          尾瀬ヶ原を旅する

          奥日光のオオチャイロハナムグリ

          大きな羽音をたてて飛んで来る昆虫に驚いた。光沢のある黒い体で、体長3cm程度の存在感のある甲虫、オオチャイロハナムグリ(大茶色花潜)だ。 昼でも活動していて、奥日光では8月や9月に見られる。自然が豊かな山地に生息する憧れの甲虫だが、逞しさもあり、奥日光では数を増やしているような気がする。 オオチャイロハナムグリは落ち着いた風格がある。また、G.Lewis氏により日光で採集された標本をもとに種の記載がなされた昆虫のひとつなので愛着がわく。 オオチャイロハナムグリの放つ芳香

          奥日光のオオチャイロハナムグリ

          尾瀬のとんぼ、キイトトンボ、オオルリボシヤンマ

          8月21日、沼山峠から歩き出し、尾瀬沼(標高1665m)の周囲6〜8kmを散策した。奥日光で言えば湯ノ湖一周の2倍の距離になる。朝から霧雨が続くので心配したが、次第に晴れ間も見せてくれた。 大江湿原の木道の近くにはミヤマアキノキリンソウが咲き始め、イワショウブの白い花が赤い実に変わろうとしていた。 オクトリカブトの独特な形状に膨らむ紫色の花には、柔らかそうな毛を纏ったマルハナバチが来ていた。蜜を求めて花に潜り込んだり懸命に動きまわる様子を見ていると、蜜や花粉にトリカブトの猛毒

          尾瀬のとんぼ、キイトトンボ、オオルリボシヤンマ

          燧ヶ岳の蝶、キベリタテハ、キアゲハ、クジャクチョウ

          8月14日、尾瀬の御池から燧ヶ岳を目指す。広沢田代を通り、熊沢田代に着くと傾斜湿原が広がり池塘の間に設置されたベンチが見えてくる。 先客がいるようなので息をひそめて近づいてみると、高原の貴婦人キベリタテハ(黄縁立羽)で、これほど間近で見られるのは稀だと思った。 深みのある小豆色をした翅表は傷ひとつない状態で、つい此の前に羽化したような美しさだ。クリームイエローの外縁や瑠璃色の斑紋も印象的だ。 石の転がる涸れ沢を登り、8、9合目を越えてようやく俎嵓(マナイタグラ2346m)

          燧ヶ岳の蝶、キベリタテハ、キアゲハ、クジャクチョウ

          燧ヶ岳、熊沢田代を彩るキンコウカ

          尾瀬御池から燧ヶ岳を目指す登山道は急坂や岩の転がる急斜面があり歩行時間も長くなる。厳しい行程だが、途中にある2つの傾斜湿原、広沢田代(標高1756m)と熊沢田代(標高1954m)の開放的な光景に癒やされる。 7月27日の湿原には、ワタスゲの白い綿毛の穂に代わり、キンコウカの黄色い花が湿原を覆うように咲き誇っていた。金色に光り輝くキンコウカ(金光花)は、高山の湿原に群生して咲く。 キンコウカの花を観察しよう。 花茎の先に黄色の小花をたくさん咲かせ、細い花被片が星形に連なり、花

          燧ヶ岳、熊沢田代を彩るキンコウカ

          オシドリとマガモの子ガモ

          奥日光のオシドリ(鴛鴦、Mandarin Duck)の母ガモは、戦場ヶ原を流れる湯川などで、6〜7月に子ガモを連れて泳いでいる。ヒナの巣立ちを見届けると、オシドリのオスはペアを解消するので、子ガモと一緒にいるのは母ガモだけになる。 ある時、「日本のフライフィッシングの聖地」とされる奥日光湯川に沿った木道を歩いていると、マガモの母ガモと一緒にいた子ガモが、急に騒ぎ出した。よく見ると、擬餌の付いた毛鉤(毛針、フライ)を飲み込んでしまったのだ。 (空nyan!も「その後、どうな

          オシドリとマガモの子ガモ

          ムササビの親子

          ムササビはリスと同じ仲間の哺乳類で、日が暮れてから活動し、木の葉や新芽、花、果実、球果などを食べている。夜行性動物だから日中は樹洞の中で静かに寝ている。 明るい時間帯に樹洞を観察しても、夜行性のムササビの姿は見られないはずだが、その予想に反して、眠そうな顔で外の様子を覗うムササビに出会うことができる。観察してみると、樹洞から顔を出す時間帯は午前中が多いようだが、全く顔を出さない日もある。行けば確実に出会える、というわけではない。 雨の日も顔を出すことがあると聞いたので、雨がな

          ムササビの親子

          オトシブミの「落とし文」「付け文」

          木の葉の小さな巻物「落とし文」が置いてある。当日は緑色、その後は徐々に枯葉色に変わり、置かれた日を知らせてくれる。 掌に乗せると巻物は重さを感じないほど軽くて転がる。探しても結ぶ紐は無いから広げ方が少し難しい。 巻物には、1mmほどの卵が1個、葉先に真珠のように輝いて付いている。巻文は無い。未知の極小の世界を想定しながら、心の中で繙くことになる。 オトシブミ科のルイスアシナガオトシブミが、7月の奥日光で「落とし文」〝揺籃(ようらん)〟を作っていた。 空nyan! 飛び立

          オトシブミの「落とし文」「付け文」

          奥日光のノイバラ、クガイソウ

          今年は奥日光の戦場ヶ原に来ても暑い。しかも、標高は約1400mになるから、太陽光が届くまでの大気の量やオゾンが少ない分だけ紫外線も強くなる。 戦場ヶ原はやはり朝早く訪れて、爽やかな風にふかれて野鳥のさえずりを聞いていたい。時には朝霧が立ち込めた淡い景色に驚くこともある。7月上旬はノイバラ(野薔薇、野荊、バラ科のつる性低木)の優しい花の香りを楽しむこともできる。 ノイバラの香りに惹かれるのは私だけではなく、ハチやハナカミキリ類も飛んで来る。それぞれ違う目的で寄ってくるが、なん

          奥日光のノイバラ、クガイソウ

          オオヤマザクラの不思議な泡

           奥日光中禅寺湖の北岸遊歩道を菖蒲ヶ浜から千手ヶ浜に向かって歩くと、トチノキの大木が何本も立つ「栃窪」に着く。白い砂浜が広がり、湖から爽やかな風が吹いてくるから、木陰で一休みすることになる。ここには、湖に傾いて枝を伸ばすオオヤマザクラがあって、花を近くで愛でることかできる。  オオヤマザクラ(大山桜)は名前のとおり、ヤマザクラより葉や花がやや大きい。寒さに強く北海道に多い樹木で、エゾヤマザクラとも呼ばれている。  6月14日、「栃窪」のオオヤマザクラは、美しい若葉に囲まれて

          オオヤマザクラの不思議な泡