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奥日光のオオチャイロハナムグリ

大きな羽音をたてて飛んで来る昆虫に驚いた。光沢のある黒い体で、体長3cm程度の存在感のある甲虫、オオチャイロハナムグリ(大茶色花潜)だ。

飛んで来たのはメス。 ©nishiki atsushi

昼でも活動していて、奥日光では8月や9月に見られる。自然が豊かな山地に生息する憧れの甲虫だが、逞しさもあり、奥日光では数を増やしているような気がする。

オオチャイロハナムグリは落ち着いた風格がある。また、G.Lewis氏により日光で採集された標本をもとに種の記載がなされた昆虫のひとつなので愛着がわく。

地表近くの樹洞付近にオオチャイロハナムグリのオスが陣取る。 ©nishiki atsushi
オスは芳香を放ってメスを待ち、長い間動かない。 ©nishiki atsushi

オオチャイロハナムグリの放つ芳香は、楊貴妃が愛好した「麝香(ジャコウ)」の香りと言われている。強いて言えば桃の香りだが、その香りは強く独特なので、山道を歩いて気が付けば、大木にいる香りの張本人 (張本虫) を見つけ出す楽しい遊びが出来る。

芳香を頼りに樹洞の近くで発見! ©nishiki atsushi

ハナムグリ(花潜)と名が付くから花に訪れる昆虫と思われがちだが、樹洞の腐食質の木屑が大好きで、花の蜜や花粉を食べるには体が重すぎるようだ。花では一度も見たことがない。

樹洞の中で木屑の上を歩く。ここに卵を産む。 ©nishiki atsushi

手のひらに乗せると脚の爪を引っかけて動くのでとても痛い。

脚には棘があり、先端の2本の爪が鋭い。 ©nishiki atsushi
頭や前胸背板を見ると点刻が密にある。緩やかな弧を描く上翅にも細やかな点刻があり光沢もある。 ©nishiki atsushi

奥日光にはブナやミズナラなどの広葉樹の森が広がっている。その森にはオオチャイロハナムグリの棲む樹洞がある。

オオチャイロハナムグリは豊かな森の樹洞に守られている。 ©nishiki atsushi
奥日光の森には密やかな美しさがある。 ©nishiki atsushi

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