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オオヤマザクラの不思議な泡

 奥日光中禅寺湖の北岸遊歩道を菖蒲ヶ浜から千手ヶ浜に向かって歩くと、トチノキの大木が何本も立つ「栃窪」に着く。白い砂浜が広がり、湖から爽やかな風が吹いてくるから、木陰で一休みすることになる。ここには、湖に傾いて枝を伸ばすオオヤマザクラがあって、花を近くで愛でることかできる。
 オオヤマザクラ(大山桜)は名前のとおり、ヤマザクラより葉や花がやや大きい。寒さに強く北海道に多い樹木で、エゾヤマザクラとも呼ばれている。

蕾は紅色が濃い。
5月に花が咲き始める。
6月には可愛いサクランボが赤く色づく。

 6月14日、「栃窪」のオオヤマザクラは、美しい若葉に囲まれて、若々しい実が弾けるように顔を出していた。その木陰に入ると、葉の裏に小さな白い泡が付いていた。奥日光戦場ヶ原のイヌコリヤナギに付く泡はよく見ていたが、オオヤマザクラにも・・。

イヌコリヤナギの枝に付く泡
オオヤマザクラの葉に付く泡

 オオヤマザクラの泡にカメラを向けていると「これは、モリアオガエルの泡かしら?」と尋ねる人がいる。 「え、あのー、昆虫のアワフキムシです」と答え、お互いに微笑みながら、ちょっぴり残念な空気が漂う。
 確かに6月は「モリアオガエルの産卵」の映像が流れることがあり、珍しい泡とかわいいカエルが印象に残る。

よく見るとオオヤマザクラの泡は葉裏の所々に付いていて、ただ一つだけ、泡がほぼ消えかけた箇所があり、アワフキムシの成虫がじっとしていた。「なるほど、こんな感じで泡から出てくるのか〜、成長したんだネ」

 オオヤマザクラは葉の裏側だけに泡が付いるが、イヌコリヤナギの泡は枝に付き日光や雨にさらされている。アワフキムシは種によって植物を選んで産卵し、孵化した幼虫がそれぞれの植物で泡を作るのかもしれない。
 アワフキムシには謎が多い。泡の中で幼虫が成長することは確かだが、泡を作り始める様子は見たことがない。気づけば泡が完成している。
 しかも、泡は少しずつ増えていきそうだが、そうとは思えない。泡から出て、また近くで泡を作ることもあるのだろうか?
 植物の汁を吸って排出し雨にも流れない泡を作るというアワフキムシは、少し謎で面白い。


以前見たアワフキムシの1種。細く短い触角が出ていて表情が愛らしい。
奥日光のアワフキムシの1種。アワフキムシは10mm程度で得意のジャンプで一瞬にして消える。

 空nyan! そう言えば、ゾウムシやカミキリムシを見ていたら、ポトンと落ちて目の前から消えたことがあったよね。──不思議大好き 空nyan! へ

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