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奥日光のキノコ、ハネカクシの翅隠し

10月1日、奥日光の千手ヶ浜に行くと、鹿の食害を受けにくいシロヨメナの花が残っていて、ミドリヒョウモンやギンボシヒョウモンが奥日光に来て最後の吸蜜に訪れていた。

シロヨメナにギンボシヒョウモンが集まっていた。 ©nishiki atsushi

花の少ない時期だが、ナギナタコウジュがようやく咲き始め、シソ科特有の香りが漂う。同じようにシソ科で独特な香りを放つカリガネソウも、鹿の食害からのがれて千手ヶ浜付近には残っていた。

ウラナミシジミがナギナタコウジュに止まり花の色に紛れ込む。北上を続ける小さなチョウで、越冬出来ずに消える運命だ。 ©nishiki atsushi

キノコでは、ツキヨタケが広葉樹の倒木に重なるように生え、大きな老菌になっていた。

写真の左奥にツキヨタケの幼菌が生えていて、次の出番を待っている。 ©nishiki atsushi

ツキヨタケ(月夜茸)は闇夜に光るキノコとして有名で、立枯れの樹木に緑色に光る写真が掲載されている。いつかは本物を見たいと思うが、これは、長時間露光による写真であって、実際には見て分からない程度の発光とのことだ。
同じように、ホタルが発光して乱舞する写真があるが、長時間露光によるもの、または、光りながら飛ぶホタルを同じ場所で何枚も撮り、それを重ね合わせて1枚の写真にしたものが多い。

倒木を覆うキノコに見入っていると、体長1cm程のハネカクシの仲間が飛んで来て止まった。
最初は半透明の下翅を出したままで少し動きまわる。そして、腹部の先を持ち上げて動かしながら下翅を折り畳んで、固い上翅(鞘翅)の下に収める。
あっという間に、薄く長い上翅は消えてしまう。手品を見ているようで、この小さな昆虫は面白いと思った。

ハネカクシが飛ぶ。上翅の模様で判断するとオオキバハネカクシに似た種類のようだ。 ©nishiki atsushi
上翅(鞘翅)が極端に短く、腹部が見える。このような形態はコバネカミキリの仲間と同じだ。 ©nishiki atsushi
下翅を出しているハネカクシ。この長い翅を小さな上翅(鞘翅)に隠すことが出来る。 ©nishiki atsushi
腹部を器用に動かしながら、下翅2枚を同時に折り曲げて上翅の下に畳み込んでいく。 ©nishiki atsushi

甲虫の固く長い上翅(鞘翅)は、飛ぶ時には使えない。そのうえ空気抵抗が強く、重くもなるだろう。
この欠点を解消するために、これ程小さなハネカクシだから、固い上翅(鞘翅)を小さく小さく変えながら、それでも長い下翅を畳んで収められるように進化してきたのだろうか…… 
ハネカクシの翅隠しの技の深さを称賛したい気持ちになる。

中禅寺湖が見える栃窪に来ると、ヤマイグチがひっそりと生えていた。

ヤマイグチは柄に黒褐色の鱗片があり、黄褐色の傘が柔らかなそうな印象だ。 ©nishiki atsushi

千手ヶ浜に近い遊歩道には、カラカサタケが大きな傘を開いていた。奥日光ではよく見るキノコだ。

遊歩道の傍らにスッと立っていた。唐傘のようだからカラカサタケ。英名「parasol mushroom」も同じ見立てになっている。 ©nishiki atsushi
直径が17cmもある大きな傘は初めて見た。チョコを乗せてみたらおしゃれな受け皿になった。 ©nishiki atsushi


ゆめのtan!、まりとちtan!、空nyan! 
キノコも昆虫もおもしろい。

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