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内容公開中!『2040年の未来予測』

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「今日」には、これから起こることの萌芽がある。 現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできる。 あらゆるデータから導き出されるありのままの未来を書いたベストセラー書籍… もっと読む
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【2040年の未来予測】ご案内&もくじ

『2040年の未来予測』が2021年1月に発売されました。元日本マイクロソフト社長の成毛眞さんが、来るべき未来に何を備えておけばいいのかを考えた本です。noteでは、その「はじめに」と74項目の中から8項目を公開しています。ぜひのぞいてみてください。 ※目次に(全文)と表記のある記事は、記事の全文を読むことができます ・はじめに①(全文) ・はじめに②(全文)chapter#01テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする ●たった100年前から信じられないほど世界は変わ

【2040年の未来予測】はじめに①新しいテクノロジーが出たとき、世の大多数は否定的である

 2021年の今、電車の中を見渡しても、ゲーム機や本を持ち歩いている人はめっきり見なくなった。道を聞くために交番に駆け込む人も激減しただろう。  すべてを変えたのはスマートフォンの普及だ。 日本で米アップルの「iPhone」が発売されたのは2008年7月だ。今からたった13年前の2008年の正月にはスマホがない景色が日常だったのだ。  13年前、あなたは何歳だっただろうか? スマートフォンが出たとき、きっとまわりは懐疑的だったに違いない。「こんなオモチャみたいなものは誰も使

【2040年の未来予測】はじめに②これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わる

 つまり我々の生活は、水準は大きく変わっていないのに、テクノロジーが生活様式を根底から変えてしまったのだ。それが、スマホ登場からのこの約10年だった。  そして、これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう。  これまでの10年間の変化は、主に情報通信の大容量高速化がもたらした。この大容量高速化は今後さらに進む。すでにパソコンやスマホでストレスなく動画を見られるようになったし、家にいながらビデオ会議ができるようになっている。その恩恵はますます大き

【2040年の未来予測】5Gとはそもそも何で未来の何を変えるのか

 運転手のいない自動運転バス、ドローンによる配達、自分が入りたいと思うときに自動で沸かしてくれるお風呂、遠隔手術、前に立つだけで健康診断してくれる鏡……。2040年、これらは実用化されているだろう。こうした世界に向けて我々は走り出している。  そしてその基盤となる技術が通信だ。「多くの情報を高速で伝えることで可能になる」技術は通信が土台である。  そして、その基本になるのが「5G」だ。  現在大騒ぎされている5Gだが、NTTドコモやソフトバンクがCMで声高に叫んでいるのも聞い

【2040年の未来予測】老人が増え、それを支える若者が減る

 少子高齢化が進んだ2040年の世界は想像するだけでも恐ろしい。団塊世代が90歳、団塊ジュニア世代が65歳になる。そして、団塊ジュニアの4割が集中するのが首都圏だ。膨大な数の都民が高齢化を迎える。見渡す限り老人だ。過疎地ではすでに現実になっている老老介護が現実のものになる。東京都の年少人口(15歳未満)が占める割合は2019年は11%だったが、2040年以降には10%を割り込む。子育て支援に力を入れようとしても、対象となる子どもがいなくなるのに歯止めがかからない皮肉な状態だ。

【2040年の未来予測】2040年の日本は老人ばかり

 2040年に果たして、年金はいくらくらいもらえるのか、税金はどのくらい払うのか、医療費はどうなるのか。本章では、現状をきちんと把握しながら、未来に私たちが何をすべきか考えていきたい。  日本の財政は破綻する誰もが聞いたことがあるだろう。  そのことについて心配している人をよく見かけるが、財政破綻しようがしまいが、これからの日本がますます貧しくなるのは間違いないことを、まず認識しなければならない。 「ますます」と書いたのは、2020年の今、日本はすでに貧しい。こう聞くと違和感

【2040年の未来予測】瞬時にデータを把握するのも低遅延だから可能

 RFID(Radio Frequency IDentifier)とは、電波でチップを瞬時に自動認識する技術だ。  このチップはありとあらゆる製品につけることができる。サイズはいろいろあるが、最小のモノは指紋の溝に収まるほど小さい。  チップには、ロット番号などの製造情報が書き込まれている。だから個別認識が可能で、数メートル先からでも複数を同時に読み取れる。  たとえば、ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」や「GU」の店舗での自動レジを利用したことがある人もいるだろう

【2040年の未来予測】バーチャルが日常になる

 スマホの代わりに、欠かせなくなるアイテムはAR(拡張現実)用のメガネかもしれない。つまり、メガネにすべての情報が映し出される。  目的地までスマホ上のマップを見ながら右往左往する必要はなく、このメガネをかけるだけで、実際の道に順路が示される。どんなに方向音痴でも目的地につけるようになる。店は看板を出す必要はなくなり、店に入れば、メニューが写真つきで表示される。人の名前と顔を覚えなくても安心だ。会話を始めるや、相手の情報が表示される。メガネがイヤなら、同じ機能を持つコンタクト

【2040年の未来予測】6Gで自動運転が可能になる

 そうなると、どういう世界が実現するか。まず、自動運転だ。  公共のバスや電車などは、ネットワークに接続された自動運転になり、輸送や物流なども効率的になるはずだ。  車両ごとにカメラやレーダーなどを含んだ膨大なセンサーが働き、走行中に周囲の地図が自動的に生成されたり、衝突する可能性がある通行人や車両などの動きなども常時把握されたりしているだろう。  上空はドローンが行き交い、どこにでも欲しいものを配達してくれるはずだ。 これらは、高速で大容量のデータが通信できることと、通信が

【2040年の未来予測】「低遅延」により、すべてのモノがインターネットに常時接続される

 5G、6Gのすごさは高速化だけではない。「低遅延」が実現するともいわれている。  聞き慣れない言葉だが、これが最も鍵となる。「低遅延」で実現可能な技術を見ていこう。 「低遅延」とは、読んで字のごとく、「遅延」が低くなること。つまり、通信の「遅さ」が「少なくなる」接続や、通信時のデータのやりとりが途切れなくなるのだ。  5G、6Gになると、通信が途切れる可能性は100万分の1以下になるため、安定した通信が絶対の条件になる産業で利用することができる。  つい20 年前までは、イ

【2040年の未来予測】6Gのすごさは「早く」「大量の情報のやりとりができる」こと

 6Gは、通信速度が5Gの10~100倍の速さになるといわれている。すでに2時間の映画のダウンロードが3秒だったのが、瞬きの間、1秒もかからない速さになるわけだ。  スマホなどモバイル機器の利用時に「ちょっと待つ時間」は我々を知らないうちにいらつかせている。意図したホームページがなかなか開かなかったり、通信が途切れたりで、心が穏やかでなくなった覚えはあるだろう。数秒短くなるだけでストレスは大幅に減るはずだ。でも、6Gのよさは、もちろんそれだけではない。  5Gでは、室内にある