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【2040年の未来予測】瞬時にデータを把握するのも低遅延だから可能

 RFID(Radio Frequency IDentifier)とは、電波でチップを瞬時に自動認識する技術だ。
 このチップはありとあらゆる製品につけることができる。サイズはいろいろあるが、最小のモノは指紋の溝に収まるほど小さい。
 チップには、ロット番号などの製造情報が書き込まれている。だから個別認識が可能で、数メートル先からでも複数を同時に読み取れる。
 たとえば、ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」や「GU」の店舗での自動レジを利用したことがある人もいるだろう。あれは、RFIDのしくみをレジで使っている。一品一品をスキャンする必要がなく、購入商品を台に置けば瞬時に合計金額が出てくる。便利さを実感した人も多いだろう。
 世界のRFIDの使用量は、2019年度で約160億枚と推計されるが、そのうちファーストリテイリングが1割弱を占めている。ただ、ファーストリテイリングが例外で、RFIDは部品や機械など企業向けの製品での使用が主で、日用品などの一般消費者向け商品での利用はいまだ少ない。
 だが、RFIDのメリットは、生産者や販売者にとって使い勝手がいいところだ。 たとえば、日用品ならRFIDを使えば、棚卸しはハンディー端末を持って売り場を歩くだけで完了する。段ボールも開封せずに、その付近にいるだけで中の商品の情報を一気に読み取れる。倉庫内のどこにその商品があるかもすぐにわかる。今まで人の力でやっていた作業がとんでもなく簡単に、時間もかからなくなる。
 食品なら、消費期限が迫った商品も、自動で一括確認できる。それぞれの履歴も確認できるため、売り場で手に取られたが戻されたなど商品の動きも追える。売れない理由も分析できるのだ。売り場や商品の改善がしやすくなる。在庫の補充や販売動向を予測して、メーカーならば増産や減産にもすぐ動ける。
 たとえば、ある食品に異物の混入が起こったとしよう。現在では、同じものをすべて回収しなければならないから、手間もコストも尋常ではなくかかる。すべての販売店を調べて、そこに何個残っているかを確認し、どのくらい売れたのかも調べて、それらすべてを全回収しなければならない。 しかし、RFIDがあれば、製造番号を調べるだけでばよい。それさえわかれば、その製品が、今、どこに、どれくらいかあるかがリアルタイムで把握できる。回収も早い。
 なぜ、これほど便利なものが普及していないのか疑問に思う人もいるだろう。 それは、コストだ。現時点で、RFIDは一枚10円程度かかる。単価が低い食品や日用品では、到底採算が合わない。また、金属、液体は電波を遮断し情報を読み取りにくくするため、たとえば、缶詰、飲料、洗剤などにはそのまま使えないという問題もある。
 だが、現在の問題は、ニワトリと卵の関係だ。大量につくれば、コストはもちろん安くなる。普及が進めば解消されるだろう。量産が進めば、一枚1円程度まで下げられるという研究もある。金属や水に弱い弱点を補うチップの開発も進んでいる。時間がたてば、大した問題ではない。
 むしろ、日本が2040年までに絶対に解決できないのは、のちの章で詳細を述べるが、少子高齢化だ。これだけは確実に来る未来だ。
 人手不足はもう待ったなしだ。物流や生産、販売といった生活維持に欠かせないエッセンシャルワークの人手不足を解消するには、もうテクノロジーしかない。
 RFIDは、最小だと指紋の溝に収まるサイズだといったが、アメリカの研究者の間ではスマートダストと呼ばれていたこともある。つまり粉末のように小さく、どこにでも存在するチップという意味だ。
 もちろん、データをどう使うか、意味づけするかという課題はあるが、未来を見据えて、チップが埋め込まれたモノから情報をいかに吸い上げるかの枠組みづくりが、日本の今後を左右するだろう。

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