西脇健三郎(ニーケン)

精神科医/食べ歩き、読書、映画鑑賞/好き本:ちょっとピンぼけ(ロバート・キャパ)、黄昏流星群/最悪を覚悟して最善を尽くす/2009年~2014年までブログやっていましたが、古希を過ぎてまた始めます。

西脇健三郎(ニーケン)

精神科医/食べ歩き、読書、映画鑑賞/好き本:ちょっとピンぼけ(ロバート・キャパ)、黄昏流星群/最悪を覚悟して最善を尽くす/2009年~2014年までブログやっていましたが、古希を過ぎてまた始めます。

    最近の記事

    制度疲労をおこしている精神保健福祉法の極み

    2022年3月17日の医療福祉ネットニュースで『医療保護入院廃止・縮小に向け「入院期間法定化」厚労省が検討の方向提示』と・・・。週明けの22日には共同通信が同様の報道を行っている。何だ!これはと、厚労省のHPを検索してみた。『地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会』と長ったらしい検討会が最近行われているらしい。公開されている資料、議事録に目を通してみた。また、何だ!これはだ。検討会の構成メンバーは医療、福祉、人権擁護団体等々からなる25団体の代表で構成

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      • 依存症治療版「学問のすすめ」-改訂版-

        ●まずは初級編について、依存症拠点病院、専門医療機関とやらで色んな依存症の研修会が行われている。アルコール、ギャンブル、薬物、最近はゲームと依存症ごとの研修会が多彩である。何故そんなに分けるのか私には理解できない。研修資料も色々と渡されているようだ。そして、SMARPP、CRAFTといった技法、さらに少し畑違いかなとも思えるOPEN・DIALOGUEも依存症回復に有効といった書籍、ネット情報も巷に溢れている。だが、これら書籍、情報は現場でホボホボ役立たないと気付いたら、初級コ

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        • 私見としてのあるべき精神科救急について

          ちなみにヨーロッパのある大学病院(年間の受け入れ対応患者数7500人、入院期間2~10日)の精神科ERで、受け入れている精神疾患の順位は、一番多いのが感情障害、次がアルコール依存症、そして不安障害、薬物乱用、最後に統合失調症となっている。このヨーロッパの大学病院が受け入れる患者数の順位は、西脇病院における新患受診者の疾病順位と同じだ。 となると、これからの日本においても、社会が求める精神科救急とは、疾病構造の変化を踏まえ多様な精神疾患への適正、適切な対処だ。では、多様な精神疾

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          • マルトリートメント(maltreatment)の理解は依存症疾患からの学びが多い!

            厚生労働省は、大人の子どもに対する身体的、心理的、性的虐待、そしてネグレクトを包括して、マルトリートメント(maltreatment)といった用語を用いている。直訳すると「mal」とは悪い、「treatment」は扱い。この「悪い扱い」は、与えている側もだが、受けている側も気付かないまま時が過ぎていることが多い。また、環境とか時代によっては、それを「躾け」あるいは「孝行者」といった好ましい評価がなされることもあり、実はその判断、判定は中々難しいものだ、と私は思っている。依存症

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            • 昭和の時代、アル中の妻と私との会話

              依存症とうつ病との重複障害について、「仏さまでは生きていけない」 昭和の時代、作家なだいなだはアルコール中毒(アルコール依存症)は「社会的人間としての病気」であると世に伝えた。そこで、昭和の時代の私とアル中(アルコール依存症)のおカアちゃん(妻)との会話から始めよう。疲れ果てたおカアちゃん曰く、「先生、うちの父ちゃんは、飲まんときは仏さまのごったとですよ! どげんかしてください。飲まんごとしてくださいよ」と。私、それに対して「仏さまじゃ、このせちがらい世の中生きていけんよ」

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              • 高機能精神疾患とGAF機能

                精神科医療の能力評価数値として、Global Assessment of Functioning(通称GAF)という心理的、社会的、職業的機能を考慮した精神健康度の尺度がある。100から0までで評価する。数値が高ければ、精神健康度は良好とされている。よって、「GAF」の50以下(50~41)「社会、職業的、または学校の機能において何か重大な障害」、あるいは40以下「仕事や学校、家族関係、判断、思考または気分など多くの面での重大な欠陥がある」、さらにそれ以下が、これまで精神科医

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                • 陶酔的・自己破壊的・酩酊的・投機的

                  作家で精神医のなだいなだ(堀内秀)は、誰もが認める日本の依存症治療のパイオニアある。 彼が、最初に依存症を世に問うたのが、『アルコール中毒 その社会的人間としての病気』(1966年 紀伊国屋新書)である。そこで、「~社会的人間としての病気」であるなら、まずは、私(精神科医)なりにその社会的人間なるものに考察を加えてみたい。 約150年前、日本は近代的な国家を目指した。だが自然災害も多く、近代化に必要な資源が決して豊富にあるとはいえない島国である。そのため、人材の育成が不可欠

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                  • 精神科領域の疾病構造の変化について

                    (図表1)は厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)の概況である。1920年後半から1940年代半ばまで約20年間を枠で囲んでいる。この期間、概ね毎年200万人強が出生している。後半は250万強の出生が数年続いた団塊の世代である。つまりこの20年に約4000万人強の子どもが出生。戦後、時を経て彼らは思春期から大人へと・・・。その多くは中学校を卒業すると金の卵と呼ばれ、主に都市部での就労の道を選択し日本の復興と経済成長の下支えを担った。そしてまだ大学進学率1割強程度で大学へ進ん

                    • 精神科医療における、「適応性」、「説明責任性」、そして「受容性」

                      佐久間啓日本精神神経学財務担当理事は、精神神経学雑誌2021年12月号、巻頭言「今後の精神医療・福祉のあり方について」の中で、イアン・ファルーンが地域で展開する精神医療・保健福祉サービスの評価すべき指標として4つの“A”を挙げている、と紹介している。 その4つの“A”とは「①Accessibility(利便性):アクセスしやすく短期間に最大の効果、至適なサービスを提供できる。②Acceptability(受容性):スティグマを感じずに利用でき、コストに見合うかそれ以上のベネフ

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                      • これまでの精神科医療制度の流れと今

                        日精神協誌7月号特集「若きリーダーたちは何を目指しているのか?」で、若き院長が、今後20年先には統合失調症と認知症の長期在院者は減少し、気分障害圏の長期入院が2倍強に増える、と述べておられた。同感である。では今、その気分障害圏内の患者はどうしているのだろうか?統合失調症者のように若くして発症、そしてその多くが長期在院に至った不運な経緯とは異なる。かと言って、認知症のように老いて発病し、そこで精神科病院への入院受入となるわけでもない。むしろ、現在は全く問題なく社会活動に深く関与

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                        • 一般企業向けセミナーと大阪の精神科クリニック放火事件

                          2021年12月16日の日本能率協会主催のセミナーと翌日おきた大阪の精神科クリニック放火事件にふれてみたい。 私は、5~6年前から独立行政法人労働者健康安全機構の依頼で年に4~5回の長崎県内の産業医の先生方に向けての職場のメンタルヘルスに関する講義を行ってきた。 今回、全国3000強の企業が加入している日本能率協会主催の企業セミナーである。以前、東京で精神科クリニックを開業しておられる私より少し年長の精神科医が「精神科医は蛸壺から抜け出さないといけない」と語られておられたの

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                          • 「依存症について」 ~精神科疾病構造の変化を踏まえて~ そして、大阪の放火事件

                            50年前から私は今年(2022年)で精神科医になって50年になる。何の感慨もない。歳月を重ね老いてきただけのことだ。 ただその年(1972年)、一人のアルコール依存症者との出会いが今も強く記憶に残っている。もちろん新米ながらも私は取りあえず精神科医、彼は紛れもなくアルコール依存症者であった。詳細は【資料1】をお読みいただきたい。現在も彼とは月に1~2回会ってはいる。しかし、ほとんど言葉を交わすことはない。西脇病院が40数年、週一回続けている夜間集会(毎火曜日18時45分~20

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                            • IR(カジノ)が開業したら週4回以上バカラをやりに行こう!4~5回目は「匿名」で入場しても大丈夫!

                              以前から言ってることだが依存症対策は、まずポストコロナ(ウイズコロナ下)におけるメンタルへルス対策の最優先課題のはず・・・。それをしっかり行えば何もIRのためのギャンブル依存症対策を特化させ、その実践を強調する必要はない。とくに長崎の自治体は、依存症に関しては無知、無能であることはこれまで様々な角度から述べてきた。 まず今、ギャンブル依存症対策に取り組むのなら、新聞も何度となく取り上げている公営ギャンブル過去最高益についてだ。これは新型コロナ感染症禍の「巣ごもり需要」の高まり

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                              • 若者たちのワクチン接種への意識と行政対応

                                8月上旬にはメディアは当時の意識調査をもとに若者のワクチン接種意識の低さを報じ、危機感をあおり、それに応じるように識者は「あなたのためだけではなく、あなたの大切な人のためにも・・・」と呼びかけていた。だが、2021年8月29日の朝刊は、~接種求めあぶれる若者 都「ワクチン否定的」誤算~などと一斉に行政の対応のまずさを批判。だが、今回のワクチン接種の対応に関しては、行政もだが、ここ10数年のワクチン接種慎重論に加え、IT化についても、個人情報保護とかセキュリティ問題等々と、これ

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                                • 新型コロナ感染症ワクチン接種とIT化、そして若者・・・

                                  医療従事者から始まった2021年4月19日のこのブログで「~新型コロナ感染症対策の見えてきた光~」とふれ、「~精神科医、精神科医療従事者は感染症治療現場での役割はほとんど期待できない。だったらワクチン接種の現場要員が一番いい~」と私は語っている。 その後、3月上旬より、当院においても希望する職員の接種を開始した。そして、2回目接種を5月13日までに終え、その段階で次に5月中旬より、入院患者、デイケア通所者、定期的な外来通院患者(全ては拾えないが・・・)、回復施設の依存症当事者

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                                  • 依存症治療版「学問のすすめ」

                                    讀賣新聞で2021年6月8日~6月11日の間、シリーズで「依存/社会」が掲載された。その記事の冒頭は“国内で最も多い病気の一つが依存症・・・”で始まっていた。 私の立場からすると、喜ばしい冒頭の記事である。確かに、諸々の依存症対策を国は立ち上げている。また、2020年度から医学部卒業後の研修医には、精神科領域研修時には依存症者を診察の上、レポート作成、提出が義務付けられるようになった。 だが、依存症疾患を語る精神科医は決して多くはない。何故だろうか?今回は依存症疾患がこれまで

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