西脇健三郎(ニーケン)

精神科医/食べ歩き、読書、映画鑑賞/好き本:ちょっとピンぼけ(ロバート・キャパ)、黄昏…

西脇健三郎(ニーケン)

精神科医/食べ歩き、読書、映画鑑賞/好き本:ちょっとピンぼけ(ロバート・キャパ)、黄昏流星群/最悪を覚悟して最善を尽くす/2009年~2014年までブログやっていましたが、古希を過ぎてまた始めます。

最近の記事

どうする精神保健指定医 ②

★精神保健指定医の役割 精神保健福祉法第20条「精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない」(以下「・・・任意入院に努める」)と。 この条文は1987年に精神衛生法改正(精神保健法)で新たに定められたものである。それと同時に精神保健指定医が制度化されている。そしてこの制度は有資格者のみ一定の医療行為を業務独占的に行い得る権限を与える専門医制度(例えば、技術的高度性に着目して設けられる制度とは異なる

    • どうする精神保健指定医 ①

      ★その成り立ち 1983年、栃木県にある精神科病院、宇都宮病院で起きた不祥事の反省に立って、1987年にそれまでの精神衛生法が改正され、精神保健法が成立(後精神保健福祉法)した。そこで患者の自己決定権を尊重した任意入院を基本とする入院形態の仕組みが設けられた。 その設けられた仕組みの中で、病識欠如等で患者本人から治療の同意が得られず、やむを得ず強制的な入院(措置鑑定による措置入院、医療保護入院等)の判断を要する場合、さらには身体的拘束、隔離といった行動制限を行わざるを得ない

      • ウィークネス・フォビア(弱者嫌悪)って何?

        ウィークネス・フォビア(弱者嫌悪)とは、男性学研究者の内田雅克氏よる造語、つまり和製英語だ。 と定義している。 なるほど、私も過去、依存症、うつ病(双極性感情障害)で「否認」と「プライド」を抱える人たちの回復には、「自分の弱さを弱さとして認める勇気」が大切と指摘。そこで二人の著名人の「自伝」、「手記」の一部を紹介している。(『依存するということ』 西脇健三郎著 幻冬舎新書 2019) クラプトンは、世界のギターの神様として君臨。清原もまた、日本プロ野球界での人気は絶大だ

        • マイナンバーカードと健康保険証との紐づけは、国民の健康情報の共有化に寄与するのか?

          国は今、薬剤情報の活用(電子処方箋)、カルテ情報の共有化(電子カルテ)を図ることで、国民に良好な医療健康情報を提供できるとマイナンバーカードと健康保険証との紐づけを急いでいる。 だが、私の知るところでは、21世紀初頭より国は医療情報の共有化(標準化)事業のため、別途工程を組んでいたはずだが・・・。 以下、私が知る情報・・・ ●厚生労働省は電子的診療情報事業の普及を図るとして、  2007年 「保健医療情報標準化会議」を開催。取り決めは以下の通り・・・。 ◎電子カルテ情報の共有

        どうする精神保健指定医 ②

          日本の精神科医療、失われた30年

          1987年2月25日の各新聞各社は、「任意入院を原則」、「精神障害者の人権確保へ」、「社会復帰を充実」等々と一面トップ、大きく紙面を割き報じている(資料1)。で、時は流れ、2022年3月22日の西日本新聞(共同通信)には「精神科の強制入院縮小」(資料2)と。この35年間に何があったのか? 既に「一目瞭然」、「氷山の一角」等々で紹介してきたが、強制入院(医療保護入院)増加の元凶は池田小学校事件後に制度化された精神科救急入院制度である。いわゆる「ショック・ドクトリン」(資料3)だ

          日本の精神科医療、失われた30年

          映画『月』をみて

          『月』は、2016年におきた相模原障害者施設殺傷事件をモチーフとした辺見庸の同名小説を石井裕也が脚色、監督で映画化したものである。この上映にあたって様々な意見と議論がなされていると聞く。私、生業は精神科医の立場で私見を述べてみたい。 この相模原障害者施設殺傷事件当初から世論は一貫して殺害された重度障害者への哀悼とその処遇のあり方、そして加害者(植松聖)の心の闇に強い関心が寄せられ今日に至っている。とくにマスメディアはその観点で報じ続けている。 辺見庸の小説『月』は障害者施設

          もう一つの深刻な児童虐待

          今、最大手芸能事務所創業者の長年にわたる数多くの少年に対する性加害(児童虐待)についての報道、情報が連日巷を賑わしている。 そんな中、2023年9月15日、TBS NEWSDIGが『「13歳で精神科に強制入院」少年が問う裁判 母の悔根【news23】』と報じていた。 これは私の過去のブログ、「小さな記事だが氷山の一角」で紹介した同じ出来事である。TBS NEWSDIGは、当時の状況をより詳細に伝えている。その報道内容から、児童相談所、精神科医療機関の対応は明らかに児童虐待だ

          もう一つの深刻な児童虐待

          日本の衰退に精神科医療業界は加担してないか?

          では、傷病手当金を受ける対象の「メンタルヘルスにおける・・・」とは如何なる精神疾患だろうか。 軽んじられてきた「その他の精神疾患」! そこでまず、精神科領域の精神疾患(精神障害)についてだが、精神保健福祉法第五条で精神障害(精神疾患)を次のように定めている。「統合失調症、精神物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。」と。では、傷病手当金受給者とは、この法第五条が定める精神疾患(精神障害)の全てが対象になるかだが、それは否である

          日本の衰退に精神科医療業界は加担してないか?

          なぜ、(鉄)格子はいけないのですか

          格子はいけないのですか?日本經濟新聞2023年8月17日付『コロナ派生型、米で拡大 感染力強い「エリス」』と報じている。また、記事の内容では〈・・・重症化リスクは低いとされるが、感染力は強い〉。〈世界保健機関(WHO)は9日、エリスを「注目すべき変異ウイルス(VOI)にした。・・・公衆衛生への危険は低い」・・・〉と伝えている。となると、「エリス」は感染力が強いが、弱毒化している、と理解していい。加えて、空気感染は周知されている。なら今の感染対策は換気が大切。特に高齢者を多く処

          なぜ、(鉄)格子はいけないのですか

          「精神科の強制入院の課題」とは、精神科医が任意入院に努め、その腕をみがくこと

          精神科の強制入院の課題(下)毎日新聞2023年7月12日付で、平田豊明・千葉県精神科医療センター名誉院長は、強制入院の一つ「医療保護入院」の患者数を減らすにはとして、四つの条件を上げている。 入院患者の対象の患者を絞り込む あらかじめ入院期間を決める・・・ 入院中に良質な医療を提供する体制に変える・・・ 外部審査機関の強化 おっしゃる通りだが、彼の述べるところと私との違いは、彼は私がこれまでブログ等で語ってきた「精神科疾病構造の変化」図①にふれていないことである。

          「精神科の強制入院の課題」とは、精神科医が任意入院に努め、その腕をみがくこと

          佐世保・高1同級生殺害 9年~いくつもの兆候 凶行防げず~(長崎新聞 2023年7月26日付)

          だが、凶行は防げていたんだ!約2時間にわたる相談が電話で寄せられていた。相談の電話を寄こしたのは、「精神科医(精神保健指定医)」で、相談内容は、「診察している少女が、人を殺しかねないが、精神保健福祉法を適用させる状態、病状ではない。よって、要保護児童対策地域協議会(要対協)で対応してほしい!」といったものであった。 しかし、当時の児童相談所幹部職員は「(精神科)病院から丸投げは受けるな・・・」といった発言。その通報は無視された。 そして、2014年(平成26年)7月26日

          佐世保・高1同級生殺害 9年~いくつもの兆候 凶行防げず~(長崎新聞 2023年7月26日付)

          あの日あの頃 私の原点

          月刊『財界九州』2023年8月号の《あの日、あの頃》のコーナーに掲載された。その内容は本ブログで、過去に書き記してきたものだが~。ただ、地方の精神病院経営を生業とする私のこれまでを、時代遅れの精神医療業界の学会誌等ではなく「経済誌」で取り上げていただいたことに意味がある、と。ただ、日本経済も失われた30年だが・・・、まいいか! そこで本ブログにても再掲。 あの日あの頃 私の原点依存症治療に効果を上げた「夜間集会」 「夜間集会」とは西脇病院独自の呼称である。現在も続いている

          あの日あの頃 私の原点

          少年への返事

          10数年前、高校1年生の少年から手紙をもらった。私のブログを読んで手紙をくれたようだ。なかなか興味深い内容であった。そこで、少年の了解を得て、ここにその概要と、それに対して出した私の返事を紹介したい。 少年からの手紙 【 西脇先生は薬物依存症患者さんも診ていらっしゃると思うので、お尋ねします。 友人などから、「覚醒剤を打って『2001年宇宙の旅』を観ると10倍感動する」とか「ビートルズからの秘密のメッセージを受信できる」といった話を、よく聞きます。 このような話はどの程度

          「ヤングケアラー支援強化」と「安倍元首相銃撃1年」

          讀賣新聞2023年(令和5年)7月9日日曜日一面上段を左右に分け「ヤングケアラー支援強化」と「安倍元首相銃撃1年」を報じていた。そこで、この二つの関係について述べてみたい。 では「ヤングケアラー」だが、厚生労働省のホームページに『ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと』とある。 さらにイラスト付きでヤングケアラーについては、次の10項目を紹介している。 ①障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗

          「ヤングケアラー支援強化」と「安倍元首相銃撃1年」

          ケアラー支援条例と子どもたちの「マスク着用」、「黙食」等々

          ★100年前流行したスペイン風邪の死者は世界で約1億人だったそうである。当時の世界人口は約20億人だから、全人口の5%が亡くなっている。 今回のCOVID19(新型コロナウイルス)の死者はWHO発表で1500万人と発表されている(現在、世界人口80憶人)。だが、社会・経済活動に及ぼした影響は桁違いに大きいとされている。この流行の広がりと収束、そして社会、経済活動への影響についてはこの先、もっと明らかになるだろうだろうが、良くも悪くもグローバリゼーションの一語に尽きる。そして、

          ケアラー支援条例と子どもたちの「マスク着用」、「黙食」等々

          長崎県IR誘致、推進派も反対派もどうしたの?やる気あるの?

          「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」なる団体は、何をしたいのかね? 2人の共同代表は経済人ではない。医師である。西日本新聞2023年4月14日付けの県当局へのカジノ申請取り下げの要望についての記事、共同代表のお一人のコメント疑義あり。 差し出がましいが、お手紙を差し上げた。  本田孝也殿   取り急ぎ用件のみ 西日本新聞2023年4月14日付けの「ギャンブル依存症に治療法はなく、有効な対策を講じることもできない・・・」とは何ですか? 確かに、長崎大学病院が依存症の治療

          長崎県IR誘致、推進派も反対派もどうしたの?やる気あるの?